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第62話 お好み焼き屋を焼いてみます(10)
僕は、頭では思い、分かっているのだけれど。やはり近代世界日本からきた新米の竜神様だから、マイちゃんとヨル君の包丁を扱う様子を見れば、自身の気が落ち着かない。
だから僕は先程からキャベツの千切りをする手が止まっている。まだネギの千切りもしないといけないのに。
僕は自身の額と頬、首、背中に冷や汗をタラリとかき、垂らしながら、青い顔をしながら小さな二人の不慣れな様子を窺いながら。
「……二人共、キャベツの千切りの方は、ゆっくり切れば良いからね。とにかく手を切らないように慎重にね……」
僕がオドオドと小さな二人……。ヨル君とマイ君へと告げると。
「新作さん、そんなに気にしなくても大丈夫ですよ……。それにもしも手が切れたらペロリと舐めたら直ぐに治りますから大丈夫ですよ」




