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第65話 異世界でお好み焼きを販売するぞ! (1)
「銅貨~! 銅貨三枚だ~! 三枚~!」
お好み焼きを焼く鉄板の周りに集う人達……。観衆だった人達が、ララちゃんやヨル君、マイちゃん達姉弟が自身の頬を落としそうな勢いで『ホクホク』と【お好み焼き】を美味しそうに食べる様子を見て──!
観衆から購入者……。お客様へと変化してランガーさんへと慌てて詰め寄り、自分達に【お好み焼き】を販売してくれと勢い良く告げてくる。
でもお店の店主のランガーさんも、自分の祖父が始めたこのお店……。ランガーさんは、病気で他界をされたお父さんから、このお店を受け継ぎ、商いを始めたのだが。
彼は自分のお店に、一度にこんなにも沢山のお客さんが押しかけ、食事をさせて欲しいと嘆願された経験はない。
だからランガーさんは驚愕した顔、声音でたじろぎつつ『ちょっと待って』、『そんなに慌てないで』、『他人を押し退けないで』、『怪我をしたら大変だから』とでも言いたい顔……。




