フィール王国に向けて
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アミルと別れてから数日後、レナは皇子に呼び出され謁見の間に居た。この時、皇子は父である前王が死去したため皇王の座についていた。レナが、眠っている間に皇子は父の崩御を国民に知らせ、自分が皇王になることを宣言していた。
レナとの謁見が皇子にとっての初めての公式の謁見である。
現皇王の隣には、第一皇女と第二皇女がいるだけで第三皇女のサラはなぜかレナの隣に居た。
小声で話すレナとサラ。
「なんでサラちゃんが私の隣に居るの?」
「何言ってるの?私は、皇女の名を捨てたんだからここに居るのが当たり前じゃない❗」
「本当に捨てる気なの?」
「もちろん❗」
レナは、溜め息をついて現皇王に眼を向けた。
「皇王陛下、私に何かあるのでしょうか?」
「この前の話の答えを聞きたいのだ。」
レナは、首を傾げて考え込む。それを見かねたサラが小声で言う。
「報酬の件だよ、レナちゃん。」
サラに言われ思い出したレナだが、何も考えてはいなかった。素直に現皇王に話をするレナ。
「すいませんが、やはり何もいりません。私は、旅をしている身ですので。」
「そう言うわけにはいかぬ❗では、こちらで決めてもよいかな?」
と、現皇王は第一皇女に眼を向ける。
(なんとなく嫌な予感がするわね。この場合、家とか爵位とかあげるとか言われそうだし先に先手を打った方がいいかな?)
レナは、現皇王が話し出す前に話し出す。
「そうですね。ですが、家や爵位などはいりませんから❗」
現皇王と第一皇女は、今自分達が言おうとしたことを先にレナに言われてしまい口が塞がらない。
「私は、この世界を旅したいので一ヶ所に留まるつもりはありません。ですから、家や爵位などは邪魔になるだけなので遠慮させていただきます。もし、どうしてもというのであれば私に金貨五枚、サラちゃんに金貨五枚頂ければ充分です。」
「いや、しかしだなぁ。それでは、あまりにも少なすぎる。せめて、白金貨五枚づつにしてもらえないか?」
「そんな大金はいりません。ですが、どうしてもと言われるならお受け取りします。」
「おぉ、そうか。受け取ってくれるか。」
「ですが、使い道は私の自由にさせていただきます。」
「わかった。それでよいな、サラ?」
「私は、構いません。」
サラは、頷いて返した。
こうして、公式の謁見は終わりいつもの会話に戻る。
「どのように使われるのですか?」
「孤児院に寄付するわよ?」
「やっぱりね、レナちゃんならそうすると思った❗」
「なぜそのようなことに使われるのですか?」
と、皇王はレナに尋ねる。
「あなたも王になったなら街の様子や人々の暮らしをわかるようにならないとね?この街の孤児院は、いつ壊れてもおかしくない建物に住んでいるのよ?それを建て直す資金に充てるつもりよ。」
皇王は、レナに言われて顔をしかめる。確かにレナの言うとおり王になってから、街の様子を気にしたことがないことに気づき項垂れる。
「じゃぁ、私は国に寄付しようかな?」
サラが皇王に追い打ちをかける。サラの言葉の意図を理解した皇子は、レナとサラに頭を下げ言う。
「申し訳ない、私が至らぬばかりにレナ殿とサラにまで迷惑をかけてしまい・・・。」
皇王が、言い終わる前にレナがサラに話を振る。
「サラちゃん、迷惑なんて誰がかけたの?」
「そんなの私が知るわけないじゃない。」
「だそうよ、皇王様。私達が勝手にしたことだから気にしないで。今は何かとお金がかかるんだから。私みたいな冒険者に大金を渡すぐらいなら国の為に使ってくれた方が嬉しいわ❗」
「そうだね、私の生まれた場所でもあるしね❗お兄ちゃんが不甲斐ないなら私が変わってあげるからいつでも言ってよ?」
「サラにお兄ちゃんと呼ばれるとはな。今までお兄様と呼んでいたのにな。」
「でしたら戻しましょうか、お兄様?」
サラは、笑顔で皇王に言う。皇王は、苦笑いをして言葉を返した。
「やめてくれ、なぜか寒気がする。」
「そうですよ、サラさん。お兄様をイジメてはいけません。お兄様をいじめていいのは私だけです。」
さらっと第一皇女は爆弾を落としたが皇王以外聞き流した。
「それはどういう意味だ?」
「それよりも本当に城を出ていくのですか、サラさん?」
第一皇女の言葉で皇王と第二皇女がサラを見る。
「そのつもりだよ、お姉ちゃん❗私も、レナちゃんみたいに冒険者になろうと思ってる。」
「本当に行くのか、サラ?」
もう一度確認をする皇王。自分の聞き間違いだと思いたいのである。
