第60話 有難う御座います! (7)
でッ、僕はランガーさんからこの話を聞いて、彼の事を情けない男だとは一つも思わない。
だって僕自身も転生後に、両親や知人の反対を押し切り、コロナウイルスが鎮静化したからと言っても、未だ不安定な現代日本で飲食店の経営を一から始めるのは無謀、辞めた方が良いと言われたのに。皆の意見を無視して強引に、【広島お好み焼き屋さつき】を開店して、直ぐに赤字……。家を売るか? 一階のお店をテナントとして貸し出すか? の二選択に迫られ、お酒に酔い、狂い、男泣きしている惨めな自分の最中にリムに助けてもらい。接待業経験のあるレビィアがお店を切り盛りしてくれた。
そしてエリカ譲りの祝福を持つリムが、女神の微笑みを浮かべながらお客様を呼び込んでくれて、レビィアが自身の妖艶な美しさで、そのお客様達を固定客へと導き、今の流行りのお店【さつき】にしてくれた訳だから。
僕はランガーさんを嘲笑う事等できないよ。彼の奥さんの件も含めて……。
だって前世の僕が流行り病で早死にしたために、妃のエリカはレビィアとリムを育てる為に、今迄複数の男に奪われ、養ってもらっているみたいだから。僕は彼の事を小さな声ですら笑う事等出来ないから。
「あっ! そうだ!」、
「ランガーさん、あのね?」と。
僕は自身の肩を落とし下を向く彼に、優しく微笑みかける。
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