第50話
そもそもの話だが、このバルト帝国とレイタノ聖国の理念は大きく異なる。
いや、正反対と言っても過言ではない。
弱肉強食を体現する帝国と、強者は弱者を救うべきであるという考えを根本に持つ聖国では、決して相容れることはない。
そんな二国であるからして、戦争になるのはある意味必然というところだろう。
実際この国は、建国当時から、何度もレイタノ聖国からの侵攻はあり、その侵攻を何度も凌ぎながらも成長してきたというのが、この国の大体の歴史だ。
今回の侵攻も、例年通りのはずだった。
実際、1か月前まではそうだった。
ある一つの情報が入って来るまでは・・・。
開戦まで約3か月となったある日のこと、聖国に潜入させている調査員から、金級の連絡があった。
この神金級の連絡というのは、最悪調査員の身分を捨ててでも連絡するべきである、最重要かつ緊急の連絡という意味であり、場合によっては国を揺るがす事件の時に使われる連絡だ。
陛下や大臣と共に、緊張しながらも開いたその連絡は、聖国が勇者召喚を行ったというものだった。
最初は何故、金級の情報なのか分からなかった。
しかし、読み進めていくうちに、この情報は途轍もない価値と危険があることが分かった。
急いでこれを伝えてきた調査員へ接触を図ったが、大して時間が経っていなかったはずなのにすでに連絡は取れなくなっていた。
恐らく、連絡員ということがばれて、噂の聖国の暗部につかまってしまったのだろう。
長年、聖国にいた調査員としてはかなり優秀だったのだが・・・。
ともかく、その情報は確かに重要であり、緊急の情報だった。
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