サラの選択と弦十郎の選択
本編再開です。これからもよろしくお願いします。
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サラに声を掛けた人物はラースだった。
「ラース?なんで貴方がここにいるの?」
サラはラースが自分の目の前にいることが不思議に思えて尋ねた。
「お前に用があって来たんだ。」
「なんの用があるの?再戦なら今は無理だよ?」
「似たようなものだ。どうする?話を聞くか?」
ラースはサラにそう言うと微笑んだ。
「ラースが笑うのを初めて見たよ。で、聞いたら引き返せないの?」
「そうでもない。だが、帝国には居れないだろうな?」
「お尋ね者になるのかな?」
「勘違いするな、そんな事にはならん。ただ、俺と魔族の領域に来てもらうだけだ。」
サラはラースの言葉に反応し机から身を乗り出した。
「詳しく聞かせて?」
「いいだろう。」
ラースはソファーに座り話始めた。
「魔族の領域で次期魔王を決めるのはアミルから聞いているな?」
「聞いてるよ?アミルさんの出る武闘祭でしょ?」
「ああ、それにお前の友も一緒に出る。」
頷くサラ。頷くサラを見てラースは話を続ける。
「その武闘祭に俺と出て欲しい。組む相手は異種族でなければ駄目なんだ。」
サラはラースの言葉に表情を変えた。突然の勧誘で喜んでいるサラとこのままラガス帝国の内政を途中で投げ出して行くのを躊躇っているサラと心で揺れている表情を出したのである。サラの表情を見たラースは言った。
「今すぐに答えを出せとは言わない。だが、時間があるわけでもない。」
「どのぐらい時間があるの?」
「一週間だな。それ以上遅れると登録が間に合わない。それに、お前との連携などの訓練も出来ない。」
「一週間・・・。」
「取り合えず、一週間後にまた来る。それまでに答えを考えておいてくれ。」
そう言うとラースは現れた時と同様に姿を消した。
サラは一人ラースに言われたことを考えていた。
(ラースについて行けばレナちゃんとアミルさんに会える。でも、帝国は今ようやく軌道に乗りはじめたばかり・・・。一応、私が居なくなってもいいように数年分のやることを書き残してはあるけど・・・。)
サラは机の引き出しから紙の束を取り出す。サラがこれから帝国でやることを指示する内容が書かれた物である。これ以外にもサラの頭の中では色々と構想が練られていた。
(明日、レナおじいちゃんに相談してみようかな?あと、ローゼにも言わないといけないよね?こんな時レナちゃんとアミルさんならすぐに答えが出るんだろうな・・・。レナちゃんは私と同じ立場でも強い相手が居るならとか言ってすぐに付いていくんだろうな・・・。レナちゃんの性格が羨ましいよ。はぁぁぁ・・・。)
サラは、盛大な溜め息をつきながら取り合えず寝ることにしたのだった。
翌日、サラはいつもの五人に指示を出しながら書類の整理をし、これからの帝国に必要な事を書き残していた。
一通り仕事を終えたサラは騎士団の居る中庭に向かう。弦十郎に話を聞いてもらうためである。
「どうしたんじゃ?そんな不景気な顔をして?」
突然後ろから声を掛けられサラは驚く。
「ふにゃぁぁぁ❗び、びっくりした。おじいちゃん、急に声を掛けないでよ?」
「すまんのぉ。じゃが、油断しているサラちゃんが悪いんじゃないかのぉ?」
「そ、それは・・・。」
サラは弦十郎に言われたとおり油断していたのである。昨日のラースの話と帝国での仕事を考えていたための油断で注意力が散漫になっていたのである。
「何か悩み事かな?儂でよければ聞いてやるわい❗」
「ありがとう、おじいちゃん。」
サラは弦十郎に昨日の出来事を話始める。
内容省略。
「と、そういう訳なんだよ。」
「ふむ、そんな事があったのか。それでサラちゃんは迷っていると?」
「うん・・・。」
サラがいつもの元気がある返事ではないことを気にした弦十郎は手に持っていた木刀をサラに投げ渡す。
「ほれ、サラちゃん。」
突然投げ渡された木刀をかろうじて受け取るサラ。
「?、何をするの?」
木刀を受け取ったサラを見て騎士から木剣を借りて弦十郎が一言。
「試合開始じゃ❗」
「えっ?えっ?なんで?」
弦十郎はサラが動揺しているのを見て笑いながら攻撃を仕掛けた。最初の一撃をなんとか防ぎ距離を取るサラ。
「うむ、動揺していたとはいえ上手く防いだのぉ?」
「ちょ、急に何するの?私、やるなんて言ってないよ?」
「木刀を受け取ったんじゃからやるに決まってるじゃろう?」
そう言うと弦十郎は構え直した。サラは、未だ動揺から立ち直れないでいた。
「いや、まだこの後仕事が・・・。」
「問答無用じゃ❗」
弦十郎は、笑いながらサラに襲いかかる。
「いやぁぁぁぁぁ❗まだ仕事しなくちゃいけないのにぃぃぃ❗」
戦闘省略(弦十郎による一方的な戦いのため)。
戦いが終わりサラは地面に仰向けに倒れていた。だが、サラの表情は戦いが始まる前とは違い笑っていた。
「答えは出たかな、サラちゃん?」
弦十郎ごサラに声を掛けた。
「ありがとう、おじいちゃん。私のために・・・。」
「なんの事かのぉ?儂はただサラちゃんと戦いたかっただけじゃよ?」
悪戯っ子の顔で弦十郎が言う。サラは仰向けになった状態で弦十郎を見ていた。
(やっぱりおじいちゃんに話して良かった。こんなにもスッキリするなんて思わなかったよ。)
「サラちゃんの生き方じゃ。好きにしたらいいんじゃよ?」
弦十郎の言葉にサラは涙を流しはじめた。
「ありがとう・・・。」
サラは弦十郎にお礼を言った後目を閉じたのだった。
そんなサラを弦十郎は抱き上げ部屋へと運ぶ。弦十郎の背中にはルナが居た。
『あなたも人が悪いですね?』
(何の事じゃ?)
『うふふ、そう言うことにしておきますね?』
ルナの言葉に弦十郎は溜め息をつきながらサラを見た。弦十郎にとってサラは孫の様な存在である。だから、余計に気にしてしまうのである。
『そんなに二人が心配なら私と一緒に行きますか?』
(まさか、魔族の領域にか?)
『そこ以外ありますか?』
(じゃが、ルナは身体がないだろう?)
『どうにかなると思いますよ?』
(そうじゃな、久し振りにクラウドに会うのもいいかもしれんな?)
『素直じゃないですね?』
ルナは微笑みながら弦十郎を見ていた。
(騎士団もどうにかなった所じゃし行くかな。)
『はい、レナも喜びますよ❗』
(そうじゃな・・・。)
こうして弦十郎とルナも魔族の領域に行くことが決まったのだった。
それから一週間後・・・。
サラの執務室にラースが現れた。
「答えは決まったか、サラ?」
「もちろん❗」
ラースはサラの顔を見て理解した。
「では、魔族の領域に行くぞ?」
「お願いね、ラース❗」
サラは立ち上がりラースの隣へと移動した。そして、二人は姿を消した。
時を同じくして弦十郎も帝国から姿を消していた。
今後は可能であれば一日一話を予定しています。ですが、どうなるかわかりませんので気長に待っていてください。




