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異世界=勇者!じゃなくて魔王だっ!!   作者: リーマンズ・ハイ
19/23

 19話 魔王、ガルドと決する!


 

 ドッゴーーーンッ!!

 

 リリアがドアを蹴破って部屋を出た

 

「おい・・・おいっ!待てよ!リリア!」


 シュベルがリリアの後を追った。

 

(ったく、怒ったら恐ぇーなぁーー・・)


 リリアを追いかけ、王宮のメイン通路にでた。

そこには、打ち倒した魔人兵は跡形もなく

消えていた。

ただ、通路の横に、パメラの流した

血痕だけが残っていた。


(パメラ・・・助かったのかな?・・)


 リリアもその血痕の前で佇んでいた。

シュベルは駆け寄った。


「ヨースケさん」


「うん」


「ガルドって奴。許せません!」


「あぁ!」


 その時、周囲がボウッと薄暗くなった。

そして、どこからか声が聞こえた。


「ほぅ・・逃げずにいたのか・・」


「ガ・・ガルドの声だっ!!」 

 シュベルが呟いた。

 

「えっ?!」

 リリアが周囲を見回した。

 

 シュベルらが通路の奥を見る。

すると、十数メートル向うに

上からゆっくりと紫色に光った

大きな物体が降りてきた。


「リリア!ガルドが来たぞ!!」


「あ・・あれが?」


 やがて一塊の光は形を変え、

ガルドの姿になった。

 

「フッフフフ・・シュベル・・久しいな・・」


「テメェ・・・・」


「ほう、そっちの人間の女は、勇者か」


「そうよ!貴方を倒しにきたわ!!」


「ふんっ!!お前ごときに私が倒せるものか・・

 シュベル。

 貴様、こやつに魔王の力を

 教えてないのかぁ?

 ハハハッハッハ」

 

「バァカ。リリアは強ぇーぞ?

 そんなこと言ってっと

 お前、泣かされちゃうよ??」

 

「ほう?そうか・・では挨拶代わりに・・

 これだっ!!」

 

 ガルドは右手をリリアに向け振り下ろした。

 

「危ないっ!!」


 シュベルは瞬時にリリアを抱き、

回りにバリアを張った。

 

 ガルドの指先から濃い紫いろの光の

大きな輪が、シュベルらに命中した。

 

「グッ!!」


 シュベルらはバリアごと

王宮の出口を抜け外まで弾き飛ばされた。


王宮に入る階段からも弾き飛ばされ

リリアを抱えたまま倒された。


シュベルが張っていた結界までも壊された。

 

 ドンドンドーーンッ  

 

(く・・クソッ!!結界まで!!)


「リ・・リリア!大丈夫か!?」


「は・・はいっ・・ッツツ!!」


 リリアは右足が折れたようだった。


 ガルドは浮かんだまま、スゥーーッと

 王宮の出口まで来た。

 そしてシュベルらを見下ろして言った。

 

「おぉ?これはデジャブか?フッフフ

 どこかで見た風景だなぁ・・・

 あぁ・・そうだった・・いつか

 どこかの愚かな竜が、お前と同じように

 そこでくたばっておったなぁ・・・

 ハハハッハハハハッハ――!!!」

 

「テ・・テメェ・・許さねぇ!!」 


「ふん、それとシュベル安心しろ。

 魔人兵はもういないぞ?

 ククククック・・魔人兵共は皆、

 ゴルガ大陸に行かせたからな・・」

 

「な・なにぃっ!?」


(あの・・裏門で見た軍は、ゴルガ

 侵攻要員か!!

 あれじゃ、獣人の戦士なんて

 10万居てもイチコロだ!

 ヤバい・・ヤバいぞッ!

 軍が着く前にガルドを倒さないと!!)

