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レナ、王女と闘う?そして・・・。

本編七話です。


本日、二話目の更新です。


ご意見、ご感想、評価などお待ちしています。

ラピス王女との模擬戦の当日の朝、レナはいつもと変わらない時間に起き朝食を済ませた。

レナが、宿を出るといつも通りギルが待っていた。軽く挨拶を交わした二人は、いつもの道を通り城へと向かう。城へ向かう最中、ギルはレナに昨日の話をした。


「昨日の件、一応ギルドマスターに報告したぞ。」


「昨日の件?ラピス王女とのこと?」


「ああ、そうだ。あとで難癖つけられても困るからな。」


「難癖だけならまだマシよ?下手したら私が追われる立場になるかもね?」


レナは、ラピス王女の思考を読みつつ自分の予想を口にした。


「いや、さすがにそれはないだろう?いくらラピス王女様でもそこまでの権限はないと思うぞ?」


「もうすぐ城に着くからこの話は終わりにしましょ?」


「そうだな。」


二人は話をやめ、城に向かった。


城に着くといつも通りに訓練場に向かう二人の前にラピス王女が待ち構えていた。


「レナさん、昨日の件覚えていますわよね?」


「模擬戦のことでしょ?覚えているわよ。」


「覚えていたのですね?てっきり忘れているとばかり思っておりましたわ。」


「残念ね。これでも物覚えは良い方なのよ?」


「そうですか、それは失礼しました。本題に入りますわね?」


「お願いするわ。」


「模擬戦は、本日の訓練が終わった後にしませんか?」


「訓練の後?別にいいわよ。」


レナが、すぐに返事を返すとは思っていなかったラピス王女はすぐに答えることが出来なかった。


「よ、よろしいのですか?てっきり何か言われると思っていましたが?」


「なぜ?訓練の後に模擬戦をするぐらい何でもないわ。」


「わかりました。では、訓練場で。」


そう言い残し、ラピス王女は去っていった。ギルは、レナとラピス王女の会話を聞いて疑問に思ったことを口にする。


「レナ、なぜ訓練後に模擬戦をやることを了承した?明らかに何かあるぞ?」


レナは、ギルが何を言いたいのかすぐに理解した。


「たぶん、私の体力を削るつもりよ?」


「お前、判ってて了承したのか?」


「当たり前よ。そもそも、そんな小細工ぐらいで私に勝てるわけないじゃない?おじいちゃんにそんな優しい鍛え方された覚えはないもの。」


「レナの爺さんおっかないんだな・・・。」


「取り敢えず、今日の訓練やるわよ。どうせラピス王女のことだから勇者を私に当ててくるわよ?」


「お前、そこまで判ってるのによく了承したよ❗」


レナは、ギルに笑顔で答えた。


「レナ、お前の笑顔が妙に怖いぞ・・・。」



そして訓練が開始された。案の定、レナに勇者達が集まる。割合で言えば、レナが七割、ギルが残りの三割である。明らかにラピス王女の入れ知恵だとすぐにわかる。昨日とは全くの逆だったからだ。レナは、ラピス王女のやり方に笑いを堪えるので必死だった。


人数以外は何事もなく無事に訓練が終わる。その瞬間を待っていたようにラピス王女は前に出て言う。


「今から私とレナさんの模擬戦を行います。」


どよめく勇者達。そんななかクラス委員長が話し出す。


「なぜ、ラピス王女様とこいつが模擬戦をするんですか?」


「私がレナさんの実力を知りたいからですわ。」


「ですが・・・。」


クラス委員長が言い終わる前にラピス王女が遮る。


「これは決定事項です。ですから、私達の模擬戦を観戦していて下さい。私が勝ちますから❗」


自信満々に言い放つラピス王女。レナは、ラピス王女の勝利宣言に不敵な笑みを浮かべただけだった。


「では、ラピス王女殿下それにレナ開始位置についてくれ。」


ギルの言葉に従うレナとラピス王女。

ラピス王女の武器は腰に二本のショートソード、手には槍を持っている。レナは、いつもと変わらない刀である。

ラピス王女は槍を構え、レナは左手で鞘を持ちを右手は刀の柄を握り構える。二人が構えたのを見てギルが合図を出す。


「それでは、始め❗」


ギルの合図と共にラピス王女が一直線にレナに向かってくる。


「ハァァァァァ❗」


掛け声と共に槍を突き出すラピス王女。それを難なくかわすレナ。

ラピス王女は突きを連続で放ち始める。ラピス王女の連続突きも危なげなくかわし続ける。


「何時までも避けてばかりでは勝てませんわよ?」


カキィィィィィン


ラピス王女が言った瞬間、槍はラピス王女の両手を離れ弧を描きながらレナの後ろに刺さる。ラピス王女は、今何が起こったのかわかっていない。何故なら、レナが動いた形跡を見ていないからである。実際には、レナは刀を抜き槍を弾きまた鞘に戻したのである。この一連の動作を確認できたのはギルだけである。


