第6話 世間の荒波(2)
だからと言って雇われの身の上である私がお店の店主達へと嘆くように不満を告げたところで彼等の気持ちが変わる訳ではなく。
「……あのね、レビィアさん……。こんな事を度々店内や店の前で荒々しい暴力事件を起こされると。家にお客様も来店してくれなくなるし。お店の修理代の方も追いつかなくなり。レビィアさんにはどの道給金も払えなくなるから悪いのだが、お店を辞めてくれないかな?」
お店の店主達はいつも、にへらと作り笑いを浮かべながら私へと告げ、お店を追い出していく。
私も一応はお母様の豊穣神の血を引く竜の姫巫女だから。私がお店にいるだけでも莫大な富を得る事ができるのに。
お店の主人達は、そんな事を知らないから、竜の女神の一人である私をあっさりと解雇して追い出し続け。その後お店の方はいつも《《閑古鳥が鳴く》》状態へと陥り、お店の経営を辞めている状態だ。
だから私もその都度お店の主人へと『頼むからお店に置いてください』と嘆願をしようと思うのだが。
私の目の前に立つお店の主人達は、荒れ果てた自分達のお店……。店内を見渡しながら「はぁ~」と大きな溜息をついているのが見え、聞こえる。
だから俯き、一応は反省している私も自分の口を開き。
「本当に申し訳御座いません」
お店の店主達へと謝罪をしてきた。
それも沢山……。
この男性達は女性である、立場の弱い私の事を、ならず者達からのセクハラ行為や精神的な嫌がらせ行為から守護してくれる訳でもなく素知らぬ振りをしている癖に解雇を告げてくるから。
私自身も時間が経てば段々と腹が立って仕方がなくなる。
だから私の顔も最後には太々しいものへと変わるから、不満のある顔で店の主人を睨み付け。
『あぁ~、あんたぁ~? 竜神である私に何か文句がある訳~?』とでも言いたい顔で私は斜め四十五度からお店の店主を睨んでやるの。




