アミルの死闘
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まず、最初に戦闘を開始したのはアミルであった。
「では、私から参ります❗」
「ふっ、俺に勝てるかな?」
不敵な笑みを浮かべる魔族に対してアミルも笑みを浮かべる。
「勝たせて頂きました❗」
アミルが魔族に向かって走り出す。迎え撃つ魔族は未だに武器すら持たずに立っているだけだった。アミルは、構わず双剣を振り降ろす。
カキィィィン、カキィィィン
アミルの攻撃は意とも容易く弾かれた。
「なっ❗」
アミルは驚愕した。魔族は、アミルの攻撃を拳で弾いたのである。その直後、アミルは後ろに吹き飛んだ。
「きゃぁぁぁぁ❗」
悲鳴をあげながら後ろに吹き飛んだアミルではなあるが、なんとか倒れずに体勢を整えた。
「どうした?その程度か?」
「そんな訳ありません❗まだまだこれからです❗」
「そうでなくてはな❗では、こちらから行くぞ❗」
今度は、魔族が動いた。アミルは、まだ先程の一撃のダメージが抜けきっておらず動けないでいた。
(私の双剣を拳で受け止めるとは思いませんでした。何かしらの術を使っているとは思うのですが・・・。早めに見極めないとキツい戦いになりますね?いえ、見極めたとしても勝てるかどうかわかりませんね。)
アミルは、魔族の動きに集中して双剣でなんとか攻撃を凌いでいく。
「防御だけでは、俺に勝てんぞ❗」
アミルの双剣と魔族の拳がぶつかり合うたびに金属音に似た音が周りに響き渡る。
「そんなこと言われなくても分かっています。」
アミルは、双剣の一本を逆手に持ち替え魔族の肘の部分を狙って斬り上げる。この攻撃に慌てて飛び退いた魔族は若干顔を歪めた。
(なぜ、あれだけ優勢だったのに飛び退いたのでしょうか?拳と肘との違いは・・・。確かめてみましょうか。)
そう思ったアミルは、直ぐ様行動に移した。まずは、双剣をいつも通りに持ち攻撃を仕掛けた。
「無駄だ❗いくら攻撃しようとも俺には通じない❗」
魔族の言葉を無視して攻撃を続けるアミル。
「無駄だと言っているだろうがぁぁぁ❗」
魔族が攻撃に転じたその時、アミルは先程と同じように双剣を逆手に持ち替え今度は肘ではなく脇腹を目掛けて斬る。
「ぐわぁぁぁ❗」
叫び声をあげてアミルとの距離を取る魔族。アミルは、今の一撃で先程の疑問が確信へと変わる。
「貴方は、身体の一部を金属に似た物に変質化していますね?」
魔族は脇腹を押さえながらアミルの話を聞いていた。
「しかし、変質化出来るのは身体の一部であって全身には出来ないですね?」
「この短時間でよくわかったな?だが、解ったからと言ってどうにも出来まい?」
「そうかもしれません。ですが、貴方の隙をつけば現状を打開出来ると思いますよ?」
「確かに俺の隙をついてならばな。だが、そんな隙を与えると思うか?」
「それは、やってみないことにはわかりませんよね?」
「そうだな。では、続きを始めようか❗」
言い終わるとお互い構え直し睨み合う。
そして、同時に動いた。
「はぁぁぁぁぁ❗」
「いくぞぉぉぉぉ❗」
攻防一体の戦いが始まった。
アミルが双剣で攻撃すれば魔族は拳で防御し、魔族が拳で攻撃すればアミルは双剣で防御する。互いに隙が出来れば致命傷には至らないがダメージを受けていく。魔族は切り傷が至るところにあり、アミルの身体は赤く腫れていた。
どのぐらい続いたのであろう。お互いの身体は傷だらけになっていた。さすがに限界がきたのかお互いに距離を取った。
「ここまでやるとは思わなかったぞ❗」
「私も同じですよ?ここまで追い詰められるのはレナさん以来です❗」
「ほぉ、あの小娘がそこまで出来るのか?」
「えぇ、もしかしたら魔王様より強くなっているかもしれませんね?」