「私が居なくてもこの国には、お兄ちゃんとお姉ちゃん達がいるから❗だから、私は安心して出ていけるんだよ❗それに、私がこれまでに作ったものやこれからやろうとしたことをまとめて書いてあるから適当に使ってね❗」
「そうですか、サラさんの決意は固いのですね。わかりました、この国の事は私達三人に任せてサラさんは自由に生きていきなさい❗」
「ありがとう、お姉ちゃん❗」
「わかった。だが、たまにはここに顔を出しに来いよ?」
「わかったよ、お兄ちゃん❗」
こうして、サラの旅立ちの許可が降りた。レナは、なぜか不安でしかなかった。
(この不安は何かしら?それになぜか嫌な予感しかないんだけど・・・。)
レナの予感は、レナが旅立つときに的中することになる。そのことをレナは知るよしもない。
翌日になり、サラはレナと一緒に冒険者ギルドに来ていた。サラのギルドカードを作るためである。
サラのギルドカードはすぐに出来た。しかも、最初から討伐依頼が受けれるのである。それを聞いたレナはサラに文句を言った。
「いいよね、サラちゃんは。いきなり討伐依頼が受けれるんだから。」
「えっ?レナちゃんは出来なかったの?」
「私の場合は、力を試すために模擬戦をしたわよ?」
「そうなんだ、私はこの前の戦いの実績が評価されたんだね?楽できてよかった❗」
「ふふっ、サラちゃん。今から討伐依頼を受けてみようか?」
「レナちゃん、なんか怖いよ?」
「そんなことないわよ?サラちゃんの勘違いじゃない?」
そう言いながらもレナの眼は据わっていた。サラは、嫌な予感がしたので逃げようとした。だが、レナに逃げるのを阻止され引きずられながら受け付けに向かい、討伐依頼を受けるはめになった。その討伐依頼でサラは、レナにコキ使われることになる。
「レナちゃんが怖いよぉぉぉぉぉ❗誰か助けてぇぇぇぇ❗」
サラを助けるものは誰もいない。『真紅の死神』を敵に回す冒険者は、誰一人としていなかった。
それから、数日がたちレナはそろそろ旅に出ようと考えていた。サラも冒険者の仕事が分かるようになってきたためである。
「サラちゃん。私、明日旅に出るわ❗フィール王国に向かう商隊の護衛依頼を受けてきたの。」
「急にだね、レナちゃん?」
「サラちゃんも一人前の冒険者になってきたから私が居なくても大丈夫みたいだしね。」
「そっか、今度はどこに行くの?」
「一度、フィール王国に戻ってそれからラガス帝国を目指すわ❗」
「ラガス帝国・・・。あんまり良い噂は聞かないよ?」
「別にいいわよ。どうせ何かに巻き込まれるんだし。」
「あはっ❗レナちゃんは、何もしなくても巻き込まれるもんね❗」
「サラちゃんはどうするの?」
「私?どうしようかな?」
「サラちゃんの好きにすればいいんじゃない?」
レナは、サラに言うとサラは笑みを浮かべた。
「わかった。私の好きにするね❗」
こうして、一日が終わり翌日を向かえる。
翌日、フィール王国に向かう商隊の護衛をするため集合場所に向かうレナ。集合場所には、すでに準備を終えた商隊がレナを待っていた。
「すいません、遅かったですか?」
「そんなことはありませんよ。積み荷が早く終わってしまっただけですから。」
「そうですか、良かった。」
「それはそうと、レナさんに紹介したい人がいるんです。」
「紹介したい人ですか?」
「はい、レナさんと同じ冒険者で今回依頼を受けてくれた人です。」
「わかりました、紹介していただけますか?」
「はい、こちらの方です。」
商人は、レナの前にその人物を呼ぶ。現れた人物は・・・、サラである。
「なんで、サラちゃんがいるのよ?」
「なんでって、レナちゃんが言ったじゃない❗好きにすればいいって❗」
「確かに言ったけど・・・。もしかして、私と一緒に旅をするつもり?」
「もちろんだよ❗」
「折角、自由になったんだからやりたいことやればいいじゃない?」
「これが私のやりたいことだよ❗レナちゃんと一緒に旅したいもん❗」
「はぁぁ、わかったわよ。一緒に行きましょ❗」
「やったぁぁぁぁぁ❗ありがとう、レナちゃん❗」
二人の会話を聞いていた商人が微笑みながら言う。
「話は決まったみたいですね?では、出発しましょう❗」
「わかりました❗」
「はぁぁぁぁい❗」
こうして、レナとサラの二人の旅が始まった。
道中は何事もなく無事にフィール王国に着いた。
二人は、王都の街並みを見ながら歩いていた。そこに声をかける人物が現れた。
「よぅ、レナじゃないか❗」
レナが振り向いた先に居た人物はギルであった。この再会が新たな火種を生むことになるとは、レナもサラもまだ知らない。
再びフィール王国に戻ってきました。二話ぐらいがフィール王国での話になると思います。
次回は、二日の十二時更新予定です。