 

「ざ・・残念ながら、こっちも準備してた

 もんでねー・・

 テメェの思うよーにはなんねーよ!」

 

「クックックク・・ほぅ?準備ねぇ

 貴様の言う準備とは・・このことかぁ?」

 

 というと、ガルドはサッと左手を上げ。

空一面360度にビジョンを広げた。


 そこには、リベラ率いる10万の獣人の

戦士たちがこちらを見ている

映像が映っていた。


「こ・・これは・・なんだ?」


「ふん、シュベル・・貴様こんなのも

 知らんのか?

 呆れた奴よ。これは念視だ。

 我が軍の魔人が見ている景色だ」

 

 獣人達は、まだ戦いに入っていない

ようだった。

 

「こんなの揃えた処で・・愚かな奴らだ・・」


「それと、これも見せてやろう・・

 これも貴様の言う、準備か?」

 

 パァッと映像が変わった。

そこには、ローゼリと戦闘中のザリアスがいた


「そうだよ。今、お前らがライトリムに

 入らないようにな!!」


「はぁ?クッククク・・分かってない

 ようだな?シュベル?

 これは、ライトリムの国内だ」

 

 すると、映像がグーンとズームアウトした。

空からライトリム公国の国境辺りを

映している画像だった。


「こ・・これは・・」


 そこにはザリアス軍が、前と後ろから

挟み撃ちに合い苦戦している様子が映っていた。 

 

「それとこれも御見せしよう・・フフフフ」


 また映像が変わった。

映っていたのは、木のツルで縛られたクロと

無数の魔人軍と孤軍奮闘している、

レイグリッドの姿だった。


「レイグリッド!!!

 魔人兵は上陸してないはずじゃ・・」


「フフフッフ・・アー―ッハッハハハ――!!

 愚かモノとはお前のことだ。シュベル!

 お前が必死でどうにかしようとしていた

 海路の兵は、偽装した一般人だ!

 アッハハハ!!」 

 ガルドは勝ち誇ったように、

シュベルを見た。

 

「この魔人兵たちは

 既にファデラに隠れておったわ!

 この舞台のためにな!!」

 

「テメェ・・めんどくさい事しやがって・・」


「ほう?これは作戦だ・・

 作戦に手間を掛けろと

 私に言ってたのは、お前ではなかったのか?

 んーー??シュベル・・フフフ」

 

 ガルドは続けた。

 

「レイグリッド、リベラ、ザリアスとお前。

 4人相手では、さすがの私でも苦しいのでな・・

 バラバラにさせてもらったまでさ」

 

「へぇ?テメェ、

 オレに勝てるとでも思ってんのか?」

 

「ふん!貴様の魔力など、たかが知れて

 おるわ!

 貴様の魔力は先代の魔王のを

 受け継いだもの、

 今や、私は先代魔王の力など

 とうに超えておるわ!数倍もな!」


 そしてガルドはリリアを指さし言った。

 

「それにな、お前は魔王の魔力を解放

 できまい?

 そんな事をすれば・・そこにいる貴様の

 可愛い女勇者が、ズタズタになるからな・・

 フッフフフ・・」

 

 それを聞いたリリアが、シュベルの

腕を掴んで言った。

 

「ヨースケさん!!!構いません!

 勝てるなら・・勝てるなら、

 その魔王の力というのを

 解放してください!!」 

 リリアは、キッとした目で

シュベルを見た。 

 

「リリア。そうはいかねー・・リリアを・・

 勇者を死なせるわけにはいかねぇ!

 勝っても意味がなくなる!!

 どんなことがあってもだ!!」


「ふふふふ、あはははは!

 やはり、貴様は甘い。

 それがお前の命とりよっ!!

 人間など下等な生き物だ!

 それに情を掛けるとはなぁ・・

 そんなお前の下で働いていたとは・・

 我ながら情けない事よ!!」


「グダグダいってねーで、やってみたら

 どーだ?

 オレに通用しねーかもしれねーから、

 ビビってんのか?」        

     

「ふん!そんなに死にたければ死ねばいい!

