レナ、旅立つ?
本編第八話です。
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旅立ちの朝、まだ日が出る前の時間。レナは、すでに街の門の前にいた。昨日のうちに宿のフェイには別れを済ませた。一応、手紙を書いて置いてきている。ギルドの方は挨拶には行ってないがギルに伝言を頼みまかせてある。この街で他にすることはないのでレナは、街に一礼をし足を街の外に向ける。
後ろから足音が聞こえてくる。レナは、振り返らず話しかける。
「貴方が私の追手かしら?ギル?」
「まぁ、そんな話もあったな。レナの予想通りだな?」
「ギルの事だから断っているでしょうけど。それで、ラピス王女は勇者数人と騎士を私の追手に任命した感じかな?」
自分の予想を言ったレナ。それに答えるギル。
「この街を出る前に確保しろとラピス王女は言っていたな。だが、こんな早くに出るとは思っていないみたいで未だに夢の中だ。」
「なら、安心して出ていけるわね。それとギルに頼みたいことがあるんだけどいい?」
「俺に出来ることならな。」
レナは、自分が使っていた宿が勇者達に押し入られることを懸念しギルに頼んだ。
「私が泊まっていた宿にどっかの人達が来ると思うから守って欲しいの。宿には私の妹がいるから。」
「あぁ、宿屋の娘か。わかった、で本当に行くのか?」
「えぇ、世界を見てみたいから。」
「そうか。これは、餞別だ。受け取れ❗」
と、アイテムボックスを投げて渡すギル。アイテムボックスを受け取るレナ。
「いいの?高いんじゃないの?」
「いいさ、俺はもう一つ持ってるからな❗そのアイテムボックスは、持ち主の術の熟練度で容量が変わるようになっていからレナなら俺より大量に入るだろうな❗」
大笑いをしながら言う。
「そう、ありがたく貰っておくわ。ありがとう、ギル。」
レナは、頭を下げてお礼を言う。
頭を上げたレナは、右手をギルの前に出す。ギルも右手を出し二人は堅く握手を交わす。
「さて、そろそろ行くわね。」
「あぁ、気を付けていけよ?戻って来たらまたやろうぜ?」
ギルは、右手を握り突き出した。レナもそれに答えるように同じ動作をした。
「私に勝てるといいわね?」
「ぬかせ、次は必ず勝ってやるよ❗」
「楽しみにしてるわ❗」
二人とも笑っている。そしてレナは、振り向きながら言う。
「じゃあ、行くわね。元気でね、ギル?」
「お前もな、レナ。」
レナは、歩き始める。後ろを振り返らずただ、前だけを見据えて。
「無茶するんじゃねぇぞ❗」
ギルの言葉に、手を振り答えた。
一方その頃、王城では・・・。
ラピス王女が、レナ確保の命を受けた勇者と騎士を叩き起こしていた。
「貴方達、何時まで寝ているのですか?レナさんを確保していただくことになっていたでしょう?」
勇者の一人がラピス王女に言う。
「こんな朝早くに何処かに行くことなんてありませんよ?」
今度は騎士が言う。
「ギルドで依頼を受けるにしろまだ、ギルドも開いていないですし。」
それでも、食い下がらないラピス王女。そんな時、一人の兵士がラピス王女に伝言を伝えにきた。
「ラピス王女様、少し前に街から出る冒険者らしい女を見たと門の警備の兵士が言ってきました。」
ラピス王女は、レナが出ていくかもしれないと思い門の兵士にも出ていく者がいれば報告するようにしていた。
「格好はどうでしたか?」
「遠目からだったので判らないと。」
「そうですか、わかりました。報告ご苦労様です。」
頭を下げ立ち去る兵士。ラピス王女は、暫し考え込み結論をだした。
(報告の女性はレナさんではありませんわね。もし、レナさんなら女ではなく少女、もしくは女性と報告するはずですから。まだ、宿にいるはずです。)
この後、ラピス王女は宿に突入しようとするがギルに「レナは、もういないぞ。」と言われ、早朝の報告を思い出したがもう遅かった。
この後、勇者と騎士はラピス王女の八つ当たりを受けるはめになったかどうかはしらない・・・。
場所はかわり、街から続く街道を歩いているレナ。これからの事を考えながら歩いていた。
(街道を進めばいつかは街か村に着くとは思うけど・・・。初めての一人旅が異世界だとは思わなかったわね。でも、思いの外楽しいわね。)
一人旅が気に入ったのか微笑むレナ。そこに悲鳴が聞こえてきた。
「キャァァァァ❗❗」
悲鳴が聞こえてきたがレナは、歩くスピードを変えずにいた。自ら厄介事に首を突っ込みたくないからである。
しかし、そうは行かなかった。悲鳴がレナの方に近づいてくるのである。
(なんか嫌な予感しかしないわね?また厄介事に巻き込まれるのかしら?)
考えているうちに、目の前に少女が走ってきた・・・。
「助けて頂けませんか?盗賊に追われているんです❗」
レナは、雲一つない空を見上げて溜め息をついた・・・。
本編第八話、いかがでしたでしょうか?また、何かに巻き込まれそうなレナです。
次回は、十四日の六時の更新予定です。




