「農民」の日常
初執筆です、楽しんでいただけたら幸いです。
キーワードの舞台は追々入ってきます。
「いい天気だな~」
太陽煌めく晴天の下、洗濯物を干しながらふと呟いた。
平和を表現したような牧歌的な風景がどこまでも続く辺境の村で、少し飽き飽きしてもいるがやはり晴天というのはいいものだ。
だが、数十年前まではこの辺りは荒廃していたようだ。
魔族、獣族、竜族、力を持つ三族を発端とした戦争に巻き込まれた人族は淘汰の危機に瀕しながらも
奇跡的に生き残った。
そして、このような穏やかな日々を過ごしている。
「ご飯できたよー!」
一階から聞こえる音に反応して、僕は美味しそうな匂いの元を辿った。
階段を降りると既に配膳されていた。
「干し終わった?早く食べましょ」
「丁度終わったよ」
母と他愛ない会話をして食事を始めた。
「お前、昨日で16になっただろ今日受けるのか?」
「うん、今日行ってくるよ。多分農民だろうけどさ」
父の言う「受けるのか?」とは16歳で受けることのできる職業評価適正検査である。
王都に置かれた17の検査場で受けることができ、
自分の能力を数値化し、適正である評価を下す。
その評価に基づいてどのような職に着くかを決めることができる
「農民だって結構いいぞ?生産職だし」
「農民っても、戦士だってやろうと思えば農作できるじゃん」
評価には職業が出るがこれは人間が分かりやすいように決めた物で絶対ではない、昔は0-zの数値で評価をしていたが現在ではより柔軟に見ることができる
「昼過ぎたら王都に行ってちょっくら受けてくるわ」
「これ食べて午前中に行かないのか?昼過ぎたらあそこ混むぞ?」
「午前中にトマトの管理しないと、そろそろ収穫だし」
「農民じゃねえか!」
「まだ決まってないわ!」
父とそんな軽口を叩きながら空になった皿を洗い畑に向かう
このときはどんな職が適正でも父の仕事を継ごうと思っていた。
ならば王都に行かなければ良かったのだ。
適正さえ出なければこの幸福な日々を手放さずに済んだのに。