 食らえっ!!」

 

 ガルドは強烈な電撃斬覇を放った。 

 

 シュベルは咄嗟に動けないリリアをバリアで包み

十数メートル付き飛ばした。


 ドンッとリリアは建物の壁にぶつかり

気を失った。

 

(すまねぇーリリア・・)


 シュベルは攻撃を避けたものの

完璧な防御には間に合わなかった。

 

 ギギッギッギズズズゥーーンッ!!!

 

「グッ!!クソッ!!」


 シュベルは左足に攻撃を受けてしまった。 

 

「ふっ!どうだぁ、シュベル、貴様の

 魔王としての力を解放してみろぉ?

 遠慮しなくてもいい

 クックククク」


「なにを!」


「まぁ魔力を解放したら、そこにいるお前の

 大事な人間の女はひとたまりも

 ないだろうがな

 ハッハハハハ!!愉快だ!!

 ワッハハハ!」

 

 ガルドは余裕の高笑いをした。

 

「あそうだぁ、そこの勇者にも死んでもらわないと  

 行けないんだったわ・・先に殺すか・・」


 と言って指先をリリアに向けた。

 

(バリアを張ってても、あれじゃ守り切れない!)


 シュベルは咄嗟にリリアの前に瞬間移動した。


 ズズズドゥーーーンッ!!

 

「グワァーーーーーッ!!」


 シュベルは今度は背中に攻撃を食らった。


 そして、黒炎爆裂弾をガルドに向けて撃った。

 

 ブシュゥウウウッ・・ドッドーンッ!!

 

 ガルドに命中したが、バリアを張られていた。

 

(クソッ!やっぱ魔力を解放しねーと

 効かねーっ!)


「ほう、まだ攻撃する気力はあったか・・

 メンドクサイな。

 貴様はもう私に負けたんだ・・

 知略から力から全てにおいてな!!」

 

 ガルドは冷酷な視線をシュベルに放った。 

 

「さあ、トドメだ・・その女共々、

 消えるがいい!

 クックク・・アーハッハハハ!!」

 

 その時、突然、念話が入った。   

  

「シュベル様!」


「ミ・・ミリア!!」


「遅くなりました!

 私は今、シュベル様の上空にいます! 

 ステルススキルでガルドには

 気づかれておりません

 お助けします!」


「オレはいい!オレの横にいるリリアが

 見えるか?」


「はい!」


「急降下で速攻で捕まえて、ここから離れろ!

 時間を稼ぐ!」

 

「わかりました!」

 

 念話を切った


「クッ。とどめだと?

 舐めた口きいてんじゃねえ・・

 ふん、テメーの攻撃なんざ、屁でもねぇ!」 

 シュベルは続けざまに黒炎爆裂弾を十数発放った。

 

 辺りが爆発煙でもやがかかっていた。

 

「往生際が悪いとはこういうことなのだな・・

 いくら今のお前があがいても、

 無駄なこと・・」

 

 とガルドが言いかけたとき

天空より直下降で降りてきたミリアが


ドォーンと着地し、すぐさまリリアを抱え

急上昇した。  


「な・・・・白竜!!!殺したはず!!


 ガルドは驚いた。

 そして    

「くそっ!」と呟いた。


 シュベルが遠く飛び去るミリアを見て

ニタリ・・と笑った。


 狡猾な魔王の顔になっていった。 


「ばーか、生きてんよ。魔界竜を舐めんな。

 さ、これで心置きなく、魔力を解放できる」


「ふん!貴様が魔力を解放したところで

 私には勝てぬよ・・まだわからんのかぁ?」


「へぇ、そうかぁ、テメー、オレの

 真の力しらねぇな?

