表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/401

第10話 リムの説明(4)

「あのね、姉上?」

「……ん? 何、リム?」

「パパさぁ~、何故かね? リムの顔を見たら直ぐにね。『僕の夢の中の天使様がやっと現れて。僕の事を冥府へと誘い、連れて行ってくれる為に現れてくれたよ……』と可笑しなことをリムにパパは泣きながら言ってさ。『やっと僕はコ○ナ禍の生活苦から逃れ、楽ができる……』とパパはリムに大変に恐ろしいことを告げてくるから。パパを宥めるのに苦労をしたんだよ……」




 う~ん、どうやらお父様は、我が家のお母様と一緒で心の病にかかり、自ら命を絶ちたいのだとリムに泣きながら嘆いたみたいだから。

 (わたくし)も妹に少しばかり任せた方が良いのかな? と思えば



「……だからね、姉上……。リムもまだ早いかな~? とは思ったのだけれど。ついついパパに情が入っちゃって、あのひとを抱擁していると。そのままの勢いで色々としちゃった~。あっ、ははは~」


 リムは姉の(わたくし)へとめんご、めんごと、自分の頭に手を当て──笑い誤魔化してきた。


「あのね、貴女~?」


 リムが(わたくし)へと笑い誤魔化す様子を呆れた顔と声音で言葉を返せば。


「リム、貴女~。その彼は本当にお父様の転生者で間違いはないの?」




 (わたくし)は安易に発情をしたリムへと本当に呆れた声で尋ねたのだ。

 彼──! お父様の転生者がもしも赤の他人ならば、あなたはどうするのか? と尋ねてみたのだけれど。

 当の本人であるリムはと言うと。


「あっ、ははは~」と相変わらず笑い誤魔化しながら。


「うん、間違えないよ。パパはお父さまの転生者……。彼の身体から漏れる匂いを嗅ぐとリムの心は穏やか……。安らぎに満ちて安堵……。本当に懐かしくなるから間違えないよ」と。


 リムは(わたくし)へと告げ終われば。微笑む行為を辞め、真剣な眼差しで(わたくし)の事を見詰めながら。


「まあ、姉上がリムの話を信用できないのならば。別にそれで構わないよ……。リムはパパが今いる煌びやかな世界で彼の事を支えながら夫婦仲良く過ごしていくら……。姉上~、バイバイ~」


 リムは(わたくし)に手を振りながらサ・ヨ・ウ・ナ・ラと告げると踵を返して我が家の残り少ない家宝の一つ合わせ鏡……。時空の扉へと向かって歩き始めるのだ。


「パパは、姉上とお母さまのことも言っていたし。リムに尋ねてきたのに~。じゃ、バイバイ~、姉上~」


 リムは(わたくし)に背を向けながら歩きつつ一番重要な事をさらりと呟いた。


「リ、リム~! お父さまには(わたくし)やお母様と過ごした時の記憶があるの~?」


 だから(わたくし)はリムの背に向かって尋ねてみた。


 するとトコトコと歩いていたリムの足が止まり。


「う~ん、パパ、自身もね。はっきりとした記憶ではないらしいのだけれど。リムにね、『黒髪の魔王さまと銀髪の女神さまの事をリムちゃんは知らないかな?』と尋ねてきたからリムは二人共別の世界のお城にいるから母上は姉上に聞いてみないとリムにもわからないけれど。姉上……。黒髪の魔王さまの方はパパと会いたがっていたから連れてきてあげるよ』とリムはパパに告げたのになぁ~」と。


 リムは意味深……と言うか? (わたくし)へと意地悪して告げてくるから。


「リムはもう~~~! お父様はリムだけではなく、(わたくし)とも会いたいとおしゃっているじゃない~。もう~、いい加減にしてよね~。リム~」


 (わたくし)は妹の背を慌てて追いかけながら不満を漏らすのだが。この(わたくし)の不満はこれで終焉を迎える訳ではなく。


「何でお父様はリムの容姿は天使だと褒め、お母様女神様だと容姿を絶賛したのに。何で次の女神になる(わたくし)が魔王な訳なの~~~?」


 (わたくし)は自身の頬を膨らませ、プンプンと不満を漏らすのだけれど。


「姉上はお父さまによく似た漆黒色の容姿だからそう思ったじゃないのかな~? だってお爺さまやお父さまは漆黒の竜魔王と呼ばれていたから。姉上も魔王さまでいいんじゃないかな~?」


 (わたくし)の不満を聞いたリムはケラケラと揶揄するように告げてきた。


 だから(わたくし)の口から「もう~、リムは~」とモウモウさんになりながら彼女の背を追うのだった。



 ◇◇◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