はじまり
窓から差し込む朝日が鏡に反射する。白に近いブロンドの髪を持ち上げ赤いリボンを巻く。頭のてっぺんで蝶々結びをし、髪を流す。カバンを片手に部屋を出て、階段を下る。
「いってきます。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」キッチンから声が聞こえた。
駅まで走って10分、改札を抜け、ドアが閉まる直前で乗り込んだ。スマホを取り出しイヤホンを付けて揺られていく。
「次は宮の森〜、宮の森〜。」電車を降りて改札を抜ける。同じ制服が同じ道を進んでいく。イヤホンの音量を上げる。靴を履き替えていると、どんっ。肩に誰かがぶっかった。それはなんの反応もなく過ぎ去った。
教室に入り、淡々と席につく。窓際の一番後ろで顔を伏せる。誰とも会話することなく、お昼の時間になった。
お弁当を片手に屋上に向かう。フェンスの近くでお弁当を広げる。
「相変わらず一人でいるんだね。」少年がコンビニの袋を持ってやってきた。
「ロサさん。今日も暑いね。あ、お弁当美味しそう。一口ちょうだい。」箸をすすめる。
「どうして無視するのさ。せっかく僕が話しかけているのに。」
「うるさいな。私に構わないでっていつも言ってるでしょ。私は一人でいたいの。」
「もう少し僕を信用してくれてもよくない。」少年が口を尖らす。ロサは急いで弁当をしまい、屋上を飛び出した。激痛が頭を襲い、その場にしゃがみ込む。
「どうして、、、。私があの時しっかりしていれば、、あいつを信用しなければ、、あなたはこんな風にならなかったのに。」目の前には赤い海が広がる。両手には生暖かい液体がべっとりとまとわりつく。