第49話
「私から聞くとしたらそうだな。最初から私たちが隊を率いることになることは決まっていたのですか?と、聞こう。」
優しく、しかし問い詰めるようにも聞こえる声音で、クールスは宰相に尋ねると、宰相は心外と言わんばかりに頭を振り、クールスに言い放つ。
「そんなことあるわけないじゃないですか。確かにあなたたちは、隊長の候補者として私も知っていた。けれど、あの時点ではあくまですべて陛下の勘です。ですから、きちんとあなた方の強さを理解した今、こうして呼び出して隊長をお願いしているというわけです。それに他の候補者もきちんといましたしね。」
その言い分に、クールスはひとまず矛を収めたのか、バランへと次を促した。
バランは少し思案すると、何かを諦めたような顔をしながら質問をした。
「じゃあ、俺は隊を率いた時のメリットを聞こう。」
その質問に宰相は少し意外そうな顔をしながらも答える。
「一応、君たちには領地貴族とはいかないが、宮廷貴族の子爵位なら戦争の報酬として与えることは決まっている。」
「それは最高で、か?」
「いや、もちろん最低で、だ。」
思わぬ太っ腹な報酬に皆が驚いているところで、ようやく思考がまとまったのか、笑顔となったバランはシェラへと、次の質問をするように言う。
しかしシェラは、もともとこの質問をするつもりだったらしく、結局次の質問を思いつかなかったため、質問の順番は私へと変わった。
私も本来質問は無かったが、せっかくなので質問を何があるか、考えてみる。
そして、たっぷりと時間を使って考え付いた、一つの質問を出す。
「そもそも私たちがこの戦争に出ることになった理由って何ですか?」
「それは、陛下が勘で決められただけなのだが、そういうことを聞きたいのではないのだろう?」
帰ってきた問いに首肯すると、少し長くなるが構わないかね?と前置きして、語り始めた。
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