16話 魔王、決戦前!
ザーロの街を出て、二日後。
シュベルらは、帝都(帝国王都)
に着いて・・・・
無かった。
彼等は、今、走って、逃げまわっていた。
「あーーーーーーーーーーーっ!!」
「えーーーーっ!!」
「ダメだ―ー!!リリアーー!!
そっちに回るなー!」
「はいーーっ!!」
「パメラーー!アカ――!左だーー!!」
「あの岩陰かっーー??」
「こっちですー!!パメラ殿ーー!!」
「逃げろーーーっ!!!!」
4人は大きな岩に隠れた
無数の魔人兵が、追ってくる
「ハァハァハァ・・揃ったな、移動だ!!」
シュンッ!と4人が消えた。
そして
少し離れた森に置いていた馬車の
傍に現れた。
「ハァハァ・・ヨ・・ヨースケ・・
その、ヒットなんとかという作戦・・
ハァハァ・・ダメなんじゃないか?ハァハァ」
リベラが下を向き、肩で息をしながら言った。
「そうですよ・・ヨースケ様・・ハァハァ・・
これで何回目ですか?・・失敗・・ハァハァ」
アカも息を切らしていた
「ハァハァ・・に・・逃げるのは・・
早くなった気がしますぅ・・ハァハァ」
リリアも苦しそうに言った。
ザーロの街を出て、帝国内に入ったシュベルらは
いきなり数千の魔人兵と出くわした。
自ら立てた「ヒット&ウェィ作戦」をやろうと
懐疑的な他の3人を、シュベルは意気揚々と
引っ張ってやったものの、結果は惨憺たる
ものだった。
連携がウマく行かないのもあったが、
帝国内の魔人兵達は魔力も強く、
統率されていた。
しかも、100人レベルの分隊で数十隊が
陣形を組んでいたため、攻撃どころか逃げるのが
精いっぱいだった。
その後、、次はウマくいく、次はウマくいくと、
シュベルに言われ、渋々アカらはやってみたものの
ことごとく失敗だった。逃げ回って終わりだった。
逃げながらでも、帝都には近づいていたが
帝都に近付くにつれ、遭遇する事も段々
増えていった。
そして魔人兵も強くなっていった。
「ハァハァ・・お・・おかしいな・・
今度は・・ハァハア・・
うまくいくはずだったのに・・」
「ヨースケ様・・ハァハァ・・もう、
この作戦はやめましょう・・
ここまで無事に来れたのが奇跡ですよ・・」
アカがシュベルを見て言った。
「あ~~・・チキショー・・
ウマく行くと思ったのにーー・・」
「もういいんじゃないのか?・・
帝都はもうすぐだ」
パメラもシュベルを見た。
「あーーっ!!もうやめだっ!作戦中止!!
ここからは、ガチンコだ!」
シュベルは、やっと・・・
やっと観念した。
アカとパメラがホッとした顔をした。
幸い、結果的に逃げ回っただけなので
弓矢も装備も消耗してなかった。
単純に、走って体力が付いただけだった。
「もう、こうなったら帝都までは
逃げて、隠れて辿り着いてやる!
帝都に入ったら、ゲリラ戦だ!」
帝都はもうすぐそこだった。
------旧魔王国-----
ゴルガ大陸への出入り口が全て封鎖された。
ドワーフの働きで、完璧な封鎖だった。
「出来ましたね、ザリアス殿」
「いやぁ、ドワーフ達のお陰で、
いい感じに上がりました」
ザリアスはレイグリッドに嬉しそうに返した。
「さぁリベラ殿、封印してもらえますか?」
封印を施すのはリベラの役回りだった。
「はぁい」
リベラは封鎖された出入り口の前に立ち
ガチガチの強力な封印をかけた。
元々、魔王に匹敵する魔力の持ち主で
あるが故に
この封印を解くのは、魔王しか出来ない
レベルであった。
「出来たわよぉ、もう特製の封印。ウフフ」
「ご苦労様です。リベラ殿、ゴルガ大陸の国境の
配備はどうですか?」
「もう、今日で終わるみたい。
砦も出来たって言ってたわ」
「あ、自分の兵も、ライトリム公国の防衛線に
もうすぐ、配備できます。
ドワーフ達に、邪魔だから、
さっさと行けと追いやられまして
ハハハハ・・」
「ハハハ、シュベル様が以前言ってた
『モチはモチヤ』ですな?」
レイグリッドがザリアスを見て言った。
「しかし、モチってなんなのでしょうねぇ・・」
リベラが呟いた。
「さぁ・・?あの方の考える事は我々には
思いつかない事ですから・・ハハハ
わかりません」
レイグリッドは空を見上げ、独り言のように
呟いた。
レイグリッドにアオから念話が入った
「レイグリッド様、よろしいですか?」
「はい。いいですよ」
「海魔族ジウバ様より、明日、船が
魔王国に到着するみたいです」
「ほう・・早いですね」
「はい、なんか思ったより船が軽かったとか
仰ってましたけど・・」
「そうですか。いよいよですね」
レイグリッドは念話を切った。
「ザリアス殿、リベラ殿、
明日、船が到着します」
「ということは・・・・」
ザリアスが聞いた
「そうです。明日、決行されます」
「じゃぁ、私達も準備しなくちゃですねぇ」
「リベラ殿は、魔王国に兵が到着次第、
入り口に結界を張ってください」
「わかりましたわぁ。結界を張った後、国境に
移動します」
