第6話 世間の荒波(5)
だってこの領内に住む亜人の者達が平和に暮らせているのは私達の庇護下にあるから……。
そう何故この領内に住む亜人の者達が領地外にいる恐ろしい魔物や私達と同じ種族の者達……。ドラゴンと呼ばれ者達に襲われずに平和に暮らせていけるのかと申せば。
私達家族が健在していて、恐ろしいドラゴンや魔物達へと威圧をしつつ結界を張り、守護をしているからなのだ。
特に私の場合は他界をしたお父様譲りの武に秀でた能力……。お母様や妹のリムとは違って黒き竜王の血と容姿を受け継ぐ者だからオスのドラゴン達よりも強い。
だからこの国にドラゴンが侵入してきても直ぐに私が力づくで追い返すだ。
そして亜人達を食らう魔物達も、リムやお母様は嫌がるのだが、本来は私達にとっては餌になる者達だから。奴等がいくら多数で一度に襲ってこようとも即皆殺しにして私の空腹の足しにするだけなのだと。私の勇んだ台詞……。武勇伝を聞いてもらったから。大体皆様にも察しがついたとおもいますが?
私達家族は代々……。
そう古の時代からこの領地を守護し、統治していたドラゴンの一族の者だから。
私達家族の事を亜人達はもう少し敬い大事にしてもらいたいと思う。
それに私達家族は太古のように、この領地に住む民達から強引な税や貢物を寄越せと言っている訳ではない……。
そう只、私達家族が今後も亜人達と共存しながら暮らしていくための就職先……。働き口だけは取り上げず保証をして欲しい……。
だって私達家族はこのままだと、遅かれ早かれ飢え死にして滅ぶ事を自ら選んでしまう選択をするか……。本当に最悪の選択を選ぶ事になる……。
そう他の地から自分達親子……。我が一族は早くからお父様を亡くしてしまいメスのドラゴンだけが残る家族なので。私達の事を守護し、養ってくれるドラゴンを招き入れるしか選択幅がなくなる。