 ふっ・・バカじゃねーか、やっぱり」

 

「な・・・ふん、なにを小賢しい!!」


「オメーさ、魔王の魔力ってのは実績によって

 増幅するってのしらねーのか?」


「ふん、なに実績だ、ばかばかしい!!」


「オレはサー、今までフルパワーなんか

 やったことねーけど・・・・

 わりーが、全部ひきだしたら恐ぇーーぞ?」

 

「私こそお前に教えてやろう・・

 魔力は殺したモノの数でも増幅するのだ。

 貴様たちが殺した囮の10万の兵の魔力は

 全て私に返ってる。実績などクソだっ!」

 

 ガルドが吐き捨てるように言った。  


「あ・・実績をバカにしたな?テメェ・・

 オレは歴代の魔王の誰よりも、魔界に収穫と

 利益をもたらしているんだぜ?知ってたか?」


「ふん、それがどうした、たかがしれとるわ!」


「そうか?おれはさー魔力を無駄遣いしねーから

 溜まってんだよねー・・性欲もだけど。ウフ!

 もうさ、溜めて溜めて~~ぇ~、

 オレの魔力の定期預金は

 満期でパンパンなんだわぁ!」

 

 とシュベルは持てる全ての力を解放した

辺りが、紫では無く、漆黒の闇に包まれ始めた。


 同時に生物が生きて行けないほどの

濃度の高い瘴気が辺りをつつんだ。

もう、人間では呼吸ができないレベルだった。


 ゴゴゴゴゴーーォオオオオオッ!!!

 

 シュベルの姿が数倍の大きさに膨らみ始めた。

顔はまさしく大魔王の恐ろしい形相になり

肌は赤黒く、眼光は鋭さを帯び、頭の両サイドには

角が生え、額には第3の目が出てきた。 

 

「な・・・なに?ば・・・ばかな・・・」

 

 ガルドはたじろいだ。

すぐさま、持てる最大の威力の魔法、

核電放射爆裂をシュベルにぶつけた。 

 

 シュウゥウウッ・・ドドォーーンッ!!

 

 辺りが煙で包まれた

 

「効かねーよ・・そんなの。テメェ、オレを誰だと

 思ってんだ?」

 

 そういうとシュベルは、ムンズッと左手で

 ガルドの首を捕まえて持ち上げた。


「今のオレには魔法もなーんも効かねー

 もちろん、お前のバリアもだ」   


「ぐわぁーーーッ!な・・・くそッ!

 く・・・は・・離せっ!」


「そうはいかねーー。テメェにお仕置きしなきゃ

 なんねぇーんだ。元上司としてなっ!!」

 

「な・・・何を・・訳のわからんことを・・」


 ガルドはもがいたが、身動きが取れなかった。 


「さぁ・・まずこれはミリアの分だ」


 ブブチッ!・・ドッバァー・・


「ギャァ―――――――ッ!!!」


 シュベルは右手で、ガルドの両足を

引きちぎった。

 辺りに鮮血が飛び散った。 

 

「そして・・これはパメラの分だ」


 ブチッ!ブブチッ!

 

「ウッギャァ―――――――ッ!!!」


 シュベルは今度は両腕を引きちぎった。

 

「や・・・やめてくれッ・・もう・・やめ・・

 あぁ・・イテェ・・イタイよイタ・・」

 

「そうだ、イテェだろ?お前もやったことだ

 ガルド。

 魔王に慈悲はねーんだろ?」

   

 するとシュベルはガルドの頭を掴んだ。

 

「や・・やめ・・やめて・・」


「そして最後は、リリアの分だっ!!!!」


 ・・・ブチン・・・・



 シュベルは元の姿に戻った。辺りは瘴気は消え

青い空が広がっていた。


 シュベルは魔力を放出し、さらにガルドの

攻撃を受けていたため、動けないでいた。

倒れたまま、仰向けで青空を見ていた。 


(終わったなぁ・・リリアにトドメを刺して

 もらうつもりだったけど・・仕方ないか。

 ま、勇者が生きていて魔王が消えれば、

 結果は同じだからな・・) 

 

 遠くから人々の声が聞こえた。

 

(あぁ・・・人だ・・魔人の声じゃない・・)


 シュベルは意識が遠のいていった。

  

 

   

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