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ルナからのご褒美

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武闘祭前日の朝・・・。


レナとアミルは食堂で朝食兼昼食を食べていた。前日に祖父達との戦いで疲れていたため寝過ごしたのである。


すでに、二人以外は昼食を食べ終わっており食堂には二人とメイド以外居なかった。


二人が食べ終わる頃、一人のメイドが二人に近づいてきた。


「ルナ様から伝言を預かっています。」


「ルナ様から?何でしょうか?」


アミルは首を傾げながらメイドの言葉を待つ。


「はい、渡したいものがあるから昨日の場所に来て?だそうです。」


「わかったわ、ありがとう。」


レナがメイドにお礼を言うと、メイドは一礼して下がっていった。


レナとアミルは顔を見合わせる。


「ルナ様の渡したいものとは一体何でしょうか?」


「さぁね?昨日言っていたご褒美かもね?」


「だといいのですが・・・。」


アミルは不安な表情になる。レナは、アミルの表情を見てなんとなくアミルの気持ちがわかった。昨日の事を思えば当然である。


「そんな不安にならなくても大丈夫よ、アミル。さすがにおばあちゃんでも武闘祭前日に何かするとは思わないわよ?」


「・・・、そうですよね。さすがにルナ様でもそこまでしませんよね?」


「たぶん・・・。」


レナの言葉にアミルは硬直した。


「お願いですから断言してください、レナさぁぁぁぁん❗」


アミルの絶叫が食堂に木霊した。



食事を終えた二人は少し休憩をした後、昨日の場所へと向かった。


食堂を出て少し歩いたところで弦十郎とクラウドが待ち構えていた。二人もルナの所に向かう所でレナとアミルと一緒に行くつもりで待っていたのである。


「二人とも身体は大丈夫かのぉ?」


「大丈夫だよ、おじいちゃん❗」


「はい、私も何ともありません❗」


「おじいちゃんこそ大丈夫なの?」


レナは、昨日の事を思いだし弦十郎に訊ねた。


「うん?腕の事なら問題ないぞ?ほれ、この通りじゃ❗」


そう言うと弦十郎は左腕を見せた。そこには、しっかりと動いている左腕があった。レナは、安堵の溜め息を出した。


「はぁぁ、よかった・・・。」


「ここで立ち話をしていてルナ様に遅いと怒られるぞ、弦十郎?」


クラウドが話に入ってきた。弦十郎は、クラウドを見て言う。


「それはいただけないのぉ。すぐに向かうとしよう。」


「そうだね、おじいちゃん❗おばあちゃん、怒ると怖いし・・・。」


「そうですね、すぐに向かいましょう❗」


「ルナ様は・・・。」


クラウドは何かを思い出したようで身震いをした。それを見たアミルはクラウドに問いかける。


「どうかされましたか、お祖父様?」


「いや、なんでもない・・・。」


「そうですか?なら、ルナ様の元に参りましょう。」


こうして、四人はルナの元に向かうのだった。



四人がルナの元に辿り着くと目を見張る光景を眼にした。


ルナを中心に光が集まり、穏やかな風か吹き、魔物ではない小動物達が集まっていたのである。その光景を目の当たりにしたレナとアミルは口を揃えて言う。


「「綺麗・・・。」」


ちなみに、弦十郎とクラウドは何時もの事かという感じでルナを見ていた。


そんな幻想的な光景も終わりを告げる。ルナが四人の気配を感じとり小動物は森の方へと去っていった。


「ようやく来たわね?待ちくたびれたわよ?」


「ごめんね、おばあちゃん・・・。」


「いいわよ、どうせ弦十郎様とクラウドが途中で話始めたんでしょうから。」


ルナは、微笑みながら弦十郎とクラウドを見つめた。その眼差しに弦十郎とクラウドは冷や汗を流す。


「ルナ様、私は弦十郎に・・・。」


クラウドが言い終わる前にルナが言う。


「レナ、アミルさん。昨日の話を覚えてる?」


クラウドはガクッと項垂れる。クラウドの様子を見て見ぬふりをする四人。


「覚えてるよ、おばあちゃん。勝ったらご褒美の話だよね?」


「ええ、そうよ。」


「何を頂けるのでしょうか?」


アミルが言い終わるとルナは二人の前にあるものを出した。


それは・・・。


一振りの刀と双剣であった。


「この刀と剣は貴女達二人のために作った武器よ。貴女達にしか扱えない武器・・・。」


レナとアミルはルナの話を聞きながら刀と双剣に心を奪われていた。それもそのはず、淡く輝く刀身に使い手を思って作られた柄、どれをとっても見ただけで業物だとわかる武器である。


「これは弦十郎様とクラウドが素材から集め、作り上げたこの世に一本の刀、一対の剣よ。」


「おじいちゃん・・・。」


「お祖父様・・・。」


二人は弦十郎とクラウドをそれぞれ見た。


「儂らに勝ったんじゃからこれぐらいはしんとなぁ。」


「弦十郎の言うとおりだ。武闘祭にでるアミル達のためだからな。」


「「ありがとうございます❗」」


レナとアミルは一礼をし感謝の言葉を延べる。


「受け取ってもらえるわよね?」


と、ルナは言うと二人の前に刀と双剣を差し出した。


「「もちろん❗」」


二人は答えると手を差し出し受け取る。


「「凄い❗」」


「持っただけでわかるよ。この刀は今までにないぐらい私にしっくりくる❗」


「本当にそうですね。初めて握るはずなのに違和感なく扱えます❗」


「喜んではくれて嬉しいわ。その武器で武闘祭を制しなさい❗」


「「はい❗」」


嬉しさのあまり返事に気合いが入りまくる二人だった。


「あの顔を見たら儂らの苦労も報われるな、クラウド?」


「そうだな、いい仕事をしたな。」


「確かにあの顔は反則よね?」


いつの間にか弦十郎とクラウドの所に来たルナが言った。


「二人とも今までに最高の笑顔じゃな。」


「あぁ、いい顔をしている。」


「あの子達なら頂に上りつめるでしょうね?苦戦はするかもしれないけど・・・。」


「何せ、儂らが手塩にかけて育てたんじゃ。」


「当たり前ですよ、ルナ様。」


「そうね。元勇者に元魔王、それに元魔王の娘ですもんね?」


「そういうことじゃ❗」


未だに喜んでは試し切りをしているレナとアミルを見ながら三人は懐かしい昔を思い出した。



何時までも試し切りをやめない二人に声をかける。


「あんまりやり過ぎないようにね?」


「明日に疲れを残さないようにするんじゃぞ?」


「程々にしてくれよ?」


と、三人が言うと子供のような返事が返ってくる。


「「はぁぁぁぁい❗」」


三人は本当に判っているのか?と不安を覚えながら家に向かうのだった。



そして、武闘祭当日・・・。

次回は、二十三日六時の更新予定です。

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