表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/401

第20話 1枚のお好み焼き(4)

『えっ! 俺、何かした?』と驚愕しながら思い。

『彼女の身……。過去に何が遭ったのだろうか……?』と思えば。

『も、もしかて? 彼女が泣いている原因は、俺がシーフードミックスを勝手に使用して炒めだしたのが原因なのかな……?』と俺は困惑した。



「あ、あの、お客様、大丈夫ですか?」


 俺は自分の目の先で俯き「うぅ、ううう」と嗚咽を漏らすお客様へと穏やかな口調で尋ねた。そして終われば。


「もしかしてお客様が泣かれている原因は僕ですかね?」


 俺は苦笑いを浮かべつつ恐る恐ると、泣く彼女へと尋ねてみた。


「うぅん、うぅん」


 お客様は俺の問い掛けに対して、自分の顔を両手で覆い隠しながら嗚咽を漏らしつつ、自身の首を振り否定……。


 俺が原因ではないと言葉にならない台詞を返してきた。


 でも俺が傍から見ても、彼女が泣く原因は『俺なのでは?』と思うのだが。それでもお客様は違うと首を振るから。


「そうですか……。あっ、ははは」


 俺は嗚咽を漏らすお客様に対してまた笑い誤魔化しつつ言葉を返した。


「……お客様、直ぐにお好み焼きを焼きますから待っていてくださいね……」


 俺は嗚咽を漏らすお客様へと言葉を返せばまた【広島お好み焼き】を焼く作業に集中……。


 四季折々に飾られた千切りキャベツの大山の上に俺は雪を降りかける……。


 そうメリケン粉と水、だし、調味料等で溶いた生地の元を千切りキャベツの大山の上にお玉で垂らすと。

 その横に食料油を垂らし、蒸した麺を落とすと俺はフライ返しでサッサと炒めると千切りキャベツの大山を炒めたそば麺の上にヒョイ! と器用良く乗せる。


《ポン! ポン!》


 そして《パリン!》だ。


 俺は炒めたそば麺の上に、四季折々に飾られた海の幸も含む千切りキャベツの大山を乗せると真横に卵を割り、落とす──!


 でッ、その後は両手で持ち握る、二つのフライ返しをそば麺の底へとサッ! と器用良く両サイドから入れると──!

 俺は鉄板の熱で半熟状態の目玉焼きのようになっている卵の上に乗せ──。ギュ! ギュ! と【広島お好み焼き】の上からフライ返しでリズム良く抑え、ポンポン! と叩けば。


「はい、できた~! できました~!」


 俺は相変わらず、自身の顔を両手で覆い隠し、嗚咽を漏らすお客様へと受け狙いで告げる。


 そう、少しでも彼女の気晴らしにならないかな? と、幼子のように大袈裟にはしゃいで見せた。


 でもお客様は無反応……。只俺の目の先で「シクシク」と泣くだけだから。


「あの、お客様……。俺でよければ相談に乗りますよ……と言うか? 嘆きや愚痴があるならば聞きますが……」


 俺は、にへらと笑いつつ麗しい銀髪の彼女へと告げ尋ねてみた。


「うわぁ~。陛下~。ごめんなさい。ゆるしてください~。わらわは何でも陛下の言われること……。嘆願を聞き入れますから……。わらわの犯した罪を許してください……。そしてもう一度わらわを陛下の側に置いてください……。ちゃんと誠心誠意を込めて尽くしますから~。おねがいします~。陛下~」


 彼女は誰かに……と言うか、俺かな? まあ、こんな言葉を泣きながら告げ、嘆願をすれば。慌ててカウンター席から立ち上がり作業場……。俺の許へと猪突猛進──。抱き付いてきたから。


「えぇ~~~! な、何~~~!? と言うか~~~? お、お客様~~~!」


 俺に抱き付き胸で甘えながら泣く彼女に対して俺は困惑をしながら言葉を告げた。




 ◇◇◇






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