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第20話 1枚のお好み焼き(3)

「えっ!」と「凄い!」だ。


 今迄、何故かしら「しくしく」と嗚咽を漏らしていた彼女……。


 そう、下を向いていたお客様も自身の顔を上げられ、【広島お好み焼き】の千切りキャベツの山盛り感……。ボリューム感を見て驚嘆を漏らしたから。


「【広島お好み焼き】を焼く様子を見るのは初めてですか?」


 俺は泣き止んだ彼女……。本当に女神様のように麗しい彼女へと尋ねてみた。


「は、はい」


 お客様は俺と顔、眼が合うと、今度は自分の顔を桜色に染め、照れ恥かしそうな様子……。俯きながら俺に返事を返すと。


「お好み焼きを焼く様子は初めて見ますが……。娘がよく夕飯として、お店の店主さまからいただいた物だと、夕飯に持って帰ってくれるのでお好み焼きは何度も食べたことがあります」と。


 俺が千切りキャベツの大山の上にもやし、青ネギ、天かす、塩に胡椒……。豚のバラ肉の薄切りにした物をリズム良く乗せ、振っていると。お客様は異国の女性(ひと)なのに【広島お好み焼き】を何度も食べた事があるのだと俺に微笑みながら教えてくれたのだが。

 彼女は娘さんから賄いの残りなのかな? 娘さんがアルバイトしているお店なのだろうか? お店のマスターから貰った【広島お好み焼き】を何度も食べた事があると教えてくれたのだが。

 お客様の容姿を見れば解る通りで彼女は異国の女性……。


 となれば? 彼女の娘さんも異国情緒溢れる麗しい少女だと思うから? 広島に家のお店以外にも異国の女性が働いているお店があるのだな……。フムフム……。それは知らなったと僕は思い。

 何処のお店で働いているのかな? とも思いながら。今度は四季折々の山へと染められた千切りキャベツの大山の横で俺はシーフードミックスを素早く、リズム良く、フライ返しを使用しつつ炒め始めるのだった。



「あれ、店主さま?」

「……ん? 何ですか、お客様?」

「このお店は海で獲れた物を料理で出されるのですか?」


 俺がシーフードミックス……。家のお店の人気メニューの一つである海鮮焼きの準備をしているとお客様が尋ねてきた。


「はい」


 俺はお客様に返事を返すと。


「シーフードはお苦手ですか?」と、尋ねたと言うか? 俺は何故か良く考えるとお客様にシーフード……。海老やイカ、タコ、あさりは大丈夫ですか? と尋ねる事をすっかり忘れていた事に気がつくと言うか?


 俺は何故か彼女が、シーフードが大の好物だと自分で勝手な判断をして炒めだしてしまったから。俺は自分の顔色を変え、慌ててお客様へと尋ねた。



「いいえ、大丈夫ですよ……。わらわは海育ちですから。海で獲れた産物は大変に好きですから……」


 お客様は俺に自分は海辺で産まれ育ったから大丈夫だ! と。何故か俺の何気ない予想が当たってしまったから。

 俺はもしかしてエスパー? じゃないよね。(笑)


 そう、俺は流石竜神様の転生者だと思いながら炒められたシーフードミックスを千切りキャベツの大山を四季折々にする為にフライ返しを使用して頂上へと乗せようと試み始める。


「うぅ、うううっ。陛下……。覚えてくれていたのですね……」


 お客様は何故かまた嗚咽を漏らしつつ独り言を呟き、下を向き始めるから。






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