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第38話 今日は定休日なのですが(3)
それをお客さまの許へと丁寧に運ぶのが仕事……。
あっ! あった! ありました!
そう、お客様から。
『マスタ~、生一丁~!』
『あぁ~、マスタ~。こっちも生ねぇ~!』
『俺は瓶が良いわ~、マスタ~!』
『あぁ~、私は酎ハイ~!』
『うちはハイボールお願いマスタ~!』と。
お酒、飲み物のオーダーをお客様から頂ければ。
僕は、『喜んでぇ~!』と、声を大にして叫ぶ。
それも?
広島お好み焼き屋【さつき】の店内に響き渡るぐらい大きな声で叫ぶ、お仕事もあったよ。
あっ、はははっ!
はっ、はははっ!
でッ、最後はドナドナ……。
実は僕が焼いた《《広島お好み焼き》》は、この町一番不味いお好み焼きみたいでさ。
僕が焼いて、お客様へと出すと。
そのお客様は、美味しさの余り、二度と来店をしてくれなくなるジンクスがあるから。
僕がお好み焼きを焼くのは辞めた。




