第13話 残り物? (1)
う~ん、それにしても今日も良い天気……。
そして凄いな……。
まあ、本当に凄い。凄すぎる。
だって私の目の前を沢山の人間達が右往左往と歩いている、だけならば良いのですが。
私の目の先を見てもらえれば分かる通りで、この世の物では無い物……。
私が産まれ育って世界には無い物達である鋼で出来た異物……。
まあ、旦那様が言うには乗物らしく。昨日リムも鋼で出来た乗物……。自動車を見て、リムは新種のモンスターと勘違いをして驚愕……。腰を抜かす程驚いたらしいのですが。
旦那様に自動車やバイク、自転車ならば我が家……。この御屋敷にも「ほら、あの通りあるから、怪獣じゃないのでリムちゃん大丈夫だよ」と優しく微笑みながら教えてもらい納得……。
リムの場合は昨日更に我が家の異世界の異世界の乗物……。自動車に乗せてもらい、リムが興奮しながら説明をしてくれた程綺麗……。煌びやかなお店で色々とショッピングをしたから、我が家のお店の前を……。天下の往来を我が物顔で走り、異世界の異物を見ても平気なのかも知れないけれど。
私は未だこの世界にきて数時間も経っていないからドラゴン化をして、あの物達を足で踏んづけてやりたい衝動に駆られているけれど。
この販売企画……。
そう私がこの世界の【エプロン】という物を旦那様が用意をしてくれた【レジャーテント】の下で、物が並べられた台の後ろに立ち、自分の首からかけ下げている姿を見てもらえれば分かる通りで。
私は今からお店の前──。店頭にて《《ある物》》……。
そう私の旦那様がお客様達の為にと精魂を込めて焼いた【たこ焼き】がまた今日も売れ残り……。廃棄処分にするようになると、大変に勿体無い話しをされたから。じゃ、私が残りを全部売ってしまいましょうと言った話しになった。
でッ、そもそも何故このような話しになってしまったかと言えば?
「う~ん、はぁ~。ぷはぁ~。本当に喉にキュキュきて、甘くて美味しいですね。コーラは……。リム~、おかわりちょうだい……」
私はリムからもらったコーラを一杯飲むだけでは飽き足らず。二杯、三杯とリムに要求し続けた。
「えぇ~~~! 姉上~~~! リムの飲むコーラがなくなるからいやだよ……。姉上飲みすぎ~!」
姉の私がリムへとコーラを要望したのですが。リムはもう嫌だと自分の首を振り。私へと拒否の姿勢を示し、今にも泣きだしそうな顔を始めるから。
「レビィアさん、ホップ酒を飲む?」
私達の旦那様が姉妹喧嘩をさせまいと気をつかって、高価なお酒を用意してくれると告げてきたのだ。
「いいですよ、旦那様……。そんな事等しなくても……。私は井戸の水で十分ですから……」
私は大変に心優しい旦那様へと首を振り、恥じらいを見せながら遠慮すれば。
「姉上~、この屋敷には井戸などないよ……。そこの蛇口と呼ばれる物の栓を開けばいくらでも水がでるからグラスで告げばいくらでも水は飲めるよ……。それか冷たい水がいいのならば。そこのウォータークーラーと呼ばれる機械の調度品にグラスを当てるといくらでも冷たい水が飲めるよ……」
「えっ! 嘘?」
「本当だよ、姉上……。試しにやってみたら……。リム、昨日水を汲んでみて驚いちゃった。あっ、ははは~」
リムがウォータークーラーと呼ばれる変わった容姿の調度品を指さし笑いながら私へと教えてくれたのだ。
「じゃ、私、ちょっとやってみるね……」
私はリムへと言葉を返すと席を立つのだった。
「レビィアさん良いからお酒飲んでよ。お願いだから……。いくら俺が貧乏だと言ってもレビィアさんのような奇麗な女性に水だけを飲んでいてよとは言えられないから頼むよ。お願いだよ」
私が席を立ち、リムが教えてくれたウォータークーラーへと向かおうとしたら旦那様が自身の顔の前で両手を合わせながらペコペコと頭を下げ、自らを引くくしながら嘆願をしてきた。
だから私は慌てて旦那様へと妃らしく歩み寄り。
「旦那様~、そんな事はしないでください。お願いします……」と告げ。
「じゃ、あの、旦那様……。ホップ酒と言う物を頂けますか?」
と私はしおらしく旦那様へと嘆願をした。
「ほ、本当ですか! レビィアさん!」
「は、はい」
私は何故か鼻息荒い旦那様の勢いに押され、唖然としながら返事をしたのだが。
当の本人である旦那様はと言うと?
「やった~~~!」、「やっほ~~~!」
私の旦那様は何故か歓喜の声を上げつつお店の奥……。扉へと向けて走りだした。
そして扉の前へとつけば。慌てて扉を開け──中へと入り、旦那様の姿は消えていった。