「よろしくお願いします。ザリアス殿は、
ライトリウムの国境に移動してください」
「承知いたしました」
「私は、明日、ファデラ王国の北岸へ行きます
フフフ・・ゲランかローゼリの無念の表情でも
拝んできましょう」
-----帝国王都 王宮-----
ガルドの元に、ゲランが現れた。
「ガルド様、海路組が明日、到着するようです」
「フッフフ・・いよいよだな」
「はい。ホッホホホ」
「奴らの絶望する顔が楽しみだ・・・」
「ガルド様、シュベルがこの王都の近くまで
来ております」
「そうかぁ・・ハハハ、
王都にはスンナリ入れてやれ、
どうせ袋のネズミだ」
「ハッ。そのように」
「クククック・・盛大に歓迎してやる。
果たして、私の所まで辿り着けるか・・
まぁ、辿り着けても・・最早シュベルなど
私の敵ではないがな・・・
ハハハハ・・・アッハハハハ!!!」
----帝国王都前-----
シュベルらは帝国王都の近くの林の陰から
王都の様子を伺っていた。
「なんか変ですね、王都なのに門に
兵が少ないですが・・・」
アカが訝し気に言った。
「罠かもな」
シュベルが呟いた。
「ありうるな・・我らが入るのを
待ち受けているやも知れん」
パメラが同意した。
「どうしますか?城壁から忍び込みますか?」
リリアが尋ねた。
「うーーーん・・・ちょっと考えよう」
(オレたちが、あんなに派手に逃げ回ってりゃ、
間違 いなく情報はガルドに行ってる。
警備を固くするのが常だが・・・・
これ見よがしにウェルカムだ。なんかある。
まさか・・ガルドが居ないとか??・・
いや、そんなはずはない。
アイツの性格だ、オレを足元にひれ伏させ
勝ち誇りたいと思っているだろう。
今さらながら、性格わりぃーなぁ・・アイツ)
「よし、城壁から行こう!
でもここからじゃない。
王都の裏側に回ろう!」
「承知した」
「はいっ」
「わかりました」
4人は王都との距離を取りながら、
裏手の門へと行った。
王都の中は、中心に王宮があり、
裏手の門は王宮の裏手へと繋がっている。
表と裏では王宮で分断されているのであった。
シュベルらは、周辺の林や森を抜け、
大きく迂回して裏手近くに辿り着いた。
その時、レイグリッドから念話が入った。
「シュベル様、よろしいですか?」
「あぁ、レイグリッド。これから王宮に
入るところだ。どうした?」
「はい、本日、ガルドの兵が魔王国に
到着します」
「早いな?」
「はい。しかし封印は完了しておりますし、
こちらの準備も整っております。
いつでも対応できます」
「じゃあ、これからレイグリッドは
ファデラ北岸に向かうのか?」
「はい。これから出ます」
「そうか、ちょっとオレたちのが
遅かったかな・・
なんせ・・逃げ回ってたからな。
ハハハハ」
「これから突入であれば、ほぼ同時に
なるやも知れませんな」
「あぁ、被害が大きくならないウチに片づける
レイグリッドもキッチリと始末してくれ」
「畏まりました。では、ご武運を」
念話を切った。
「さぁ!行くか!!」
シュベルらが、裏門が見える林まで走った。
ほどなく、林に辿り着いた。
シュベルは裏門を見た。
「な・・・なんじゃぁ!こりゃぁ!!!!」
シュベルは思わず声を上げた。
そこには数万の魔人兵が、隊列を成して、
蠢いていた。
「ど・・どうしてここに、こんなに魔人兵が・・」
アカが呟いた。
「こ・・これは間違いなく、オレたちを
迎え撃つ魔人兵だが・・
こんなにもいるとわ・・」
シュベルが息を飲んだ。
(ちょとまてーーーちょとまてよーー
どういうことだ?
オレの計算ではここには
こんなに魔人は居ないはずだ。
しかも見るからに精鋭部隊だ。
ノリッチの戦いで10万
帝国領の制覇に10万
船で運ぶ兵が10万いや、6万で4万は陸路
中央大陸に潜んでいるのが10万
・・数が合わない・・・・
余った兵の寄せ集めでないのは見たらわかる。
完全に統率された軍隊だ。
あれは・・・6万はいるぞ??
裏門一帯を埋め尽くしている!)
「どうする?ヨースケ!」
パメラが言った。
「こりゃもう、正面から入るしかないな
ガルドの奴、オレの動きを読んでいやがった」
「ガ・・ガルドって・・誰ですか?」
リリアが聞いてきた。
(あ、そう言えば、言ってなかったかぁ?)
「オレたちがこれから倒しにいく奴だよ。
魔王だ!」
そう言い終わると、シュベルは先ほど
隠れていた場所に移動した。
シュンッ!
シュベルらは戻った。
「さぁ、こうなりゃ仕方ない。
正面から堂々と行こうぜ!」
シュベルはそういうと、
王都の正面門に歩き出した。
「こっからはノンストップだ。
リリア、オレから離れるな。
アカ!パメラは絶対守れ!いいな!!」
「ハッ!」
「はいっ!」
「我は守ってもらわなくても・・」
「じゃぁ、パメラもアカを守ってくれよ。
お互いに助け合えばいい!
とにかく、絶対死ぬな!いいな!」
「承知した!」
4人は門へと歩き出した。




