訓練開始
ブクマ、評価などしていただけると励みになります。
クリスによるレナとサラの訓練が始まった。
「クリスさん、私も訓練に参加していいですか?」
クリスに声を掛けてきたのはローゼだった。
「ローゼ様もですか?ですが、ローゼ様には魔物がいるではないですか?」
「そうですが・・・。魔物が使えない時のためにです。」
なんとか理由を見つけたローゼは、クリスに答えた。クリスは、ローゼの答えに疑問を抱くことなくローゼに言う。
「わかりました。良い心掛けです❗」
クリスの言葉にレナは思った。
(何が「良い心掛けです❗」よ。クリスも偉くなったものね?記憶が無いにしろ私を訓練すると言ってたし少し天狗になってるみたいだからへし折りますか❗)
レナの心の叫びを知らずにクリスはレナとサラに声を掛ける。
「すいませんが、レナさんとサラさんは取り合えず二人で訓練をしていただきます。私は、ローゼ様の訓練に付き合いますので。昼食後は、二人の訓練をします。」
「えぇ、わかったわ。サラちゃんと二人でやるわ。」
「仕方ないね、私達は少し離れた場所でやるけどいいかな?」
「それは構いません。ちなみに、逃げようとしても無駄ですからね?」
「逃げないわよ?」
「そうですか、てっきり逃げるつもりなのかと思っていました。」
「酷いね、レナちゃん?私達が逃げると思うなんて。」
「そうだね、そんな面倒になることはしないわよ。」
サラは、レナの顔色が微かに変わっていく様子を見ながら思った。
(お願いだからそれ以上レナちゃんを煽るのはやめてよ❗この後、レナちゃんと二人でやらないといけないんだから❗)
「そうですか、わかっているならいいです。それでは、ローゼ様行きましょうか?」
クリスは、ローゼに言うと歩き出した。ローゼは、レナとサラにお辞儀をしてからクリスの後を追った。
残された二人は、この後の事を話始めた。
「で、レナちゃん。これからどうするの?」
「そんなの決まってるじゃない?」
「クリスちゃんに闇討ちするの?」
サラのボケを突っ込まず普通に返した。
「しないわよ。今からやることは、今日の昼食と夕食の食料調達だよ❗」
「突っ込んで欲しかったんだけど・・・。まいっか❗訓練しないで食料調達するの?」
「違うわよ?食料調達をしながら実戦訓練だよ❗」
サラは、レナの言葉で納得して頷く。
「それいいね❗ちなみに、今日の料理は決めているの?」
「まだだよ?たぶん、ローゼがバテているはずだからそれに合った料理にするつもりだよ?」
「じゃぁ、採れた食材しだいだね?」
「そうなるね。どうせ、クリスは食べてくれないだろうけどね・・・。」
「レナちゃん・・・。」
レナの顔が寂しさを出していた。サラは、何か言おうとしたが思い止まった。言ったところで気休めにもならないと思っていたか
らである。
そして、レナとサラの食料調達が開始された。
(狩りも久し振りね。昔、おじいちゃんと山籠りした時に狩りをしてたのを思い出すなぁ。)
そんなことを思いながら狩りを始めるレナであった。
しかし、最初は上手くいかず時間だけが過ぎていったが、なんとか昼食前には食材の確保に成功していた。肉が夕食の分まで揃え、なぜか野菜も自生していたのでなんとかなった。
レナとサラは、確保した食材を夜営地に持ち帰り料理の準備をしているとクリスとローゼが戻ってきた。
クリスは、レナとサラを見てあからさまに表情を変えた。クリスの表情を見たレナとサラは何も言わず淡々と作業をこなしていく。見かねたクリスが強い口調で言い放つ。
「貴女達は、午前中何をしてたんですか?」
「何って言われても訓練してたわよ?ねぇ、サラちゃん?」
「そうだよ。訓練もちゃんとしてたよ?」
「では、その食材はなんですか?訓練しないで食材を確保していたんではないんですか?」
なぜかオロオロし始めるローゼ。どうしたらこの場が収まるのかを考えようとしていた。しかし、場が収まるどころか悪化し始めた。
「食料調達と言う名の実戦訓練だよね、レナちゃん?」
「そうだね、食料調達は大事なことだもんね❗」
「なっ❗私を舐めていませんか?食料調達が訓練になるわけないじゃないですか?」
「貴女を舐めてる?何か勘違いしていない?食料調達は、冒険者にとって大切な実戦訓練よ?ちゃんと狩れるようにならないと生きていけないわよ?貴女こそ舐めてるんじゃない?」
「冒険者にとって当たり前のことだよ?食料が確保出来なければ待つのは『死』だけだから・・・。」
サラの言葉にローゼが顔を歪めた。『死』と言う言葉に何か感じたのだろう。
「大袈裟ですね?食料など街で買えばどうにかなります。」
「じゃぁ、買えない冒険者はどうするの?」
クリスの言葉にサラが問い返す。
