フィール王国の現状
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フィール王国に着いたリョーマとラースは街の様子を入り口から見て絶句した。
「なっ、なんだこれは?」
「リョーマ、これは一体?」
街には人が歩いている。しかし、眼は虚ろで生気がないのである。それだけではなく、普段なら外で遊んでいるはずの子供が一人も居ないのである。
フィール王国の現状を見たリョーマとラースはすぐさま街を出ようと話し合った。
「ラース❗嫌な予感がする。すぐにここから離れるぞ❗」
「それがいいと思います、リョーマ様。」
二人は街を出ようと振り返った瞬間、リョーマの目の前に一人の人間が立っていた。
人間はすでに剣を振り上げていた。リョーマとラースですら気配を感じ取ることが出来なかった。そのためリョーマは何が起こったのか理解できていなかった。
「リョーマ様❗」
立ち尽くしていたリョーマにラースが声を出し、リョーマと人間の間に飛び込んだ。
「ぐわぁぁぁ❗」
「ラース❗」
降り下ろされた剣はラースの背中を深々と切り裂いた。リョーマは斬られたラースを抱き止め地面に倒れ込む。
ラースを斬った人間は再度、剣を振り上げた。
「死ねぇぇぇぇ❗」
人間が初めて声を出しリョーマとラースに斬りかかる。
リョーマは転移をしようとしたが出来ない。ラースを支えているため攻撃はおろか防御すらまともに出来ないでいた。
リョーマは死を悟った。
(こんなところで俺は死ぬのか?折角、レナと再会できたのに・・・。俺はまた死ぬのか?)
リョーマがそう思った瞬間、事態は変化した。
ドサッ
剣を振り上げていた人間が突如として倒れたのである。そして倒れた人間の後ろから新たな人間が立っていた。
「大丈夫ですか?」
「・・・。」
声をかけられたリョーマは呆然としていた。
「お連れの方の怪我が心配です。街から離れた場所で手当てをしましょう。」
そう言われようやくラースが怪我をしたことを思い出した。
「すまない。恩に着る。」
「いえ、私もこの国に用事があったので・・・。」
リョーマはラースを抱え、女について街を出た。
普段のリョーマであれば助けられたとはいえ注意をし見定める。しかし、今はラースが自分を庇って怪我をしたため藁にもすがる思いであった。
街から離れたところでラースの怪我の手当てを開始した。斬られた傷は深かったが命に関わる程ではなかった。しかし、しばらくは絶対安静と告げられる。
「改めてお礼を言う。助けてもらい助かった、ありがとう。」
リョーマは頭を下げお礼を言った。
「お礼は結構です。私は、偶々仕事であの場所に居ただけですから。ただ、お尋ねしたいことがあります。」
「なんだ?」
「何故、あの場所に居たのですか?あの国の現状を知っているなら近付かないはずです。」
女はリョーマに尋ねた。リョーマはどう説明しようか悩んでいた。本当の事を言って信じてもらえる自信はない。だからといって助けられたのは事実である。
リョーマが答えに悩んでいると意識を取り戻したラースが言う。
「リョーマ様、私を置いて・・・サラの元に行きこの事・・・を伝えてもらえないでしょうか?」
「出来るわけないだろう❗俺を庇って怪我をしたんだ。お前の怪我が完治してからレナとサラの所に行けばいい❗」
「しかし・・・。」
二人の会話を聞いていた女が二人の会話に割ってはいる。
「すいませんが・・・、あなた方はレナ様とサラ様のお知り合いですか?」
「そうだ。怪我をして倒れているのはサラの夫でもある。」
驚きの表情をする女。
「えっ?サラ様の旦那様ですか?」
「そうだな。」
「申し訳ありません❗サラ様の旦那様とは知らずご無礼をいたしました❗」
土下座をし謝る女。それを見たリョーマは尋ねる。
「お前は何者だ?レナとサラを知っているみたいだが?」
「申し遅れました。私はラガス帝国で諜報部に所属しているネスレと言います。現在、私の任務はフィール王国の現状の調査です。」
ネスレと名乗った女が自分の任務をリョーマに説明した。
「フィール王国はラガス帝国に対し宣戦布告をしてきました。主な理由は魔族と通じておりこの世界を統一しようとしているとのことです。」
「そんなことがあったのか・・・。」
「はい。ですから私達諜報部はフィール王国とネフィル皇国に情報収集のため潜入を始めました。」
リョーマは、今ラガス帝国の立場を理解した。
(これは早めにレナの元に行った方がいいな?だが、ラースを残して行くわけにもいかない。そんな事をしたらサラに何をされるか・・・。)
「リョーマ様、状況が状況です。私を置いて帝国に行きサラに伝えてください。」
「そんなこと出来るわけない❗そんなことをしたら俺がサラに何をされるかわかったもんじゃない❗」
本音を漏らすリョーマ。会話を聞いていたネスレが言う。
「私が報告に行くので大丈夫です。フィール王国での情報収集は終わりましたから。」
「そうか、すまない。包み隠さずサラに報告してくれ。」
「わかりました。では、申し訳ありませんが報告のためラガス帝国に帰還します。」
「ああ、ラースの傷が完治したら俺達もラガス帝国に向かう。」
「はい、そのようにレナ様とサラ様にお伝えしておきます。それでは失礼します。」
ネスレは頭を下げラガス帝国に帰還した。
残されたリョーマとラースは、傷が癒えるまで見つからないように気を付けながら息を潜めていることになった。
一方、ラガス帝国の騎士団が訓練をするために使っている訓練場ではルナによる地獄の特訓が行われていた。
「ほら、貴方達。しっかりしなさい❗そんなんじゃ何時まで経ってもレナやサラには追いつけないわよ?」
騎士達は思った。ルナは弦十郎以上の訓練の鬼であると・・・。
最近、登場人物が異様に増えている気がします。名前を考えるのに苦労しています。
次回は明日の六時に更新します。
読んで頂きありがとうございます。




