第67話
遅くなりました
戦闘が始まった。
〈大鬼〉の村への入り口は、北側と南側で二つある。
北側からは愛染さんが指揮する勇者たちが、もう片方の南側からは他の勇者たちより強い一部の者たちが、同時に攻めることにしていた。
当然僕は南側だ。
攻撃の始まりは、飛鳥蓮の【弓術】だ。
彼はこのスキル以外のスキルを能力系しか持っていなかったが、その代わりに【弓術】の上達が途轍もない速度で進んでいった。
最初は同じレベルの【下級弓術】から始まったのに、もう【上級弓術】になっている。
僕たちはまだ中級にすらなっていないというのに。
ちなみに、これは余談であるが彼の名前は「あさかれん」と読む。
国から支給された精霊銀の剣と盾を装備し、村の南側の入り口に向かって一直線に走る。
木で作られた柵と柵の間にある入り口には簡素な門があり、その門には2体の〈大鬼〉が門番として立っていた。
半分寝ぼけていた2体の〈大鬼〉だが、攻撃開始の合図として飛鳥蓮の放った2本の矢が顔めがけて飛んできたのを感じてか、パッと目を開けて即座にその矢を転げるようによけた。
矢をそれぞれ1本ずつ避けた〈大鬼〉は片方は武器を構えてこちらに突撃し、もう片方はその場で辺り一帯に響くほどの咆哮を放った。
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