第68話
「すまん!避けられた!」
蓮が、次の矢を構えながらそう叫ぶ。
僕はこちらに突撃してきた〈大鬼〉をすれ違いざまに斬ろうとする。
がしかし遠くから見るとそう思わずとも、近くで見ると筋肉の引き締まったその巨体が目立つ。
聖光属性をまとわせて振るった剣は〈大鬼〉の太い剛腕に防がれ、動きの止まった僕はその剛腕から繰り出される拳撃によって、勢いよく吹き飛ばされる。
「ぐほぁッ!!」
その威力と言えば、とっさに盾を間に滑り込ませたにもかかわらず、軽く数メートルは吹き飛ばされ、腕の骨もどうやら数本折れているようだった。
「大丈夫か!?」
「何とか!」
あらかじめ威力を軽減する魔法をかけていたうえに、【闘気魔法】を発動していてもなおこの怪我具合。
もしも一つでも欠けていたらどれだけの重傷を負ったことだろう。
「クソっ!!すまん、しばらく後ろに下がってる!!」
「分かった!ゆっくりでいいと言いたいが、流石にこれはマズそうだ。申し訳ないがなるべく早く戻ってきてくれ!」
「了解!」
僕は、吹き飛ばされた勢いを利用しながら、何とかみんなの後ろに戻ることができた。