「さすがにそれはないだろう?」
「わかりませんよ?私がレナさんと戦ったのは一年以上前の話ですから。あれからどれだけ強くなったのか私ですら想像できません。」
「そうか、一度手合わせしたいものだな❗」
「血が騒ぎますか?」
「当たり前だ❗」
「貴方が生きていれば戦える機会があるかもしれませんね?」
「どういう意味だ?」
「さぁ?」
「よかろう、生きてこの戦いを終わらせてやる❗」
「負けるつもりはありませんから❗」
「そうだな、お互い限界も近い。次で終わらせることにしよう❗」
「そうですね、悔いのないようにしましょう❗」
互いに次の攻撃を最後と言った。そして、最後の一撃を繰り出すため構えを取る。
「そう言えば貴方の名を聞いてませんでしたね?教えていただけますか?」
魔族の名前を聞いていないことを思い出したアミルは魔族に聞いた。
「今さらだな、まぁいい。名はグラスだ❗」
「グラスですね、覚えておきます。私の名は・・・言わなくても分かっていますよね?」
「あぁ、知っている。有名だからな❗」
「では、グラス。次で終わりにします❗」
「望むところだ❗」
言い終わると二人同時に動いた。
「これで終わりだぁぁぁぁ❗」
グラスの渾身の右ストレートがアミルの顔を捉えようとした。
「魔王流双剣術奥義『双魔閃』❗」
アミルの顔を捉えようとしたグラスの右ストレートは、逆手に持った剣で受け流される。そこから怒濤の連続攻撃が開始された。手数からしてレナやサラの奥義より遥かに多い。しかし、アミルの奥義には欠点がある。一度でも防御されてしまうと簡単にとまってしまうのである。そのため、防御を掻い潜る動きをしなくてはならない。故に、眼と腕に負担がかかる。それに、身体への負担も大きい。眼で見たのを身体に瞬時に伝達しなくてはならない。そのため、すでに動いている腕などの方向を無理矢理変えるのだから相当な負担が身体にかかる。そうまでしないと勝てない相手なのである。
だが、アミルの攻撃が一瞬緩んだ。その瞬間を見逃さなかったグラスはアミルのお腹に一撃を与えた。
お腹に一撃をもらったことによりアミルの攻撃がとまる。アミルはその場に膝をつく。グラスはなんとか立っていた。だが、グラスの身体も致命傷になりそうな傷が見受けられる。
「お互いに・・・ここまでのよう・・・だな?」
アミルは膝をついたまま顔だけをあげて言う。
「そのよう・・・ですね?勝敗は引き分けで・・・いいですか?」
「そう・・・だな、今回は引き分けだ。」
「今回は?」
「あぁ、こんなに強いやつがいるなら俺も魔王候補に参加する❗」
「そうですか。では、それまでお預けですね?」
「あぁ、その時が楽しみだ❗」
そう言い残しグラスは姿を消した。
アミルはようやく立ち上がりレナとサラが待つ場所に戻ってきた。
「すいません、勝てませんでした。」
「気にしなくていいわよ?」
「そうだよ、アミルさん❗勝てなかったけど負けなかったんだから❗」
「そう・・・ですね。でもやはり勝ちたかったです❗」
「今度があるならその時に勝てばいいんじゃない?」
「そうですね、次は必ず勝ちます❗」
「さて、次は私が行くね?」
サラが一歩前に出て告げる。
「油断したらダメだよ、サラちゃん?」
「分かってるよ、アミルさんの戦いを見てたら油断なんて出来ないよ❗」
「サラさん、気を付けてくださいね?」
「わかった❗」
サラは、戦いの場に向かうのだった。
戦闘を書くのは今でもなれません。簡略化しすぎると薄っぺらくくなりますし、かといって細かく書く文才がないです。今回は頑張って書いてみたのですがどうだったでしょうか?これからも精進していきますのでどうか見放さないでください。
次回は、十四日六時の更新予定です。




