第3話 竜の女神様は歓喜! (1)
「きゃ~、これも凄い~!」
「そうか~」
「あれも凄いです~、陛下~」
「そうなんだ~」
「何て~、煌びやか、なの~?」
「うん、そうだね」
「何でこんなにも色々な色彩の物や香料~。香りの物が沢山あるのですか~」
「あっ、ははは。エリカが欲しい物を購入すれば良いよ」
「う~ん、でも……」
「大丈夫……。お金の事ならば心配しないで」
「はい、陛下~」
まあ、我が家の竜の豊穣神様はこの通りで、ショッピングモールの化粧品売り場で子供のように大はしゃぎ! 歓喜しているよ!
でもさ、歓喜しているのは我が家の女神様だけではない。
「凄い奇麗ですよ。奥様は~。旦那様もそう思われませんか?」
エリカの顔へと、どんな感じになるのかを試しに化粧をしてくれたビューティーアドバイザーのお姉さん達も自分のメーカーの宣伝、販売を辞めてしまう程の大騒ぎなのだ。
だから男性一人でボォ~と佇む俺の方が周りの目を気にして少し恥ずかしい……。
特にレビィアとリムが化粧品を購入した時は、二人が事前にスマートフォンを使用して、どんな化粧品がいるのか? 何処の化粧品が自分に向いている。まあ、好みなのかを事前に調べていたから俺は化粧品売り場の外で他の売り場を見て気分転換ができていたから良かった。
でも今日は違う。俺は前世の妻だったエリカと再婚? 元鞘? まあ、どちらでも良いけれど。千年ぶり? いやもう少し先かな? まあ、これもどちらで良い事だけれど。
俺達夫婦は仲良く二人きりでショッピングデートを満喫、堪能をしている訳だから。この俺様もエリカへと「あっちで待っているから」と告げて、一人放置をする訳にはいかない。
だから自分の妃の横……と言うか? 俺も周りは女性ばかりだから、少しばかり距離をとって見ながらエリカへと微笑み掛けながら返事をした。気にするなとも告げた。
そして今度はカ○ボウ化粧品のお姉さんにエリカの化粧顔を問われたから、俺は恥ずかしいと言う事は無い! 無いのだよ!
だから俺はエリカの超美しい女神顔を見て、自分の顔を緩ませ変顔の状態で。
「はい、余りにも家のエリカが麗しいので顔の緩みがとまりません。あっ、ははは」
俺は問われたカ○ボウのお姉さんに気持ち悪く微笑みながら告げるのだが。
「ですよね~」
「奥様は本当に綺麗ですから~」
「素晴らしい~」
「私もこんな美しいひとをテレビ以外で生で見たのは初めて~」
「あっ、私も~」
俺が自分の顔を完全に緩め変顔でエリカの麗しい顔を褒め称えてもカ○ボウや資○堂、ソフ○ーナ……。
その他の化粧品メーカの美容部員のお姉様達もエリカの容姿を絶賛──! 褒め称えてくれるから。
「陛下~、可笑しくないですか~?」
家の女神様も少しばかり恥ずかしいのか? 雪のように白い肌……。血管が透けて見えるのではないか? と、俺が傍から見て思う程の白い頬を薄いピンク……。桜色に染めながら上目遣いで尋ねてきたから。
「うぅん、無茶苦茶似合うよ、エリカ……。マジで奇麗だって……。俺惚れ直しそう…」
嘘偽り無くエリカへと鼻の下を伸ばしながら告げると。
「本当ですか~、陛下~?」
「ああ~、エリカ~、本当だよ~!」
「嘘偽りなく本当ですか~?」
「ああ~、本当だともエリカ~。俺の顔を見てくれ~! 俺の顔はエリカの美しさで~、自分の顔の締まりが無いくらい緩んでいるだろう~、エリカ~!」
「えっ! あっ! 本当ですわ~! 陛下~~~! 陛下がわらわの顔を見て~、魅入ってくれたのは~、千年以上も久し振りです~。だからわらわも嬉しい~。嬉しいです~、陛下~~~! 愛しています~~~!」
我が家の女神様がショッピングモールの化粧品コーナーで歌を唄うように奏でながら歓喜するから。
ショッピングモールの喧騒の中──通路を歩く人達も自分達の足を止め、こちらを何々? と興味津々に見詰めだすのだった。
《キラリン!》
《キラリン!》
《キラキラ》
我が家の女神様……。
そうリムではなく、元祖美と豊穣の竜の女神であるエリカの身体から大量の祝福の粒子……。
まあ、普通の人達には見える事ができない者だけれど、亜人達が浴びると幸せな気分になれる光の粒子がエリカの身体から多々発散されて──俺達夫婦の周りにいる人達……。化粧コーナーの美容部員のお姉様達の目も俺と一緒でハートマーク……。
俺がまた「エリカ~、奇麗だよ~」と褒め称えると。
「何て素晴らしい~!」
「綺麗ですわ~、奥様~」
「何て~、美しいのですか~!」
「まさに女神様です~」
「本当に綺麗だわ~。(うっとり)」と。
美容部員のお姉様達の口からも我が家の美の女神様を褒め称え、歓喜する声が吐かれると。
「パチパチ」
「パチパチ」
「パチパチ」
「何て美しい~」
「綺麗だ~!」
「素晴らしい~」
「まさにこの地に降臨された女神様だ~」と。
自分達の足を止めこちらの様子を窺っていた一般のお客達もエリカの空中から発散される祝福と魅了の光の粒子を浴び、この通りでね。
各自各々がエリカの容姿を褒め称えながら自分達の両手を叩きつつ喝采してくれるだけではない。
そう、彼等、彼女達は自分達の手を叩き喝采をするだけではなく。
皆がエリカへと急接近──。そして周りに集えば、各自各々が膝をつき始めると。
「女神様~、我等に祝福を~!」
「祝福をください~!」
「そしてお慈悲も~」
「お慈悲をくださいませ~、女神様~」
エリカに次から次へと祈りを捧げ、奉り始めるから。
「エリカ~、ちょっと、ちょっと~。祝福と魅了が散布されているってぇ~。だから不味い~。不味いよ~、エリカ~! 散布を止めて~!」
俺は慌てて家の女神様へと声を掛ける。
「ふっ、ふふふ~、陛下~、何ですか~?」
う~ん、家の奥様は駄目だ……。駄目のようだね。あっ、ははは……。
エリカのあの目、この目、光り輝いている金色の瞳は完全に女神様仕様……。
そう自分自身が幸せで仕方がないから、自分の許へと集う人達へと祝福撒き散らしているから。エリカの許へと集い、膝をつき、祈りを捧げる人達は皆ハッピーな気分へと陥って、この場を離れて自分達の目的の階へと移動……。買い物しに行こうとはしないし、従業員の人達も仕事を放棄してエリカへと祈りを捧げているから。
俺はこの状態を危惧してしまうので。
『う~ん、不味いな? このままだと、このショッピングモールの営業の妨げになってしまう……。となれば? やはりここは俺が神技を使い、エリカや周りの人達へと喝を入れて、我に返し、平常心へと戻すしかないか?』
俺は自身の脳裏で呟きつつ思案……。決意をすれば千年以上ぶりの神技……。魔法を発動するのだった。
◇◇◇




