第7話 私の亜人への不満(1)
うぅ、うううっ、歯痒い。歯痒い。歯痒いです……。
そして更に歯痒いですねと、私はお母様が領内の何処かの町へと。私達家族の為にと買い物へと行かれ、帰宅をする度に思うのだが。
その内容と言うのが、私がある程度の年齢になり大人の事情……。
まあ、我が家のような女性だけの家族は致し方がない事だと理解ができる……。
そう、分かるようになってから私の心の奥底で渦巻き、段々と蓄積されてきた……。
そう、その内容が、いくら致し方がない事だと解っていても、他界したお父様を裏切ったお母様や……。
そのお母様を性玩具にしている亜人のオス達が私は憎くて仕方がないから、心の奥底に不満だけではなく、憎悪も未だに募らせている。
だから私はある日突然お母様へと自分の目を細め、冷たい目と口調で。こんな言葉を良く告げ、お母様を言葉で攻撃するのだった。
「お母様?」
「……ん? なに、レビィア?」
「私達親子が今のままの生活を繰り返していると。そのうち御先祖様が残してくれた財宝の方が底をつく筈ですから。今のうちに、この国に住み、暮らす民達から少しでも守護料として税か、貢物をもらうようにしたらどうですか?」
私はお母様へと提案をしたのだ。
それも私は何度も提案を試みてみた。
「えっ! いや、あの……。それは……」
でも何故か、お母様は私の提案に対して何故かいつもはっきりとした返事をくれず。自分の顔色を変え、眼を背け。その後は私へと何だかんだと言っては良い訳をする。
そんなお母様の様子を見ていると私は同じ女としてお母様が誰かを庇っているように見え、埒が明かないから。
「じゃ、お母様が出来ないのならば私が城下へと降りて、何個かの町や村を見せしめにする為に襲い。亜人達を皆食らい。実力行使で強制的に財や食料を収集して回ってきます……。それで良いですね、お母様?」
私はお母様に何度も冷淡に尋ね、認可をとろうとした事がある。
でもその都度お母様が、自分の雪のような白い肌を更蒼く染めながら。
「わらわが何とかして食事の方は要しますから。レビィア、それだけは辞めてお願い……」
私がお母様に嘆願してもいつも自分が何処からか調達するから。私にお母様は荒々しい事はしないでくれと嘆願をしてくるのだが。
私は先程も説明をした通りで、お母様が城下へと降り、食料や衣服、下着などを調達してくるのが嫌で仕方がないのだ。
私がお母様の事を下品な女性だと思ってしまうぐらい。
だから私の細くしていた瞼が大きく開き、吊り上がってしまうから。
「何でお母様は~! そんなにも亜人達を庇うのですか~! あいつらは~、私達に散々酷い事ばかりをしてきたのですよ~! だからあんな奴等は~、私採取されれば良いのですよ~! どうせ~、いくらでも増えるのですから~! 食してしまえばいいのですよ~」
私は我が家の今のお母様に対して怒声を吐いた!
それもいつも最終的には、私の紅の瞳からポロポロと涙を流しながらお母様へと嘆きながら不満を吐いた。
「うぅ、うううっ。レビィア、貴女は何て恐ろしいことを平然と述べるのですか……。わらわは……。わらわは貴女のことを大変に優しい娘へと育てたつもりなのに……。何て恐ろしいことを申すのですか、レビィア……。これだとわらわは他界した陛下に申し訳がたちません……。うぅ、ううう……」
お母様は私の亜人達への憎悪を込めた台詞を聞き、自分の美しい金色の瞳から涙を流しつつ諫め、嗚咽も漏らした。
「頼むからレビィア……。わらわの目の前で、そんな恐ろしいことを二度と言わないでください。おねがいします、レビィア……」
お母様は余程城下の町か村に、自身の大事な物があるのでしょう……。
この後も私の事をお母様は嗚咽を漏らしつつ、しつこいぐい、うだうだと不満を漏らし、諫めてくるのだ。
お母様が自分の目の前で嗚咽を漏らす姿を凝視しようが。フン! と素知らぬ振りをしている思春期で反抗期の私へとお母様は涙を流しながら。
「レビィア~、貴女がしようとしている行為は、大変に悪意ある行為で~。山賊や川賊達、悪人と変わらない所業なのですよ~。だから辞めてお願いレビィア……。特に貴女は……。わらわの後を継ぎ、この領地を外敵から守る、守護神になるのだから。そんな貴女が民を滅ぼしてやる。苦してやると言葉を漏らせば。貴女の母であるわらわは本当に悲しいです……。それにこの領地の民を愛し、大事にしていた陛下も、娘の貴女がこんな恐ろしいことを思い、実公するのだと荒々しく口にだしていると知れば。陛下は必ず悲しみます。だからレビィア辞めて……」と。




