ラガス帝国の暗躍
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帝都に着いたレナとサラは、街の様子を見て絶句した。
「街が・・・。」
「レナちゃん、街の人が一人も外にいないね?」
サラの言う通り街には人が全く外に出ていない。そのため、店もどこも閉まったままである。こんな状態を見たレナとサラは、ローゼに一応聞いてみた。
「ローゼ、なんでこんな有り様なの?」
「それは・・・。」
「言いにくいの?ローゼちゃん。」
「お父様が操られる前は、民には笑顔はありませんでしたがそれなりに栄えてはいました。ですが、その後から日に日に廃れていきこの様な状態になってしまったんです。」
「ローゼ、貴女は父親を止めようとは思わなかったのかしら?」
「止めました。しかし、聞いてもらえなかったです。それどころか、お父様にすら会えなくなり城に来た男が私と謁見するようになりました。男が言うにはお父様から全権を委ねられたと言って・・・。」
「そうなんだ。レナちゃん・・・。」
サラの言葉を遮りレナがローゼに言う。
「貴女のお父さんは、生きていないかもしれないわ?」
「えっ?そんなわけありません❗男は、疲れて休んでいるだけだと❗」
「言い方が悪かったわね。生きてはいると思うけど人間の姿をしていないかもしれないわ。」
「どういう意味ですか?」
レナの後を引き継いでサラが答える。
「ローゼちゃんが使役してた魔物は、その男によって作られた。なら、それに犠牲はつきものじゃない?もしかしたら、お父さんだけじゃなく城の人達も・・・。」
「ローゼ、貴女は最後に城に帰ったのはいつ?」
「魔物を使役出来るようになってからは一度も帰っていません。」
「城では冒険者を集めているみたいなんだけど何か知ってる?」
「はい、強い冒険者を集めてこいと言われてましたから。」
「たぶん、魔物が操れるから人で試したいのね。だから、最初に帝王が標的になったのね。」
「そんなぁ・・・。私は、何も出来ないのでしょうか?」
落ち込み塞ぎこもうとしたローゼに対して珍しくサラが渇をいれる。
「ローゼちゃん。やる前から諦めるの?何もしなかったらこのままなんだよ?小さいことでも何かすれば変わるかもしれないのに・・・。このままでいいの?」
サラは、街を見渡しながらローゼに言う。
「私だって嫌です❗前みたいに街を賑やかにしたい❗でも、私にはそんな力がないです。」
「力がないなら誰かを頼ればいいんじゃない?」
「私には、頼れる人なんていません❗」
「居るじゃない・・・。」
ここで、サラに待ったをかけようとしたレナ。
「ちょっ❗サラちゃんそれ以上は・・・。」
「私達を頼ればいいんだよ❗」
レナの言葉を遮り、サラが言い放った。
「サラちゃん、ちょっといいかしら?」
レナは、顔を引きつかせながらサラを呼ぶ。
「なぁに、レナちゃん・・・。」
サラは、レナの顔を見てようやく自分の犯した過ちに気づいた。
「ローゼ、少しサラちゃんとお話したいから待っててね?」
「・・・。はい、わかりました。」
ローゼもレナの顔を見て答えた。
「じゃぁ、サラちゃん。お・は・な・ししましょうか?」
「ちょっ❗レナちゃん、落ち着いて❗話せばわかるから❗」
「そうだね、話せばわかるよね?」
サラは、またしても墓穴を掘る。この結果、サラはレナに手をとられ引きずられて脇道に消えていった。
「レナちゃん、お願いだから許してぇぇぇぇぇぇ❗」
街には、サラの叫び声が木霊したのだった。
数分後、意気揚々と戻ってくるレナに対してサラはぐったりとしていた。何が行われたかはレナとサラ以外知るよしもない。
「サラちゃんが言い出したことだから、ちゃんと最後まで責任取りなさいよ?」
「えっ?いいの?」
「ローゼだって少しは期待しちゃったみたいだからね。」
「ありがとう、レナちゃん❗」
「そう言うわけだから、サラちゃんが助けてくれるわ❗」
レナの言葉にローゼは驚く。
「いいんですか?レナさんとサラさんには関係ない話なんですよ?」
「気にしなくていいよ、ローゼちゃん。私だって現状は違うけど立場は同じだったんだから❗」
「えっ?立場が同じ?どういうことですか?」
「サラちゃん、それを言ったら自分の立場を言うことになってるわよ?」
「あっ❗忘れてた❗」
