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不死身の勇者の復讐譚  作者: 元カノ
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[異世界勇者]の歓迎式

王室に入ってから気づく、俺は王宮での礼儀作法を知らない。

多少間違っても「礼儀知らずの田舎者」として許してくれるだろうか。


横一列、広大な王室に歩を進めると、前方の騎士が止まるように言う。


数段上の豪華絢爛な椅子に座した王と思わしき人物が言葉を発する。


「ようこそ、我が王宮へ。異世界からの客人よ。そして稀代の勇者よ。」


「貴公らが我が時代に生を為し、到来したことを素晴らしく思う。」


「貴公らは、人々の矛であり盾である。今生にて勇者としての勇猛果敢な活躍を祈念している。」


開かれるかどうかも不明であった歓迎式、王宮側はきっと長年この式典の開催を心待にし、準備してきたのであろう。


この厳粛な雰囲気は二日の準備では出せるものではない。


「永生中立の人族であるが、現在それは脅かされている。

それは魔族という、先の戦勝である種族が再びの戦禍を巻き起こさんとしているのだ。

貴公らには、どうか人族がこの災いの犠牲となる前に魔族の矛をおさめさせて欲しいのだ。」


「その過程で戦に巻き込まれることもあるだろうから。

その時は勇者としての才能を遺憾無く発揮して頂きたい。」


「異世界からの客人、山崎峰人、藤宮類、和泉健吾よ。

貴公らの人智を越えた異世の才能を世にしら示せ。」


「そして誇り高き王宮の勇者、ハイネ・バレンシティよ。王家の威光を存分に振るうと良い。」


「そして___」


次は俺の紹介だ、一体どんなお褒めの言葉を頂戴するのだろう。


「支援の使い手ソルテよ、貴公は回復限定の才能であるが。傷ついた仲間を癒すことに複雑なものは必要としない。一意専心の回復技能で仲間の溝を埋める勇者となれ。」


ハイネが言うからどんな罵詈雑言を受けるかと思えば、多少強引ではあるものの良い奨励を受け。


「貴公らは[勇者]の適正が出て日が浅い。今日はひとまず休息を与えるとして、明日より鍛練を受けてもらう。

一週間後、貴公らの才技を民衆の前で発揮してもおう。」


「その後、貴公らには魔族の領地へと向かってもらう。

他種族では未だ争いが止まぬ所もある。無力な我々では歯が立たぬが必ずや貴公らであれば為し得るであろう。」


「これにて歓迎式を閉幕とする。」


そこから先は早かった、騎士が声をあげ、俺達は門へと向かう。

どうやら本当に帰れないようだ。隣のハイネは浮かない顔をしている。


扉の前では数えきれぬほどのメイドが佇んでいた。


五人の勇者に均等に別れるかと思いきや、その大半をハイネが引き連れ、残ったメイドも異世界からの客人にそのほとんどがついていった。

俺に残ったのは第三メイド長のリーニャと他二名であった。


「今日の宿のあそこなのか?」


「ええ、当分はあそこで滞在して頂くことになります。」


彼女もすでに俺の適正を知っているのはずである。

回復の才能しかない勇者、それも現在では回復技能すらも持ち合わせていない


「ではここでお泊まりください、私は王宮へ戻りますが、こちらのメイドがソルテ様をお世話致します。翌朝、お迎えに上がります。」


そういって彼女は王宮へ戻った。

残されたメイドは俺と話そうとしない。ずっと俺の部屋の前にたっているようだ。

これでは軟禁ではないか。

ともかく俺は翌日まで暇をもて余すこととなった。




午前4時


「お迎えに上がりました。」


俺はすぐリーニャのあとに続いた。


「なあ、ハイネ達はどこの部屋なんだ?」


「姫様は王宮の最上階でお休みです、他の勇者様もソルテ様のように他区画の宿屋でお休みです。」


何だ、彼らも俺と同じ扱いなのか。


王宮へつくと、裏庭に通される。

勿論この間に、衣装室にも通されている。


そこにいたのは見たことも無い何かであった。


「この者は、遠征にて事故に遭い満身創痍で帰還しました。

この者自らソルテ様の鍛練に着きそうと志願いたしました。」


これが元人間?

一体何が起きると人の形はここまで変形するだろうか。

一言も話さぬ「ソレ」が志願したと淡々と語る男は無表情であった。


「ソルテ様、自信の才能を振るってくださいませ。」


振るう?何を?知識を持たない俺に一体何を振るえというのか。


「今まで...回復技能を使って来なかったから...わからないんです。」


「はぁ?何言ってんだよお前!!良いからこいつをつかえるようになるまで傷を癒せって言ってんだよ!!」


不気味な男の口調が突然変わった。


「わからないです。どうすれば彼が回復するのかも、回復がなんなのかも。」


「ああ!?でもお前勇者何だろ?自分で考えろよ!!つべこべいってないでやれよ!」


「やれと言われても...その...わからないんです。」


俺は完全に畏縮してしまっていた。できないことをやれと強要される

ここまでなんとかなると甘えていた俺は、すぐ逃げればよかったと思っていた。


だが、俺はまだこの時ですら甘えが残っていた。

永生中立のその陰に何があるのかを知ることになる。

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