第7話
何字くらいが一番ちょうどいいんでしょうね?
俺は歩く。
村の中を歩く。
阿鼻叫喚の地獄絵図と化した村の中を1人、遮るものがないように歩く。
いや、実際に遮るものはいない。
俺に攻撃しようとして飛び掛かろうとした盗賊たちは皆、土の中から飛び出してきた蟻たちに食い千切られて殺されているからだ。
村に進むほど飛び掛かってくる盗賊の数は増えていったが村に入ったころから、飛び掛かってくる盗賊の数は次第に減っていった。
やがて、盗賊の数が少なくなってきた頃、突然たくさんの馬が駆けてくる音が聞こえ、その場に止まって何が来るのかと待っていると、赤の髪に緑の右目と青の左目そんな特徴を持った巨漢の男が、巨大な馬に乗ってたくさんの盗賊を引き連れて家の陰から現れた。
俺は、目の前に止まった巨漢の男を警戒するように目の前に何体も蟻たちを出現させ、地面の下には蟻たちを潜伏させ、ついでに自分の盾になるように〈高位女皇蟻〉の持つ子供達の中でも1番を争うほど強力な〈高位女王蟻〉を配置した。
目の前の巨漢の男はこちらをじっと見つめながら左手をすっと上げた。
すると、巨漢の男の背後にいた盗賊たちは皆、数歩下がったと同時に盗賊たちの中から白髪でモノクルをかけたひょろっとした細身の男が出てきてコソコソと相談を始めた。
(いや、コソコソとこちらに聞こえないように相談しているのはわかるんだが地面の下にいる〈高位蟻斥候兵〉から会話を傍受できてしまうから意味がないんだよね。)
そう心の中でひっそりと苦笑する俺を見ながら、巨漢の男と細身の男は傍受されているとも知らずにコソコソと会話を始める。
『おいシキオウ、あいつは何もんだ。』
『そんなに慌てるなゾクオウ。今【識別の魔眼】で見てい・・・。』
『おい、どうした。急に止まりやがって何してやがる。』
『・・・あっ、あぁ。少し驚いただけだ。あの少年すごく危険だ。場合によってはお前でもな。』
『おいおい、俺様を誰だと思っているんだよ。十大列強の十王、その第4位である俺様がたかが村の10もいかないガキに負けるとでもいいたいのか?十王第8位識王様よぅ。』
『いや、負けるとまでは言わないが手酷い反撃を食らうのは確実だろう。何せあの少年、あの年で6位階に到達しているんだぞ!!』
『なッ!!あの冷めた目をしているガキがか?』
『ああ、それに加え少年が従えているまわりにいる蟻の魔物達も7位階ぎりぎりだ。あと少しで6位階に上がってもおかしくない奴もいる。さすがのお前でも強化された7位階の魔物を何十体も相手するのは危険だ。』
『はッ。仮に危険だとしてもガキ相手に引くわけがない。俺様はヘクトール盗賊団、この世界最高の盗賊団、その団長ヘクトール=レンダース様だぞ!』
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