第14話
第2章の始まりデス。
賢者たちに賊王や識王から紹介されて会った時にステータスを見られると、俺の実験内容は即座に決定した。
どうやら人族進化者同士を殺し合わせるという実験の被験者がなかなか見つからなかったそうなのだ。
人間進化者とは何か?
聞けば、人間種族は位階4になると進化するらしい。
最初に聞いた時、アホかと思った。
実験の被験者がいないのは当たり前だ。
基本的に人の位階というものはあまり上がらない。
ヘクトール盗賊団が襲撃してくる前日に、村に帰ってきた村長の息子は高位の冒険者をやっていたというが、それでも7位階だったという。
実験には人間進化者が50人必要だというが、あと10人というところで集まらなくなってしまったらしく、ちょうどいいところに来たというところだったらしい。
俺からすれば、1人しか生き残れない実験で人生の成功者であるはずの、人間進化者が翌40人も集まったな、といった感じなのだが、まあそれはいいだろう。
今の俺は、盗賊達との戦いで5位階に上がったため、この状況から位階を上げるのはかなりの時間がかかるなと思っていると、この都市にいる6人の賢者の内、実験に参加する4人の賢者の一人である界賢が、こんな提案をしてきた。
「私の能力は一時的に異界を創り出す能力でね。この創った異界はある程度私の意思に沿った位階が創れるのだよ。例えば時間を何十倍、何百倍にもした異界とかね。」
彼曰く、そこでついでに【飢餓耐性】をカンストさせてしまおうということだった。
耐性系の能力はカンストさせた者のことは、叡智の都市と呼ばれたこの都市の最上位に位置する賢者たちでも聞いたことがないそうだ。
長命の種族が人生を賭してでも、軽減、耐性、無効、回復、再生、強奪、吸収、上昇、向上、強化、この10系統のスキルをカンストさせることはほぼ不可能に近いと言われていた。
それほどの難行が叶えられる瞬間が近いというのだ。
「なるほど、そういうことならこちらもその実験に付き合おう。」
私は界賢が創った異界に入り、【飢餓耐性】をカンストさせる。
それを行っているついでに他のスキルのレベルを上昇させる。
これでこれからしばらくの予定が決まった。
あとは、異界に入ってからどうにかする。
そう、俺は決めた。
評価とブックマークお願いします