「相変わらず速いしおっかないな❗」


ギルは感想を述べ模擬戦に集中した。


「今何をなさったのですか?」


「刀で槍を弾いただけよ。」


「嘘はいけませんわよ?貴女は動いていないじゃないですか?」


「嘘は言ってないわよ?ねぇ、ギル?」


話をギルに振る。ギルは、急に話を振られたので驚いたがすぐに冷静を取り戻しラピス王女に言う。


「レナは嘘をついていませんよ、ラピス王女殿下。レナは、ちゃんと槍への一撃を放っていますよ。」


未だにレナとギルの言葉を信じられないラピス王女。そんなラピス王女にレナは腰のショートソードを指差して言う。


「腰の剣はお飾りかしら?」


レナの言葉で我に返り冷静さを取り戻す。


「お飾りではありませんわ。今までは小手調べです。ここからが私の本気ですわ。」


と、二本のショートソードを抜いて構えるラピス王女。それを見てレナは改めて構え直す。

お互いに距離を取る。先に仕掛けたのはレナである。


「ちゃんと受け止めなさいよ?」


瞬時にラピス王女の懐に入り込み、右脇腹に一撃を放つ。所謂、右薙ぎである。


キィーーーン


刀と剣がぶつかりあう。ラピス王女は、辛うじて受け止める。


「ちゃんと受け止められたようね。でも、次はどうかしら?」


「そうはいきませんわ❗」


といい、ラピス王女は二つの剣を使い連撃を放つ。しかし、レナは刀と鞘を使って受け止める。鞘を使って受け止めたのは、レナだからこそ出来たことで他の人では出来ない。


「なっ❗私の剣がこんな簡単に破られるなんて❗しかも、こんな方法でなんて❗あり得ませんわ❗」


自分の剣が止められ、尚且つ鞘で受け止められるとは思ってもいなかったのである。


「今のがラピス王女様の本気なの?」


「そんなわけありませんわ❗」


そういうと更なる連撃を放ち始めるラピス王女。

レナは、その連撃すら刀と鞘で弾き返す。刀と剣の金属音が訓練場に響き渡る。


カキィィィィィン


カキィィィィィン


そして、ラピス王女の二本の剣が宙を舞う。間髪入れずにレナが動く。


「結城流抜刀術奥義『雷切』❗」


神速の九連撃がラピス王女を襲う。しかし、レナの雷切はラピス王女の手前で放たれていた。若干、風圧により服が切れるがラピス王女の身体に傷はついていない。レナの奥義が放たれたあとギルが終了を宣言する。


「そこまで、勝者レナ❗」


レナは、刀を納め一礼して去っていく。ラピス王女は、その場に立ち尽くし呆然としていた。それを見た勇者達がラピス王女に駆け寄りなにやら声を掛けている。


レナは、ギルと擦れ違い様に一言声を掛けた。


「突然だけど私、明日旅に出るわ。だから、ギルドマスターとティルに宜しく言っておいて。」


「おぃ、ちょっと待て❗」


と、ギルは振り向くがすでにレナはいなかった。


レナは、宿に戻りフェイに旅立つことを告げる。


「フェイ、明日旅に出るわ。今日まで色々ありがとうね。」


「えっ?レナさん、旅に出るんですか?」


「えぇ、色々あってね。それにこの世界を見て見たいしね。」


涙声で呟くフェイ。


「お姉ちゃんが出来たみたいで嬉しかったのに・・・。」


「私をお姉ちゃんみたいに思ってくれて嬉しいわ❗ありがとう。私もフェイを妹みたいに思っていたもの。」


と、若干声を震わせながら言うレナ。


「レナさん、お姉ちゃんって呼んでいいですか?」


「えぇ、いいわよ❗」


「ありがとうございます、レナお姉ちゃん❗」


「敬語は使わなくていいわよ?」


フェイは、レナの言葉で涙が止まり笑顔になる。


「えへへ、ありがとう。レナお姉ちゃん❗また、戻ってきてくれる?」


「もちろんよ。可愛い妹の為だもん❗」


「レナお姉ちゃん、約束ね?」


「もちろん❗」


明日は日の出前に街を出るつもりのレナは、夕食を済ませてすぐに眠りについた。



そして、旅立ちの朝を迎える・・・。



本編七話はいかがでしたでしょうか?楽しんで頂けたなら幸いです。


次回は十三日の六時の更新予定です。

暇なときにでも読んでやってください。

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