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不死身の勇者の復讐譚  作者: 元カノ
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回復の鍛練

「お前、「わからない」って言ってたな。教えてやるよ。」


不気味な男がニヤリと笑う、気がつくと裏庭には俺と男とおぞましい何かだけであった。


「こいつな、[異世界勇者]だよ。」


「え?は?ルイたちは宿屋じゃ」


「そいつらじゃねえよ、こいつは失敗作。

異世界転生は必ずしも成功するわけじゃねえ。

王宮の地下にはこいつみたいな失敗作がゴロゴロ居るぞ。」


「でもさっきは事故って...」


「そう言わねえとやんねえだろ?

肉体が耐えきれなくて内側からぐちゃぐちゃになった[勇者]の傷を癒せなんて最初から言われてやんねえよ。」


「なあ、まずはこいつ触って見ろよ。生きてるか死んでるか分かんないんじゃ直すもんも直せないだろ?」


男は俺の腕をつかむ、その力は農耕で鍛えているはずの俺の肉体を容易く[異世界勇者]に突っ込んだ。

腕が肩まで入る。


「うっ!」


言葉が出せない、おぞましい肉の塊が動いていることが嫌でもわかる。


「顔まで突っ込んどくか?」


「やめろっ!」


唐突に叫んだ俺は後悔した。


「やめろじゃねえだろ!やめてくださいだろうがよ!!誰に口聞いてんだよクソガキ!!!」


男は俺の顔を執拗に殴った後、気がすんだのか強引に肉塊に顔を突っ込ませた。


「てめえが勇者だろうが何だろうがよ!使えなきゃただのゴミなんだよ!てめえもこいつも対してか変わんねえよ!」


「死ぬ気でこいつを元戻せよ!!おら!!この肉の塊とずっと一緒にいるか!?あはははは!!」


俺がずっと祈っていた。回復することを、この狂った男が正気に戻ることを。





どれ程の時間が経っただろうか。男が俺を取り出した。


「さあて、上半身ほとんど突っ込んだけど肉塊を少しは癒したか?

成果が見られるまでやれって言われてんだ、次は全身死ぬまで突っ込むからな。」


「あ?てめえ全然治してねえじゃねえかよ!!自分の顔を赤色で染色しただけか?」


そういって再び顔を殴ろうとする。

疲弊して動かない俺は拳の衝撃を覚悟した。


だが、男が俺を殴ることはなかった。


「あれ、お前できんじゃねえかよ。顔腫れるぐらい殴ったのにもう引いてやがる。

それともこの肉塊に突っ込んだからか?」


「これが成果ってことで良いか。おい、生きてるか?」


疲弊した俺は意識を失った。




暗がりの中で目を覚ます。

目の慣れぬうちに俺は声をあげた。


「なっ、どこだここは!誰かいないのか!?」


自らの腕が思うように動かない。両手足が拘束されているようであった。


「お目覚めか?俺はお前の鍛練を担当することとなった。王宮審問官だ。」


闇に慣れた瞳が映し出しのは、朝の男の姿であった。

冷静になり状況を思い出す、俺は鍛練で気を失ったのであった。


「混乱しているようだな、お前が今いるのは王宮の地下深く拷問室だ。これから一週間、お前にはここで鍛練受けてもらう。」


「拷問室!?何のために!?」


「拷問」という単語に心臓の鼓動が早まる。


「魔族だったり獣族だったりをここに収容するんだ。拷問を加えて情報を吐かせる。その情報で新しい技術を産み出してきたんだ。

非力な俺達はそうもしなければ生き残れない。」


魔族や獣族を拘束できるのであれば俺が脱出することは叶わないだろう。


「いわばこの部屋は人族の未来が産み出される部屋さ!こんなところで鍛練ができるなんて光栄だなあ!」


さらりとおぞましいことを言いはなった審問官は話の終わりに俺の顔殴った。


「お前の鍛練はここで拷問を受けることだ、1度回復は成功してるんだからできるだろ?」


審問官が嫌みたらしい顔で笑う。


「朝のは、自分でもよくわからないんです...」


「だから優しい俺たちがその再現をしてやるよ。お前が気絶する度にあの肉塊の中に突っ込んでやる。肉塊は腐るほどあるから安心しろよ!」


「だがお前の回復技能に肉塊は関係ねえかもしれねえ、だから最終日はあの肉塊には突っ込まねえ。」


「あの肉塊は嫌だっ!拷問だって一週間も耐えられるはずがない!」


「うるせえな!王宮の魔術師共がそう決めたんだよ!だいたい、耐えられなきゃてめえが死ぬだけなんだよ!!」


加減もなにもない男の拳が腹部に突き刺さる、朝から何も食べていないことが幸いした。


こうして俺の鍛練が始まることとなった。


一日目は抵抗のできない俺はサンドバックとして扱われた。


審問官以外にも何人もの男がこの拷問室へと入ってきた。

平和なこの世界に鬱憤が貯まっているようで男が途切れることはなく、俺でストレスを発散していった。

しかし俺の意識は何度も飛ぶこととなり、肉塊のなかに突っ込まれた。


二日目は頭部へのダメージも重かったためか意識は混濁し、常に生死の境をさ迷っている状況であった。




三日目、少しの休息の後に審問官は拷問器具をもって部屋に入ってきた。


「お前は、絶対に殺すからな...」


話す余力を持った俺は無意識にそう発していた。


「あははは!バカかお前は!!今お前の命を握ってるのはこの俺なんだよ!!お前はこの二日間生き残れたのは自分の能力だと勘違いしているようだな!!」



「いいか?拷問は殺さずに生かす技術なんだよ!王宮審問官長の俺ともなれば、最大限の苦痛を与えつつ生かし続けるなんて容易いんだよ!」



「王宮の人間はてめえに期待なんてしてない、だからてめえを殺したとしても「鍛練に耐えきれなかったゴミ」として処理されるだけだ!」


自分の生が希薄となったとき、頭の中には両親の姿があった。


「王宮は、俺が[勇者]になったことを、両親に伝えたのか?」


「ああ、王都は学問の修了って名目でお前を管理下に置いたと伝えたよ。多額の寄付金と共にな。」


何も考えられなかった。

俺が死んだとしても、王都は不慮の事故として両親には報告するだろう。


「さあ、準備も整ったし続きを始めるぞ。今日からは殺す気でいくからな。」


男は俺の腹部にナイフを刺した。



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