第23話 親子喧嘩の終焉……(4)
「これから旦那様とお母様の御二人は、最低一月以上は私とリムの目の届かないところで密会、逢引きをしないでください、お願いします……。それと夜に睡眠をとる時も一緒に床に入らないようお願いします……。できればお母様は睡眠をとられる時はお城か……。それが嫌ならばリムか私の部屋を使用してくださいお願いします……」
やはりレビィアは俺と元嫁……。エリカさんと言う名前らしい、自分の母親へと顔色変えず淡々と自分の提案を告げてきた。
「えっ!」
だから俺とエリカさんの口から驚嘆が漏れたけれど。
俺はレビィアが二人に対してはっきりとは告げてこないけれど。今嫁が二人に対して何が言いたいのかを安易に察しがついたから。
「ああ、分ったよ……」
俺は下を向きつつ同意……納得をする。
「えっ! いや、どう言う事です、レビィア……と言うか? 陛下もそれでよろしいのですか?」
エリカさんは自分の顔色を変え、動揺しながら俺に尋ねてきたけれど。
「う、うん。良いよ……。俺は……。レビィアの提案に納得できたから。それに従う……」
俺は下を向いたまま……。
そう気落ちをした状態でエリカさんへとレビィアの指示に従うと告げる。
「陛下~、あなたは~。そんなにも、わらわよりも若いドラゴンの娘の方がよろしいのですか~?」
エリカさんはレビィアの件で嫉妬心をあらわにして俺へと尋ねてくるけれど。
「うん」と俺は頷くしかできないのだ。
だって俺の今嫁は、後々の事を考え。俺が傷つかないようにしてくれている訳だから、エリカさんが怒りをあらわにして嘲笑ってきてもレビィアの指示に従うと頷く。
「うぅ、ううう……。そんなにわらわのことがお嫌いですか……。陛下……。そしてレビィア……。わらわを蔑にして陛下の心を完全に奪って……。わらわはいくら娘だろうと貴女のことを生涯許さない……」
エリカさんはレビィアに対して泣きながら恨み辛みを漏らす。
「…………」
だけどレビィアは母親の恨み辛みを聞いても、言い返す事もしないで沈黙を貫く。
「母上、もしかして今の言葉は本気で姉上へと告げられたのですか?」
嗚咽を漏らしつつ俺とレビィアへと恨み辛みを漏らし始めたエリカさんへとリムが怪訝な表情で尋ねた。
「えっ!」
エリカさんはリムの言葉を聞き驚嘆する。
「母上は何をそんなに驚いているのですか?」
驚愕している彼女へとリムは尋ね。
「姉上とパパが母上に対してはっきりと言い返さないで沈黙を始めたのは。母上のことを傷つけたくないからですよ」と説明も付け加えた。
「ど、どう言うことです、リム……。わらわはあなた達が何を申したいのか全くわかりません。だからリム、わらわがわかるように説明をしてください。おねがいします……」
エリカさんはレビィアが彼女の心を傷つけたくないから沈黙した事と。俺は自分の口から彼女に告げたくは無いのと。もうこれ以上俺はこの嫌な話し……。相手の男に対して嫉妬と憎悪を募らせてしまうような会話はしたくはないから、平素を装いつつ無言を始めエリカさんとは目を合わせないようにしているから彼女はリムへと尋ねたのだった。
「母上、リムの口からはっきりと申しますね……」
「えぇ、おねがいします……」
リムも自分の母親に今直ぐ説明をしてくれと嘆願をされたのだが。やはりリムも少しばかり下向き、沈黙した。
でもリムはこの通りで、自分の顔を上げ──エリカさんの瞳をしっかりと見詰め言葉を返し。当の本人であるエリカさんもいつでもどうぞと言葉を返したから。
「母上は今の亜人の異性……。まあ、彼氏なのか、旦那さまなのかは、リムもわかりませんが。その者と交わり、夫婦の営みをしていたのでしょう? ならば、その者の子供が今母上のお腹にいる可能性があると言うことに気がつきませんでしたか?」
リムは自分の母親が一番傷つき、追い込まれることを俺やレビィアの代わりの告げ尋ねてくれた。
「えっ!」
だからエリカさんは俺の予想通りに驚嘆した。
「えっ、いや、あの、その……」
