ローゼの苦悩
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サラとラースが魔族の領域に向かった翌日、サラの部下の一人がサラの執務室にいつも通りに部屋に行き指示を聞こうと訪れた。サラの部下は何気なくサラの机にある紙の束が気になり近づいた。そこで見たものはサラからの書き置きだったのである。
『魔族の領域に行ってきます。探さないでください。』
書き置きを見た部下は顔が青くなり、しばし立ち尽くした。
どれくらい立ち尽くしたのだろう。不意に執務室の扉が開く。部下は振り向き驚いた。扉から現れた人物はローゼであった。
「そんな顔をしてどうしたのですか?」
「ロ、ローゼ様。これを見てください。」
そう言って部下はローゼに紙を渡す。ローゼは部下から紙を受け取り内容を確認した。
「・・・。やはりこうなりましたか・・・。」
「えっ?どういう意味ですか?」
部下はローゼの言葉を不思議に思い聞き返した。
「ここ一週間ぐらいサラさんの様子がおかしかったのですよ。何か思い詰めていた様な感じがしていましたから。」
「私達には普段通りに見えていましたが?」
「それは貴方達にわからないようにしていたからですよ?」
「・・・。私達を信用されていなかったのですね・・・。」
部下はサラが自分達を信用されていなかったと思い落ち込みはじめた。しかし、ローゼが部下に言う。
「違いますよ。サラさんは信用していたから言えなかったのです。自分が居なくなればどの様な事態になるか考え、あえて言わなかったのです。私にすら言ってないのですから。」
「ローゼ様にも言われてないのですか・・・。」
「それよりこれ以外に何かありませんでしたか?」
「まだ確認しておりません。」
「わかりました、私が確認します。」
そう言うとローゼはサラの机に向かって歩き出した。
「こ、これは・・・。」
ローゼは机の上に置いてある紙の束を見て驚いた。そこにはこう書かれていた。
『ローゼちゃんへ。
私の自分勝手な行動を許してね?どうしてもやりたいこと、ううん、やらなきゃいけないことがあるの。だから、私は魔族の領域に行くの。ローゼちゃんなら私がやりたいことは言わなくてもわかるよね?だから、ここにこれから数年分のやることを書いておいたよ。私の部下達と話し合って決めていってね?私が居なくてもいいように部下を私が育てたんだから。ある程度なら無理させても大丈夫なように育ててあるから安心していいよ。あんまり長々と書くと仕事に支障があるかもしれないからここでやめておくね?それじゃあ、皆と力を合わせて帝国を繁栄させてね。
サラより。』
ローゼは、サラからの手紙を読み終わり椅子に座った。
「ほんとにレナさんといいサラさんまでこんなに自由な人だとは思いませんでした。」
ローゼはいつの間にか涙を流していた。それを見た部下はどう声をかけていいか戸惑っていた。
「サラさんが残してくれたこれを有効に使わなくてはダメですね?すぐにでも内容を確認して会議を開かなくては。」
ローゼは涙を拭い、いつもの様に振る舞おうとした。そして、机の紙の束を取ろうとしたときもう一枚手紙があることに気付いた。
『追伸。もしかしたらレナおじいちゃんも居なくなるかも?だから、一応レナおじいちゃんの代役を頼んであるから安心してね?』
ローゼが読み終わると同時に勢いよく扉があく。
「ローゼ様、弦十郎様が何処を探してもいません❗今、騎士団総出で探してはいますが見つかりません❗」
ローゼは溜め息をつきながら思った。
(レナさんの家族といい、サラさんといいなんでこうも自由な人達が多いのでしょうね?本当に羨ましいです。私だって皆さんと一緒に旅などしたいのですけど・・・。私に出来ることをしないとレナさんとサラさんに怒られてしまうので今は自重しますけど・・・。いつか一緒に旅がしたいですね。)
そんなことを思っていたローゼであったが、サラの部下は顔面蒼白で意識を手放しかけていた。それを見たローゼは言う。
「このようなことで意識を手放してどうするのですか?これからやることは山積みなのですよ?」
ローゼの言葉にサラの部下は意識を現実に戻した。
「そ、そうですね。しかし、どのようにしていけば・・・。」
「ここにサラさんが残したものがあります。先ほど言ったように読み終えてから会議を開きます。貴方達はそれまでいつも通りに仕事をしなさい。私が読み終えたら使いを出します。」
「わかりました。他の者にもそう伝えます。」
そう言うと部下は行動に移った。残ったのはローゼと騎士である。ローゼは騎士に指示をする。
「弦十郎様の代役は決まっています。ですから、その方が来るまで騎士団は弦十郎様の訓練を続けなさい。弦十郎様の事ですから何も残されてはいないでしょうから・・・。」
「わかりました。もし何か見つかりましたらローゼ様にお届けいたします。」
「お願いしますね?」
「はい❗」
こうして、城中にサラと弦十郎が居なくなったことが広まる。しかし、何故か混乱は起きなかった。普通は混乱が起きてもいいような事態である。なのに混乱しなかったのはサラの部下の手際の良さが関係していた。サラは自分が居なくなることを想定して自分の部下に対処法を叩き込んでいたのである。そのため、大きな混乱にならなかったのである。
ちなみに、騎士団も同様である。騎士団は弦十郎を必死に探してはいるが見つかるとは思っていなかった。それはレナに教えられていたからである。それと弦十郎が居なくなる前日、弦十郎から騎士団の騎士達に言っていたことがあるからである。
「儂が急に居なくなっても動揺するでないぞ?お前達が動揺すればそれは周りに影響を及ぼす。お前達が動揺しなければ混乱は最小限に抑えられる。しかと覚えておくのじゃぞ?」
「「はい❗」」
と、こんな会話が昨日されていたためである。だから、騎士達は絶対に見つかることはない弦十郎を探していたのである。
それから一週間後、門番の兵士がローゼの元にやって来た。
「失礼します、ローゼ様。」
「どうしたのですか?」
「サラ様の手紙を携えた者がローゼ様に面会をしたいと申しておりますが如何いたしましょう?」
ローゼは、すぐに弦十郎の代役とわかり答える。
「わかりました、謁見の間にお通ししてください。私もすぐに準備をし向かいます。」
「はっ❗その様にいたします。」
門番は一礼し戻っていった。
(弦十郎様の代役は一体誰なのでしょうか?サラさんのことですから私がビックリするような方だとは思うのですが・・・。会って見ればわかることですね。)
そう思いながらサラの執務室を後にした。
ローゼは、着替えを済ませ謁見の間に向かった。そして、そこに居た人物は・・・。
「初めまして、ローゼ女王陛下。私は、ネフィル皇国第二皇女ステラ・ネフィルと申します。以後お見知りおきを。」
ステラの自己紹介を聞き、ローゼは驚きの声を心の中で叫んだ。
(えぇぇぇぇぇ❗なんで皇国の第二皇女がここに居るんですか?訳がわかりません。サラさんは弦十郎様の代役をとんでもない人にお願いしているんですか?一体、私にどうしろと言うんですか?こんなの無理ですよぉぉぉぉぉ❗)
ローゼの絶叫は誰にも聞こえることはなかった・・・。
本編が再開して二話目になります。最近登場人物の名前を考えるのに苦労しています。レナやサラの技名も苦労して捻り出しています。もう募集したいぐらいの勢いですね。
はてさて、今後のラガス帝国はどんな風になっていくのか・・・。




