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第71話
2体の〈大鬼〉を倒した僕は、続いてもう1体の〈大鬼〉の場所を確認するが、その1体の〈大鬼〉は、最初に向かってきた位置から動いておらず、こちらの動向をじっと確認しているようだった。
お互いにじっと見つめあいながら、僕は1体目の〈大鬼〉の死骸にそっとより、力を込めて剣を引き抜くと、相手の〈大鬼〉もようやく武器を構えた。
「こりゃあ、どうなってんだ?」
そう朝田が言うのも無理はない。
今僕が相対している〈大鬼〉が武器を構えた途端、周囲の〈大鬼〉達が一斉に戦うのを辞め、今僕が相対している〈大鬼〉の後ろ側に皆並んだのだ。
「ちと、こいつはまずいんじゃないか?」
相手をしていた〈大鬼〉達が下がったことで、手が空いた他の勇者たちがこちらに下がってくる。
「〈大鬼隊長〉が号令したから、ようやく〈大鬼〉達が連携を始めたってか?」
「それならまだマシじゃねえか?」
勇者の一人が呟く。
「あれって〈大鬼隊長〉じゃなくて、〈大鬼将軍〉じゃね?」




