第23話 親子喧嘩の終焉……(3)
だから二人の母親……。俺の元嫁は【パニック障害】を異世界ファンタジーの物語の女神様や魔法使いのように【治癒魔法】で治すと言いだすのだが。それは最初の時にリムがおこない。次にレビィアもおこなった……。
でも俺の心の病である【パニック障害】は完治する事はないとは思う?
だって俺の【パニック障害】をリムやレビィアは幾度となく【治癒魔法】を使用して【パニック障害】を完治させようと試みたのだが。
俺の今の様子を見れば解る通りで、心の病である【不眠症】と【パニック障害】は【治癒魔法】では完治する事がなかったけれど。
レビィアとリムが俺に寄り添い優しく微笑み、愛情をくれ、「屋敷を売らないようにがんばろうね」と鼓舞してくれて。
このお店【さつき】にいつも満員御礼になる程のお客様を呼び込み、売り上げをあげて──。このお店の《《看板娘》》らしく振る舞ってくれるうちに自然と回復した病気だから。
やはり俺の元嫁さんから漏れる言葉は。
「えっ!」と「あれ?」
そして「可笑しい?」と「何で陛下の病が完治しないのですか?」としか、彼女の口から漏れないから。
「母上、治癒魔法はパパの心の病には無駄、無だよ……。リムも姉上も沢山パパに治癒魔法をおこなってみたけれど。全く回復しなかったの……。でも母上、こうやってパパのことを優しく、愛おしく抱っこすれば。パパの荒い息遣いや早くなっている心臓の音も収まってくるの。だから母上も本当にパパのことが愛おしと想うのならば。パパのことを抱っこしてあげてください」
リムは蹲っている俺の背から優しくハグ……。自分の頬を俺の背に擦り付け甘えながら、自分の母親へと色々と説明をし、要望をした。
「へ、陛下……。じゃ、あの……。いきますね……。陛下~、わらわのことを嫌がらないでくださいませ~」
自分の娘の要望を聞いた俺の元嫁様は遠慮しがちな声音で。俺に確認をとりつつ元鞘に収まりたいと告げてくれば。
《ギシ!》
《フニャ~!》
俺の頭は元嫁の大変に大きくて柔らかい胸の膨らみの間に挿入──。挟まれ……。
その後は俺の後頭部をヨシヨシを「陛下~」、「陛下~、陛下~」と優しく声を掛け、撫でてくれた。
その? この? まあ、この感じがね、俺自身は何だか懐かしいなぁ~と思えば。
俺の心は何だか安らぎ、安堵感に浸り始めるから。
俺の動機や荒い息遣い。早くなっている心臓の鼓動も穏やか、安らいでいくのが解ってくると。
俺の空嘔吐の方も落ち着いてきたかな? と思えば。
「陛下~」
俺の元嫁の甘え声での呼び掛けが聞こえると。彼女は俺の頭に頬擦りするのも辞め──。
俺の両頬を彼女の華奢掌を二つ使用して上げる……。
《ブチュ~!》
そう彼女は俺の唇へと自分の唇を重ねれば。その後は俺の口の中に元嫁の舌が侵入……。俺の口の中や舌を激しく貪り始めだした。
◇◇◇
「はい、旦那様……」
「ありがとう、レビィア……」
俺は心療内科から処方されている薬の錠剤を一つとグラスの入った水をレビィアから受け取ると、自分の口の中に錠剤を放り込んで、直ぐにグラスに入った水を「ゴクリ、ゴクゴク……」と飲み干し始めると二人……。
リムは俺の背を相変わらず優しく撫でてくれているので表情の方は良く分からないけれど。
俺に薬とコップを手渡したレビィアと。俺と先程まで接吻をしていた元嫁の二人は、未だ顔色を変えたまま水を飲み干す様子を窺う。
だから俺は少しばかり恥ずかしいな? と思いながら。
レビィアが用意をしてくれた水を飲み干す。
「ふぅ~、何だか落ち着いたよ。三人共ありがとう……。そして迷惑をかけたね」と。
俺はお礼と謝罪をおこなう。
「陛下~」
すると直ぐにだぁ。俺に復縁を迫っている元嫁が名を呼びつつ飛びつき、抱き付いてきた。
「えっ! あっ、あの~、ちょ、ちょっと……」
【パニック障害】の方も落ち着き、精神的にも正常でいる俺だから、先程とは違い、ちょっと他人行儀だけれど。俺は元嫁に声を掛け──。彼女の華奢な肩に自分の両手を当て──。俺の胸でまた甘えだした彼女の身体を起こし、今にも泣きだしそうな元嫁の顔を見詰め。
「あ、あの~。貴女と言うか? 二人のお母さん……。あの、ですね、貴女は俺の許へと戻りたいと言う事で理解をすれば良いのかな?」
俺は尋ねた。
「えっ、はい……と言うか? 何で陛下はわらわのことだけ、そんなにも他人行儀で呼ぶのですか? わらわも太古の昔から陛下のことをお約束通りに探して、声をかけていたはずです……。その時に何度か陛下からの回答もありました……。だから陛下の記憶の中にわらわの容姿の記憶と声がありはずなのに。何故陛下の記憶の中にわらわの記憶だけないのですか……。それって絶対に可笑しいです……」
俺の元嫁への他人行儀な仕打ち対して彼女はまた自身の美しい金色の瞳を潤ませ始めながら嘆き、不満を漏らすから。
俺は『困ったな?』と思いながら。
「えっ、あっ、そうなのですか……。でも俺の記憶の中に貴女の記憶の方が一切無く、本当に申し訳ない」
俺は不満を申してくる元嫁に謝罪を入れた。
「うぅん、いいです。いいです、陛下……。でも、もうわらわのことを二度と離さないでください」
俺の元嫁は自分の首を振り、終われば。また俺に飛びつくように抱き付いてきた。
そして俺の頬や首へとキスの雨嵐を降らせ──。また俺の唇へと、自分の唇を重ねようと試みる。
「ちょっと待ってください、お母様~!」
俺に甘え、唇を奪おうとする元嫁に対してレビィアが待ったを掛ける。
「ど、どうしたのですか、レビァイ……? 陛下はわらわの犯した罪をお許しになると。そしてわらわにも慈悲をくれると申してくれました。だからわらわも貴女達のように甘え、求めてもよろしいではないですか?」
俺の元嫁は怪訝な表情で、自分が優艶に甘えるのは何故いけないのか? と不満を漏らした。
でも俺の今嫁は元嫁の不満を聞いても顔色一つ変える事も無く。
「今は未だ駄目で御座います、お母様……。それ以上旦那様に甘える事は私が認めません……。お母様は今直ぐ旦那様から離れてください……。これ以上お母様が旦那様へと甘えると。このひとがお母様に男女の情が入ってしまい。別れるに別れなくなりますから。お母様はお願いですから旦那様から離れてください……」
レビィアは自分の母親へと淡々と告げ、今直ぐ俺から離れるようにと告げるから。
「姉上~!」
「レビィア~!」
流石に俺とリムも自分達の顔色を変え、レビィアへと声を掛ける。
それでもレビィアは一切顔色を変える事も無く。
「今から私は旦那様とお母様が大変に傷つく事を告げるようになりますから。最初に私の口から御二人に対してすいません、お許しくくださいと謝罪をしておきます」
レビィアは俺達二人へと告げると深々と頭を下げ謝罪をしてきたのだ。
だから今嫁が俺に何を言ってくるのだろうか? と思うから。大変に緊張する。




