第19話 リムの部屋 (1)
【エリカ】
《ギィ~》
「おじゃまします……」
わらわは娘の部屋……。
そう、余りにも挙動不審な二人……。レビィアとリムなのですが。先ほどリムが昼食にマックのハンバーガーなる物を、用意をしてくれてマックシェイクと呼ばれる物と一緒に美味しく頂き、終えた。
だから抜き足差し足忍び足でリムの部屋へと近づいてゆるりと……。そうできるだけ今日も扉の音を立てずに開け、入室した。
でもわらわは竜の女神なので良心があるから、いくら娘の部屋だろうと勝手に入室するのは悪意あることだと思うから。
わらわも一応は誰もいないですがリムにおじゃましますとだけ独り言で告げつつ入室をしたのだが。
わらわが今日で三度目になるリムの部屋への入室なのですが、やはり部屋に入り、リムの部屋の中をぐるりと見渡しても何も変わった物がない。
「う~ん、可笑しいな……。先ほどもリムは自分の部屋に入ってから姿が消えたのだけれど。やはりリムが自分の部屋の窓から飛び出し、飛んでお店へと戻って形跡はないわよね……。部屋の窓やテラスへと通じる扉も全部鍵がかかった状態ですよね……」
だからわらわはまた、リムの部屋の窓やテラスへと通じる扉の鍵……。まあ誰もこのお城に泥棒に入ることはないとは思いますが。一応は鍵が閉まっているかのチェックをして回ってみた。
でも今日で三度目の調べでもやはり鍵はかかった状態なのでリムはどうやって部屋の外へとでたのだろうか?
わらわは考える人へと変化して「う~ん」と呻る。まあ、呻りながら今度は隣……。リムの部屋の隣に接してあるクローゼットへと向かう。
そして扉をギィ~! と開けると。
またクローゼットの部屋の中もわらわは見渡して見るけれど。やはりいつもと同じ状態で変わったところはないから。
わらわは首を傾げつつクローゼットを後にしようと試みる。
「……ん? あれ?」
わらわは踵を返してクローゼットの部屋からでようと試みれば。
先ほどは気がつかなかったのですが。リムのドレスが数枚ハンガーから落ちて床に転がっているのが目についた。
だからわらわは「もう~、リムは~。このドレスも本当に高価な物で~。わらわがあのひとにわざわざ娘のためにとお願いして仕立ててもらったのに~。このまま床に放置していたら皺だらけになるではないですか~(プンプン)」
わらわは自身の頬を膨らませつつ独り言でリムへと不満……。床に落ちているわらわ達家族を庇護して養ってくれているあのひと達からいただいた高価なドレス……。床に落ちているパーティードレスを拾うためにクローゼットの部屋の奥へと移動……。
そして床に転がるドレスを拾い。
「よいしょ、っと!」
わらわは独り言を漏らしつつドレスを握ったままで正面を向く。
「あっ! 何、これは……。じゃ、ない……。何で我が家の秘宝の一つ合わせ鏡がリムの部屋のクローゼットにあるの……? 何でだろぅ? 可笑しい……?」
わらわは自分の容姿が綺麗に映る合わせ鏡を見ながら首を傾げた。
すると合わせ鏡の中から人の姿がばんやりと映しだされるからわらわは「何?」と驚嘆漏らしてしまう。
◇◇◇




