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第21話 親子喧嘩(1)

「お、お客様……。あ、あの、ですね……」


 未だ誰もいないお店の店内……。俺の胸で泣く彼女……。


 そう銀髪の髪色した北欧神話の豊穣の女神……。フレイヤ神のように麗しい彼女なのだが。

 先程彼女は急に席を立ち上がり誰かに謝罪……と言うか? 多分俺なのかな?


 でも彼女の口からは相変わらず「陛下すいません」、「陛下ごめんなさい」、「陛下ゆるしてください」、「陛下のことを二度と裏切るようなことをしませんから、わらわをまた以前のように側に置いてください」、「一生賭けて償いますからお許しを……」と、俺が彼女の嘆きや嘆願を聞いても首を傾げる事しかできないような台詞を漏らしつつ泣いているから。

 俺は取り敢えずお客様の華奢な身体を優しく包みハグしながら頭を撫でている状態なのだが。

 俺はお客様の頭を撫でつつ、ふとある事に気がつき自分の顔色が変わってしまう。




 だって家のお店の出入り口を見ると未だクローズ状態……。正午のランチタイムの時間が終わり夕刻迄の休憩時間……。


 家のお店は一時の閉店時間になっている。


 だからレビィアとリムも、この休憩時間を使用して近所のショッピングモールへと、自分達の衣服や俺達家族の日常品や食事、お酒等の足りない物の購入をする為に出掛けているから。

 只今お店……と言うか? この家には俺とお客様の二人しか居ない訳で……。


 女性(このひと)は一体何処から家のお店へと入ってきたのだろうか?


 俺は確かにトイレに入って用を足していたけれど。お客様の入店時になる鈴の音等は鳴っていない筈……。


 それに玄関の方も鍵がかかっている筈だし、玄関のチャイムが鳴った記憶もないのだ。


 だから俺はお客様が何処からお店へと侵入したのか、今更のように気がつき困惑を始めるのだが。


『う~ん、もしかしてこのひとは本当にアースガルズから舞い降りた女神フレイヤ神なのか?』


 俺は他人が聞けば首を傾げてしまうような事を本気で思ってしまう。


 だって皆も知っての通りで我が家には異世界から来た竜神様……。竜の女神様が居る訳だから。


 それに家の奥さん達二人の話しだと俺自身も異世界の竜神様の転生者らしい……と言うか?


 先程も俺自身が翻訳こ○にゃくみたいな魔法を使用して──。俺の胸で相変わらず泣いている不審者のようなお客様と何不自由無く会話をしている訳だから。

 このひとがアースガルズから降臨された女神様なのだと告げられても俺は別に不思議だと思わない。


 だから俺は自分の胸に顔を埋め泣き、謝罪、嘆願を今もしているお客様へと貴女は誰ですか? と尋ねてみようと思うのだった。





《ガラガラ》


「ただいま……」

「帰りました……」


 俺が自分の胸で泣く銀髪のお客様へと、貴女は誰ですか? 何処から家のお店に入られたのですか? と尋ねようとしたら。家のお店の扉が鈴の音と共に開いた……。


 そして開けば二人……。リムとレビィアの帰宅を知らせる声が俺の耳へと聞こえてきたから。

 俺は自分の胸で泣くお客様の頭を困惑しながら見詰める行為を辞め、顔を上げ二人……。


 俺の嫁さん二人の顔を見ながら苦笑いを浮かべつつ「おかえり」と言葉を返すと。

 俺は二人に「この女性が何処からか分からないけれど。お店に入ってきてお好み焼きを注文してくれたのだけれど。彼女──急に俺の事を《《陛下》》と言って泣きだし、謝罪や嘆願をしてきて困っているのだけれど。どうしたら良いのだろうか、二人共……。このひとの事を……」と言った言葉をレビィアとリムに告げ説明をして。俺は二人の指示を仰ごうと口を開こうと思えば。


「母上……」

「あっ! お母様……」


 俺が奥様二人に尋ね、指示を仰ごうとすれば。先にリムとレビィアの口から驚嘆が吐かれた。




《バチン!》


 俺が「えっ!」、「嘘?」、「マジで?」と驚嘆を多々漏らしている内に本当に早かったよ、彼女……。


 そうレビィアとリムの母親らしい彼女が俺の胸から瞬時に離れ──レビィアの許へと歩み寄れば。直ぐに彼女はレビィア頬を、涙を流しつつだが、憤怒しながら叩いた。



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