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第72話 追尾(2)
『ど、どうする?』
俺は天を仰ぎつつ彼……。ドラゴンの若い兄ちゃんの背……。彼が自身の巨大な翼を動かし移動を試みる様子を自分の涙をポロポロと流しながら。
「あああ」と声を漏らしながら見詰める。
でも、あれだ?
彼を! あの兄ちゃんをこのまま放置して良いのか、新作……?
俺は自分自身へと問い掛けた。
「だ、駄目に決まっているだろう……」
だから俺の口から自然と言葉が漏れ。
『彼は……。前世の俺の一族であり、親族……。やっと俺の生き残りの身内を見つけたんだ……。だから俺は彼の事と今後の事も含めて、ちゃんと話をして、兄ちゃんには、これ以上の復讐劇を辞めさせて、後は俺に任せろ……。俺が必ずお前の敵をとるのと。竜の女神によって地上にばら撒かれたドラゴンスレイヤーは必ず俺が回収して回るから。兄ちゃんは日本で幸せに暮らせ』と。
俺は一族の長であり王なのだから、彼とはちゃんと対談し、和解をしないといけないと。自分自身に言い掛ければ。
俺も自身の背から翼を出して──彼の後を追う事にした。
◇◇◇