その後はリムの問い掛けに対して彼女は否定をする事も無く下を向く。
そして少しばかり間が開くとエリカさんは悲しみに沈んだ顔を上げ、俺の方へと視線を変え。
「へ、陛下……。わらわはできればお許しを頂き、陛下の許へと戻りたいのですがいけませんか……? もう二度と向こうの世界には戻りませんから、わらわに慈悲と慈愛で、陛下に寄り添うことを許可してくださいおねがいします……。陛下のわらわへの下知は何でも叶えてさしあげますから、なにとぞ《《わらわ達》》にお慈悲をください、おねがいします……」
またエリカさんは自身の金色の瞳に涙の露を一杯貯めつつ俺に懺悔しながら嘆願をしてきたのだ。
そう俺にエリカさんはカッコウの育ての親になってくれと女を武器に命乞いと嘆願をしてきたのだ。
だから俺には前世の記憶も無いし、元々は前世の俺が余りにも早く他界をしたのが原因な訳だ。
それに彼女との関係は子持ちの女性の再婚……。
まあ、未だ調べた訳でもないから、本当に彼女のお腹の中に他人の子供がいるか、どうだかはわからないのと。
仮に彼女のお腹の中に他人の子供が居ても、それを承認した上での再婚ならば、この日本でも沢山の実例がある筈だ。
だから俺がしっかりとして彼女を支えるのと。仮にお腹に子供がいて産まれても俺が自分の子供のように愛情を込めて育てれば大丈夫な筈だと。
俺は人間的な考え方でカッコウの育ての親になるのだと安易に思うから。
「うん、いいよ……。エリカさんおいで……」と頷いてしまう。
「駄目ですよ! 旦那様! そんな曖昧な事をすれば竜王としての威厳もなくなってしまいます!」
頷いた俺にレビィアが憤怒しながら怒声を吐き、諫めてきた。
「いや、でもレビィア……? 俺は前世の俺では無い訳だから、レビィアとリムも嫁さんにできた訳だし。エリカさんとの夫婦関係は元鞘に収まるよりも再婚と言う感じだから、彼女のお腹の中に他人の子が居ても俺は大丈夫……。それに家族で強力し合えば何とかなるよ。だから俺はエリカさんのお腹に子供が居ても大丈夫だから……」
エリカさんの金色の瞳から涙と、彼女の艶やかな唇が開いて──。
「陛下~、わらわの達のことを了承してくれてありがとうございます……。この御恩は一生忘れません……」
彼女は満身の笑みを浮かべながらお礼を告げてきた。
「駄目です! 二人共ー! そんないい加減な事をなさるのならばお母様は今直ぐに向こうの世界へと帰ってください! お願いします!」
でもこの通りで、俺とエリカさんの会話を聞いたレビィアが今度は憤怒して怒声を吐き、自分の母親へと今直ぐ異世界へと帰れと告げる。
「何で駄目なんだ! レビィア~! 家族皆で仲良く、この日本で暮らしていけばいいじゃないか」
俺はエリカさんを庇い、今嫁のレビィアへと荒々しく不満を告げた。
「旦那様は未だドラゴンと言う物が良くお分かりにならないから。そんな安易な事を言えるのですよ……。それとお母様も旦那様が未だドラゴンと言う物を解っていらっしゃらない事を良い事に。無理難題を言ってきては旦那様を騙し。仮に自分のお腹の中の赤ん坊がいる事が分かった時の、その子の命の保証をまた一族の破滅と旦那様の命と交換で助けようとしているのですよ。このひとは……。ねぇ、お母様~?」
だけどレビィアはこの通りだ。最初こそは無感情で淡々と、俺とエリカさんに自分の考えを説明してきたけれど。
レビィアは俺の今嫁らしく、エリカさんのことを、憎悪を含んだ恐ろしい形相で睨みつつ罵声を吐いたのだ。
前世同様、俺の事を裏切るのか? とレビィアは意味不明な事を荒らしくエリカさんへと告げるものだから。
「レビィア、エリカさんが俺の事を騙しているってどう言う事だ? 俺はお前の言っている意味が解らない。ちゃんと説明をしろ! 今直ぐにだぁ!」
俺はレビィアが自分の母親に対して嫉妬に狂い、憎悪を剥き出しにして、ある事無い事をでっちあげているものだとばかり思っているのだと勘違いをしているから。
俺はエリカさんの事を庇いつつ今嫁に夫らしく、荒らしく説明をしろと告げるのだった。