「それは・・・、依頼をこなして稼げばいいだけです。」
「その日の寝る場所は?その日のご飯はどうするの?」
「・・・。」
ついにクリスが黙る。
「その日一日を過ごすだけでもお金はかかるんだよ?なのに現地調達がダメなの?それはおかしくない?クリスちゃんこそ冒険者を舐めてない?」
珍しくサラが熱く語る。サラを宥めるようにレナがクリスに助け船を出す。
「クリスが納得してないのはわかったわ。じゃぁ、どうしたら納得するの?」
「私に貴女達の実力を示してください。それで納得します。」
「どこまですれば納得するの?」
「どこまでとは?」
「引き分けでいいのかそれとも勝てばいいのか、負けてもいいのかよ。」
「そうですね、負けても実力を示して頂ければ納得します。」
「わかったわ。昼食後でいいかしら?」
「大丈夫です。」
「なら、昼食後にやりましょうか。」
レナが言うと足早にクリスは去っていった。レナは、クリスが去っていくのを見届けながら料理を再開した。
「ごめんね、レナちゃん。少し言い過ぎたかも・・・。」
「あのぐらい別にいいよ。」
「でも・・・。」
「もし、サラちゃんが言わなかったら私が言っていたから。だから気にしないで?」
「レナちゃんがそこまで言うなら気にしないようにするね?」
「うん❗あっ、サラちゃんにお願いがあるんだけどいいかな?」
「どんなお願い?エッチなお願いじゃなきゃ聞くよ?」
「・・・、わかった。サラちゃんが私をどんな眼で見てるかがよくわかったわ❗」
レナの表情がみるみる変わっていく。それを見たサラは慌てて訂正する。
「もちろん嘘だよ?レナちゃんがそんなお願いするわけないのは知ってるから❗だから、その顔はやめて?」
「うふふ、今日の夜が楽しみね?」
「イヤァァァァ❗レナちゃんが怖いよぉぉぉぉ❗」
サラを弄るのをやめ、料理を皿に盛り付け始めるレナ。
完成した料理をサラとローゼの前に持っていきレナも座る。
「「いただきます❗」」
レナとサラは手を合わせていつもの掛け声をする。聞いていたローゼもレナとサラに倣う。
「いただきます❗」
今日の料理は、ローゼの疲労をとるための料理になっていた。
食事も終わり改めてレナはサラにお願いをした。
「この後のクリスとの戦いなんだけど・・・。サラちゃんはクリスの体力を一撃で実力を示してほしいんだけど・・・出来る?」
「出来ないこともないよ?寸止めでいいんだよね?」
「それでいいよ❗」
「わかった❗」
レナとサラの会話を聞きローゼが口を挟む。
「クリスさん相手にそれは無理ではないですか?城に居る冒険者の中で一番強いんですよ?」
「それなら大丈夫だよ、ローゼちゃん❗レナちゃんは、クリスちゃんの師匠だし、私はレナちゃんと同じぐらいの強さだから❗」
「えっ?本当にクリスさんの師匠なんですか?前にもそんなことを言っていたのを覚えていますが冗談だと思っていました。」
「一応、私がクリスに教えたわよ?今の剣ではなく刀でね。」
ローゼに刀を見せるレナ。刀を見たローゼは納得したようである。
「確かに、クリスさんと同じ武器ですね。珍しいので覚えています❗」
「だから、大丈夫だよ❗ローゼちゃんはのんびり見てればいいよ❗」
サラの言葉が終わると同時にクリスが声を掛けてきた。
「そろそろ始めましょうか?」
「そうね、戦いは一対一でいいかしら?」
「構いません、どちらが先にやりますか?」
「私からだよ❗」
サラは勢いよく手を挙げる。
「わかりました。では、始めましょう❗」
お互いに距離をとり構える。クリスは剣を正眼に構え、サラは居合いの構えである。
最初は、お互いに様子を見て動かなかったがサラが微かに動くのを見てクリスが踏み込んできた。
「やぁぁぁぁぁ❗」
剣を振り下ろそうとしたが、すでにクリスの首にサラの刀があった。
「私の勝ちだね?」
クリスは何もさせてもらえないままサラとの勝負に幕が降りた。
クリスは未だに信じられない様子で茫然としていた。
「いつまでそうしてるの?次は私よ?」
「そっ、そうですね。次は、レナさんですね。」
と、そこにあらぬ方向から声が聞こえてきた。
「いいえ、次の相手はレナさんではなく私がお相手します❗」
声のする方を見るクリスとローゼ。レナとサラは、声のする方を見ずに溜め息をついた。
「アミルね❗」
「アミルさんだね❗」
「アミルが居るっていうことは・・・。」
「魔族が関わってるっていうことだね、レナちゃん❗」
「なんで、私が行くとこに魔族がいるのよぉぉぉぉぉ❗」
レナの叫びは雲一つない空に消えていった・・・。
最近、アミルの登場回数が増えています。魔族絡みだと出してしまいます。自分的には結構気に入ってるのでいいのですが・・・。
次回は、九日六時の更新予定です。




