再びの王宮
俺の勇者としての適正は[支援]、それなら未だしも回復限定という札付き
勇者の評価としては人々からの落胆避けられず、王宮は俺を道具として使い潰す
勇者としての評価が広まってしまったこと事態誤りであったと思う他ない
宿屋の扉が再び開く
「お待たせ致しました、ソルテ様。歓迎式の準備が整いましたのでお迎えにあがりました。」
そこにいたのはメイドのリーニャだった。
「歓迎式?君が先程来た少女の迎えか?というか丸一日放っておいて急な話だな。」
「それについては申し訳御座いません。王宮にて早急に対処すべき事態が起きましたので。
王宮にて午後3時から歓迎式が催されます。ソルテ様もご招待なされていますので、どうかお付き添いくださいませ。」
先程の少女?とリーニャは困惑している
話が食い違っている気がする。
それにしても俺が勇者だと判明したのは二日前、それから歓迎式を準備したとなれば嫌に早い。
リーニャが歓迎式の準備に呼び出されたのだとしたら、俺を置き去りにしたこともあり得る...か?
「外に馬車を御用意してあります。」
そういって外に出るリーニャについていった。
元々持ち合わせのない俺は特に準備する必要もない。
馬車があるなら初日に乗せて欲しかった、と思いつつリーニャの正面に座った。
「早急に対処すべき事態って歓迎式にの備か?」
「そうで御座います。」
勇者の案内より勇者の準備を優先したのか
とすれば、王宮の俺への期待はどれ程のものであるのか。
「君は俺の勇者の適正を知っているのか?」
「いえ、存じ上げません。歓迎式で告示される手筈になっております。
現在知っているのは、検査員ぐらいではないでしょうか。」
これは不味い。彼女の言った評価が真実であれば、俺は歓迎式という重要な場で王宮の失望を受けることになる。
そもそもリーニャが彼女指す「迎え」では無かったのだろう
リーニャについてきてのが間違いであった。
馬車に揺られること数分、王宮の方から人々の歓声が聞こえてくる。
「すごい歓声だな。なあ、聞きたいことがあるんだが。。」
「ソルテ様、なんでございましょうか。」
「歓迎式が勇者の開かれるには早すぎじゃないか?俺が勇者の評価を下されてから二日しかもたっていないぞ?」
「勇者様とも為れば人族のこれからを左右する方に御座います。それほど王宮は丁重な扱いを施すのでしょう。」
歯切れの悪い顔を表すと
「申し訳御座いません。勇者様の歓迎式をこの目で見ますのは初めてですし、私も王宮から歓迎式を開くことしか存じ上げないのです。」
と続けた。
リーニャ自身も早すぎると感じているのだろう。
それほど丁重な扱いを受けるのであれば尚更歓迎式には行きたくない。
いや、むしろそうであれば例え回復適正しか持ち合わせない勇者での重宝されるだろうか。
歓声をあげる民衆をよそに馬車は王宮へと辿り着いた。
「足元にお気をつけください。」
リーニャに案内されて俺は初日に通された衣装室へと入った。
その後リーニャの後ろに続き、王宮の最高層へ向かう。
「では、こちらの部屋でお待ちください。」
待合室に通されると、そこにはより豪華な装いに身を包んだ先程の彼女と見まれぬ身なりをした同年代のような青年が三人いた。
時計は午後2時40分を指す。