「やっぱりね。ローゼ、サラちゃんは元ネフィル皇国第三皇女よ。」
驚愕するローゼ。
「えぇぇぇぇぇ❗サラさんはネフィル皇国の皇女だったんですか?数々のご無礼申し訳ありません❗」
土下座をして謝るローゼ。いきなりのローゼの行動に驚くレナとサラ。
「土下座は、止めてよ。今は、ただの冒険者なんだから❗」
「しかし・・・。」
「気にしたら駄目よ?サラちゃんも言った通り、今は冒険者なんだから。」
「わかりました。レナさんも何処かの国の姫なんですか?」
ローゼの言葉に大笑いするサラ。
「私は、違うわよ?」
「そうだよ、ローゼちゃん。もし、レナちゃんがお姫様だったら世の中の女の人はみんなのお姫様だよ❗」
「その言い方はなにかな、サラちゃん?私がお姫様だったらそんなにおかしいかしら?」
「はっ❗また余計なことを言ってしまった❗」
ようやくローゼが笑顔を見せた。ローゼの笑顔を見たレナとサラは微笑んだ。
「ようやく笑ったわね、ローゼ?」
「そうだね。やっぱり、ローゼちゃんは笑った方が可愛いよ❗」
そう言われてローゼは、自分が笑っていたことに気が付いた。
「久し振りに笑いました❗これもレナさんとサラさんのお陰です。ありがとうございます❗」
「お礼なんていいわよ?それでこれからどうするつもり?」
「城に殴り込みに行く?」
「サラちゃん、真面目に考えようね?」
レナは、サラの頭に手刀をいれる。
「痛い❗これでも、真面目に考えたんだよ?」
「それの何処が真面目なのよ?まぁ、手っ取り早いのは確かだけどね。」
「でしょ?なら、採用しようよ?」
「却下❗ローゼは、何かいい案ある?」
「そうですね・・・。危険ではあるのですが、私が強い冒険者を連れてきたことにして城に潜入するのはどうでしょうか?」
「私と変わらないよ?」
「サラちゃん、少し黙ってようか?」
サラに威圧するレナ。
「それだとバレた時にローゼにも危険が及ぶわよ?それでもいいの?」
「私の事は気にしないでください❗覚悟は出来てます❗」
「わかったわ。その案で実行しましょう。」
「報酬はどうすればいいですか?この様な有り様なので期待しないで頂けるとありがたいのですが・・・。」
黙っていたサラが口を挟む。
「報酬はいらないよ?もし、どうしてもって言うならローゼちゃんが帝位に就いてくれる?」
「珍しいわね?サラちゃんがまともなことを言ってるわ❗」
「私をなんだと思ってるのかな、レナちゃん?」
「悪かったわね。話を続けて❗」
「もぅ❗で、どうする?」
「私なんかが帝位に就いていいのでしょうか?」
「ローゼちゃんが帝位に就かないと帝国は滅びるけどいいの?」
サラは、ストレートに言った。
「・・・。時間を頂けないでしょうか?」
「いいよ❗でも、問題が解決するまでしか時間はないからね?よく考えて答えを出してね?」
「わかりました。」
「じゃぁ、この依頼を受けることにするね、レナちゃん?」
「そうするしかないんじゃないかな?サラちゃんが頑張るみたいだから私は、楽ができて助かるけどね❗」
「ちゃんと手伝ってくれるよね?」
「気分次第?」
「えぇぇぇぇぇ❗」
再び、ローゼは笑いだした。
こうして、ラガス帝国第一帝女ローゼ・ラガスの依頼を受けることになったレナとサラはローゼと共に城に向かったのである。
城に着いた三人は、門の前である人物と再会をする。
「お帰りなさいませ、ローゼ様。後ろの方々は冒険者でしょうか?」
「そうです、実力も充分にあります。」
「そうですか、わかりました。で、後ろの方私に何か様ですか?」
レナは、声の相手を見つめていた。それもそのはず、レナの知っている人物だったからである。
「貴女、クリスよね?」
「確かに私は、クリスですが・・・。私は、貴女を知りません。」
クリスの言葉にレナは驚く。しかし、すぐに冷静さを取り戻す。
(クリスが帝国にいるなんて思わなかったわ。今の言葉からクリスも操られているみたいね?さて、どうしたら洗脳が解けるのかしら?)
「人違いだったかしら。ごめんなさいね。」
「いえ、気にしていません。それでは、案内します。」
クリスの先導により城に入っていく三人。
これから始まるであろう惨劇と悲劇を知りもせず・・・。
クリスの再登場です。帝国編は何話になるかわかりませんがお付き合い頂ければと思います。
次回は、六日六時の更新です。




