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第62話 お好み焼き屋を焼いてみます(11)
小さな二人の姉であるララちゃんが、顔色を変えている僕へと二人が怪我をしても大丈夫……。唾をつけたら治ると言った昭和以前の時代のノリで笑いながら僕に気にするなと告げてきた。
だから僕は顔色を変える。
「ララちゃん、そ、そうなの?」と「本当に治るの?」と尋ねてみた。
「えっ、あっ、はい。治りますよ。新作さん」
ララちゃんは、僕の問いかけに対して満身の笑みを浮かべつつ言葉を返してきた。
「新作さんも刃物傷を負ったら言ってくださいね。私が舐めてあげますから」とも告げてきた。
だからララちゃんの言葉は、僕の産まれ育った日本の物の例え等の言葉ではなく。本当にできる事なのだと僕は気が付いた。
「ララちゃんの言っている『舐めれば治る』は治癒の魔法みたいな物なのかな?」
だから僕はララちゃんに尋ねてみたのだ。




