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第44話 焼いてみます? (3)
僕への呼び方の方も。
店の『店主さん』から、僕がふと気がつけば、エリカの昔から変わらぬ、独特な呼び方である。
言葉の語句の最後のところを妙に伸ばしては甘える呼び方である。
『あなた~』に対して、僕が久し振りに聞くから、自身の脳内がクラクラ……。
そして蕩けそうになるから。
はい! 僕の負け!
僕は最初からエリカの事に気がついていたから。
僕は自身の妻に、自分で広島お好み焼きを焼きたいのならば、焼けば告げ。
「エリカ、この後の焼の皇帝の続きはできるの?」と、尋ねれば。
「えっ!」と。
エリカが驚嘆を漏らすから。
「最初から気がついとったけぇ」と。
僕はエリカに苦笑いを浮かべながら告げると。
「普通お客さんが赤の他人……。店の店主にキスなんかぁ、せんけぇ」とも、笑いながら告げれば。
「あっ!」と、エリカがまた驚嘆を漏らすから。
僕は「うぅ~、ん」と呻りつつ。
僕は自身の唇を蛸さんみたいに突きだす仕草をおこなう。
◇◇◇




