第6話 世間の荒波(7)
でも私の他界したお父様は亜人とのハーフと言う事もあり、大変に優しい人でね。祖父がしていた強引な貢物や税の収入による恐怖統治を嫌がり、嫌ってね。
祖父が他界をして、この領地を頂き、後を継いだら、自分がこの国の竜王、竜神となる事を辞めて亜人達と共に平穏に暮らし、生活をしていくのだと決め、沢山いた臣下の者達も野に放ち。
その後は、この山の、この大きなお城で暮らすのはやめて下山……。私達家族も城下で普通に亜人達に混ざり、民として長い年月暮らし始めた。
だからこの竜神山の上にある古城には誰も近寄らなくなり一度は廃城と化したから。私達竜神の親子が居た事も城下に住む民達も忘れてしまい。長い年月が流れていく中で竜神崇拝を薄れ、誰もこの山城の入り口付近にある大きな祠……と言うよりも社かな?
その社に貢物をしたり拝まなくもなったみたいでね。私達家族の事も神話や昔話として残るだけになった。
それでも私達竜神の家族は城下の町で商いや大工をしながら普通に暮らしていた。
でもお父様の病死の後は心傷があるお母様が、今後の余生は静かに家族で暮らしたいからと、幼い私やリムを連れて城下の町を出て、またこの古城へと戻ってきたと言う訳……。
でもね、それが軽率だったみたい……。私達親子はお父様が雇っていた者達を皆失い完全に収入源を得る手立てがなくなり、今にきているのだと。私が嘆きながら不満や愚痴を漏らしつつ説明をしたところで話しを元に戻しますが。
大変に気性難のじゃじゃ馬娘である私は領内の町へと働きに出る度に、荒くれ者達とトラブルを起こすから。その都度お店への出禁を食らい続けた。
だから大変に頭にきている私はその都度店の前でドラゴン化……。
店の店主や天下の往来を行き交う者達をジロリと睨んで、遠くの森へとブレス──! 近くの森をフン! 私は鼻息荒く焦土と化せば。
「貴様等~。私の事を余り蔑ろにすると~! 貴様等亜人達も木々のように炭と化した躯にしてしまうぞ~! 分かったか~~~!? (プンプン)」と。
私はいつも鼻息荒くして城へと帰還をしていた。
だから尚更私は指名手配の犯罪人のように、未だに領内では物語の悪役ヒロインの女性魔王として君臨して語り継がれているから。
私は職を得る事も出来ないでいるから働く事もできないので今日もお城の窓から青空を眺め。
「ああ~、困ったな~」
私は天を仰ぎつつ思うのだった。
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