第5話 良くありがちな光景(5)
わらわは甘え声音で陛下へと尋ねた
「いるよ~、エリカ~!」
陛下から直ぐに声が返ってきた。
「あの、陛下、少しいいですか~?」
立ち鏡で自分の下着姿を見て自画自賛していたわらわなのだが。ふと《《あること》》が気になり陛下へと再度声をかけた。
「……ん? 何、エリカ?」
また直ぐに陛下から声が返ってきた。
「あの、陛下、少しばかり試着室の中を覗いてもらえますか? 外から試着室の中が見えないように……」
わらわは少し恥ずかしい恥ずかしいのですが、どうしても《《あることが》》気になるから勇気をだし、陛下へと尋ねてみた。
「……ん? うん、分かった」
陛下はわらわの嘆願に対して最初は悩んだ声……。でも直ぐに頷いてくれて試着室の中を恐る恐る覗いてくれた。
「……何、エリカ?」
陛下は試着室の中に自分の頭を入れるとわらわへと直ぐに首を傾げ尋ねてきた。
「……陛下~、わらわの容姿はレビィアやリムと比べてどうですか~?」
わらわは陛下や娘二人の前では平素を装っているけれど、実は若い二人に陛下を寝取られている状態なので。どうしてもレビィアとリムに対してわらわは嫉妬心とライバル心を募らせてしまう。
だからわらわは陛下に自分の肢体は若い二人に劣っていないか? と勇気を出して尋ねてみた。
「えっ!」
すると陛下はわらわの問いかけが、自分の予想に反するものだったのか? 驚嘆して開いた口が塞がらない状態に陥っているようだから。陛下に変わったことを尋ねたわらわは恥ずかしくて仕方がない。
だからわらわは自分の顔を真っ赤……。羞恥心に耐え切れなくなり、わらわは自分の両腕を使用し、慌てて下着姿の胸や腹部の下を隠し、身体を丸め、陛下の目線から隠した。
「あっ、ごめん、ごめん……。ついついエリカの魅惑的な姿を千年以上も久し振りに目にしたから魅入ってしまい。目の視線が釘付けになってしまったよ。ごめん、ごめん」
陛下は羞恥心で真っ赤になりながら肢体を隠すわらわに対して何度も謝罪をしてくれた。
「エリカは昔と全然変わらない。いつまでも麗しい俺の女神様のままだよ……。だからレビィアとリムの事は全く意識しなくても大丈夫……。大丈夫だから」
陛下は優しく微笑みながら穏やかな口調で、わらわは生前と変わらない容姿だと褒め称えてくれたから。
「陛下~、本当ですか~? わらわは大変に嬉しいです~、陛下~」




