第21話 親子喧嘩(3)
リムの口から俺の元嫁に自分達姉妹の事はもう良いから、異世界で心と身体を交わした異性と幸せに暮らしてくださいと、はっきりと告げるから。
俺はもう駄目、無理だ……。二人はやり直す事はできないと自分に言い聞かせていても、頭の中でガ~ン! と、脳内を木槌で叩かれたような音と共に更にショック状態へと堕ちてしまい唖然、呆然、困惑……。
レビィアとリムが俺の許へと来てくれて支えてくれた。
だから俺は毎日が楽しくて仕方がないのと。やっと夢に迄見ていたお店の看板娘……。
それも他人……。お店に来店してくれたお客様達が羨望な眼差しで俺の事を見る程の竜の天女様が来てくれたから。俺は本当に幸せ者だと思っていたから忘れていた……。完治をしていたと思っていた【パニック障害】がとうとう再発症……。
「えっ!」
「えっ、ではないでしょうお母様……。私もリムも気が付いていないとでも思っていたのですか? 私達姉妹は結構前から、お母様に他界されたお父様に代わる殿方が居る事に気がついていましたよ。だからお母様はリムの言う通りで、あちらの世界でその方と共に幸せに暮らしてください。こちらの世界の旦那様は私とリムが支えますから……」
「わらわにはそんな異性などいません! 未だにわらわが愛しているのは陛下のみです!」
「うそをおっしゃらないでください! 母上! 母上はいつも町へと買い物へといかれたら。リムや姉上をお城に放置して夜遅くまで帰宅されなかったではないですか~! それに~、母上が町から帰宅をされたらいつも亜人のオスの汚らわしい悪臭をプンプンさせながら酒に酔い帰宅をされていたではないですか~!」
「そ、それは……」
「それはじゃないですよ~。お母様~。私とリムはその都度悲しい思いをしていました~」
「そうです~! 姉上の言われる通りです~! だからパパではなく、母上が本当に好きで、竜の子を産みたいと思っている殿方の許へと嫁がれて幸せになればいいです~。だからもう二度とリム達の前に現れないでください~。母上~、お願いします~」
そう俺が元嫁の事で悩み、肩を落とし、「はぁ~、はぁ~」と息荒くしながら自分の胸を押さえつついる中でもレビィアとリムは自分の母親……。俺の元嫁の事を攻めまくる。
「そ、そんな酷いことを二人とも、母であるわらわに告げないでください……。わらわも陛下の忘れ形見である貴女達二人をちゃんと育てるのが必死だっただけで……。わらわに二心はないのですよ……」
「はぁ~、お母様~、先程から私は嘘をおっしゃらないでくださいと何度も告げた筈ですよ~」
「わらわも何度も言いますが本当にうそなどついてはいないのです……。いまだにわらわは陛下一筋で……。わらわも陛下との約束を守って転生者を探索して、呼びかけていました……」
「母上、うそです!」
「嘘をおっしゃらないでください、お母様~!」
「いや、本当です……。本当なのです……。わらわも陛下の転生者を探し、呼びかけていました……」
「じゃ、お母様は何でお父様が残した竜殺しの神具を亜人達……。自分の好いている者に手渡したのですか?」
俺は急な動機……。
そう再発症した【パニック障害】による急激な動機の速さと息苦しさで、苦痛な表情をしながら「はぁ~、はぁ~」と息荒くしているのだけれど。




