第69話 ドラゴン(6)
「父ちゃん怖いよ……」
「うちも怖いよ……」
「大丈夫だ。大丈夫……」
ヨル君とマイちゃんの小さなコンビがお父さんのランガーさんの許へと寄り、畏怖し始める。
だからランガーさんは幼い二人に微笑みかけながら、頭を優しく撫で大丈夫だからと告げる。
そして二人の姉であるララはと言うと、自身の華奢身体を震わせながら僕の腕をギュ! と握り。まさに僕の嫁らしく振る舞うから。
『あっ、ははは~。本当に困ったなぁ~』と僕は思うのだけれど。これだけララに慕われると流石にもう嫁にするのは無理だ~! とも言える事もできないのと。
僕のララの事を自分の物だと雄として認識して庇護欲と独占欲も沸いているから……と言っても?
ジルさん達やランガーさんが先程お酒の席で教えてくれたのだけれど。この世界の男女はお互いに対して独占欲を永遠に持ったらいけないらしい。
だって人種以外の亜人の人達は僕達ドラゴンでないにしても長寿種らしいから。新たな出会いと別れを繰り返しながら家族を作り、後世に自分達の一族の遺伝子を残しつつ繁栄しているらしいから以前のように、ドラゴンやモンスターに襲われても種が滅びる事はなかったらしいのだが。




