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第62話 お好み焼き屋を焼いてみます(7)
「何をしているの、おじちゃん?」
リュックサックの中を覗き込みながら手を入れ──。ゴソゴソと何かを探す僕にヨル君が尋ねてきた。
「……ん? ああ、探し物……」
僕はヨル君に微笑みながら答えると。
「あった~」と声を上げ──。ある物を持ち上げる。
「はい」と僕はヨルへと《《ある物》》……。そう皆さんも気が付いたと思うけれど、我が家の奥さん……。リムが近所のダ〇ソー、100均で購入してきてくれた。こちらの世界で紛失しても良い包丁の柄をヨル君へと手渡した。
「えっ!」
僕が手渡した包丁を見てヨル君の口から驚嘆が漏れる。
でも僕はそのまま無視して、リュックサックの中から別の包丁を出して柄を小さなマイちゃんへと手渡す。
「……変わった形の刃物……」
僕が先程手渡した包丁の容姿を興味津々に見詰めていたヨルの口から言葉が漏れた。
「うん」
すると今僕から包丁の柄を受け取り握ったマイちゃんも、【日本の包丁】を見て頷いた。




