閑話3 鑑賢
ここら辺から設定が濃くなっていきます。
「さて、きちんとあの少年は君の異界に入ったかい、界賢?」
「ああ、もちろんだとも。だが鑑賢よ、何をそんなに警戒しているのだ?」
私の質問にそう答えた界賢は不思議そうに聞いてくる。
そこで私は少し長話をすることとした。
私は、賊王があの少年を連れてきた時にあのハマーという少年の鑑定を行った。
その時、最初は耐性系スキルの完成がみられると喜んだんだ。
しかし、同時にふと思った。
「いくらなんでもおかしくないか?」と。
だから、賢権である【能力看破】まで使って詳しく見ようとしたんだ。
さて、ここで聞こう。
百年前のあの出来事を覚えているかね。
ああ、そうだ業賢。
かつての七賢第3位昇賢が死んだときのことだ。
あの時我々は、世界の根幹にかかわる何かを掴みかけていた。
業賢の魔導【禁忌呪術】で大量の怨念からエネルギーを集め、智賢の賢権【世界書庫】で得た情報をもとに、智賢の魔導【万象真理】で導力文字化し、その導力文字から界賢が賢権の【異界法則】で世界の中心である世界核に干渉する術式を作り、その術式に私、鑑賢の魔導【万物解読】でどんな情報でも取得できるようにし、そして私の賢権【能力看破】で術式に情報防御貫通効果を持たせ、それを贋賢が魔導【模造神器】で作り上げた模造神器に書き写し、贋賢の賢権【模造真化】によって一時的に本物の神器とさせ、それを我らがリーダーであった昇賢の魔導【存在昇華】により、存在の格自体を引き上げる。
こうしてできた神器によって我々は世界の根幹へとアクセスした。
世界核に記載されたどんなに格の高い導力文字で書かれた情報も私の魔導【万物解読】の効果で読み取れるようになっていたが、そこで我々は特に格の高い導力文字で書かれた部分を見つけた。
結果的にそこはこの世界に関係する神々についての情報が記載された部分だったため、神々の怒りに触れ、神器は破壊、昇賢は消滅されてしまったわけだが。
ここで話は戻るわけだが能力看破でハマーという少年のステータスを見たときに、称号部分に神によって隠蔽がかけられていることに気付いたんだが、その隠蔽は一見するとそこまで強い神がかけたものではなかったため、どんな情報が書かれているのかと知的好奇心が疼き、隠蔽を破ってみようとしたんだ。
だが、違った。
書かれている導力文字の格がよく見れば下位の神のものではなかったのだ。
この隠蔽をかけた神の格はこの世界の主神並みか、それ以上のものである。
そう気付いた瞬間に引いていなければ今頃私は発狂死してしまっていただろう。
異世界人の勇者曰く、SAN値が飛ぶというやつだ。
故に私はあの少年を警戒しているのだ。
とてもとても警戒しているのだ。
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