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第70話 ドラゴンと対峙(9)
「いらねぇよ。こんな男……。食っても美味しくねぇ~。だから今逃げている女を寄こしな、生意気な亜人の男……」
僕の目の前に立ちはだかる割と大きなドラゴンは、僕の事を見下し、侮り、ニヤニヤ、ケラケラと嘲笑いを浮かべつつ。僕の産まれた故郷……。日本の北海道で過去に起きた惨劇……。女性ばかりを襲ったヒグマのように僕に男性は美味しくないから、今逃がした亜人の少女を寄こせと……。
そう僕も本来はドラゴンだから。彼は生意気にも黒竜王……。竜神である僕の獲物を寄こせと侮りつつ告げてくるから。
僕は彼に「嫌だ! あの娘はお前に渡さない!」と告げ。
「いいからクソガキ~。わりゃ~、早ぅ、かかってこいやぁ~」と荒々しく告げると。
僕は自分の事を見下ろすドラゴンに向けて、カンフー映画の主人公のように、自分の指でチョンチョンと彼を侮り、揶揄するように誘うのだ。早く僕の事を襲うようにと誘ってやった。




